不測の事態 ~その後~

昨年末、開業を目前に自転車事故で頚椎損傷を負ってしまった先生の話を書きましたが、今回はその続報です。
クリニックは完成しており、医療機器も入っていましたので、何とか再開を目指し必死のリハビリが開始されました。
先生が整形外科で特にリハビリテーションの専門医であった事もあり、内容の濃いリハビリスケジュールが組まれました。
お見舞いに行く毎に、少しづつですが着実にできる事が増えてきて、その不屈の精神力と「当初の予定とはずいぶん構想が変わってきちゃったけど、頚椎損傷の患者さんの本当の意味で気持ちのわかる医者になれたよ。」というコメントに人として尊敬すると共に何とかお役に立ちたいと思いました。
また、先生がそのような気持ちを維持できるのは、まだ小さいお子さんをお祖母さんがみて、奥様がつきっきりで看病された事も大きかったと思います。
私の方は各役所への細々とした申請や手続き、また融資が決定していましたが実行されていなかった金融機関との交渉で頑張りました。正直なところずいぶん計画が変わってしまったにも関わらず、協力してくださった銀行の支店長の応援は本当にありがたかったです。
そして事故から約半年、この5月の中頃にひっそりとではありますが、クリニックの再開までこぎ着ける事ができました。
まだ車椅子での通勤・診療ではありますが、怪我の大きさを考えると奇跡的な回復だと思います。
以前、面接をして採用しようと思っていたスタッフがまだ就職せずにいてくれたラッキーもあり助かりました。
開院初日の診療後、ずいぶんお疲れではありましたが今回の一連を振り返り、しみじみと感謝の言葉を頂いた時には本当に感慨深いものがありました。
前回は誰にでも不測の事態は起こりうるのでその備えの重要性を書きましたが、実際にはその後の気持ちの持ちようが一番大事である事を今回の経験で学んだように思います。
今回ほどの大きなトラブルはそうそうないと思いますが、開業までには人それぞれのいくつものハードルが存在します。
私たちコンサルタントはそのハードルを何とか少なくしたり、低くする事はできますが、実際に飛ぶのは先生自身です。
資金や立地条件等もありますが、困難を乗り越えていく気持ちと覚悟が何よりも大切であると改めて感じさせてもらった今回の開業でした。
コンサルタント碇

2008-05-31