電子カルテのメリット・デメリット

病院での電子カルテ導入が進んでいるなか、開業を予定しているクリニックでも多くの先生方が検討をされているのではないでしょうか。
導入にあたっては費用的な問題、受付~診察室の動線、人件費削減といった様々なメリット・デメリットがございますが、今回は視点を変えて患者さんが電子カルテについてどの様に感じているのかについて書いてみたいと思います。
5月に開院した耳鼻咽喉科で開院直前の内覧会のお手伝いをしたのですが、見学に来てくださった年配のご婦人へ電子カルテの説明をしている際に、「私の通っている内科の先生はパソコン画面ばかりを見て、私を話を聞いてくれないのよね。」と嘆いておられました。
ご婦人には「その先生はパソコンの操作に慣れていなく画面に集中してしまっているだけで話はちゃんと聞いているかもしれませんよ。」とお伝えしました。キーボード操作に慣れている先生には問題ないかと思いますが、入力時に画面を注視してしまうだけで不信感へつながり、患者さんの苦情となってしまうという事を実感しました。患者さんから出た苦情の中にはコミュニケーションによって解決できるものも多いと聞きます。デジタル的な電子カルテの操作とともに、アナログ的な話を聞く姿勢のコミュニケーション技術も併せて身に付ける必要がある時代なのだと思います。
先に電子カルテの悪い面を書いてしまいましたが決してデメリットになることだけではなく、患者さんにとってメリットになることもあります。
以前、再開発の立ち退きで医院の移転をお手伝いした際に、紙カルテから電子カルテに移行したのですが、患者さんからは診察後から会計までの時間が短くなったと評判で来院しやすくなったという事がありました。移転先の方が医院の面積が狭かったのですが、カルテ保管棚が縮小でき、カルテ受け渡しの動線がなくなりレイアウト変わったため、待合室が以前よりも広く取れるようになり、その部分でも患者さんへのサービスが還元できたと喜んでおれらました。
その他にも患者さんの目の前の画面にカルテ内容が表示されているので、ちゃんと書いてもらっていると分かり安心したと言われ、紙カルテからの移行の手間はあったものの、それ以上にメリットがあったと満足されている先生もおられました。
電子カルテの導入の際には、費用的な問題や操作性、アフターフォローなどメリット・デメリットが多くあり色々と悩むかと思いますが、患者さんにとってもメリットになる部分が多いのではないかと感じている昨今の開業事情です。
コンサルタント吉岡

2010-05-31