診療モールの組み合わせ

近年、好立地の割に条件が安く、駐車場など共用設備の有効利用・相乗効果の期待から医療モール(ビル)で開業される先生方が一種のトレンドとして定着しつつあります。確かに地方なんかでポツンとクリニックがあるより、それなりの敷地・設備で構えた医療ビルの方が存在感があり認知されやすかったり、なにか体に変調をきたした患者さんの足が向きやすいという事はあると思います。
他にも調剤薬局が併設している場合が多く院外処方の問題がクリアされたり、電気容量などの設備が事前に確保されているような物件もありメリットが多いようです。
ただ開業地として選ぶ際にはいくつかの注意事項があります。特にすでにいくつか他の診療科目が開業している物件であれば尚更なのですが、内科、耳鼻科、小児科や、内科、整形外科、脳神経外科など外来の診療範囲において重複するケースがあり、そのあたりをどう考えるかという事は大事な事だと思います。厳密にいえば重複しない患者さんが多い訳ですから、それよりも色々なメリットの方が大きいと判断される場合も多いようですし、中には上記のような組み合わせだけの医療ビルでとても盛業されているケースもあります。
例えば同じ耳鼻科でも、急変などの事を考え是非小児科に入ってきて欲しいと考える先生もいらっしゃれば、患者さんの取り合いになるのでできれば避けてほしいと考える先生もいらっしゃいます。脳神経外科でも術後のアフターフォローにも力を入れたいのでリハビリ機器を多く入れている場合と、お年寄りが入りやすくなるし紹介できる整形外科に入ってほしいという場合では相性はまったく変わってくると思います。
総じて先に入るのであれば契約の際にでもオーナーにお願いしたり、場合によっては契約書に記載してもらっても良いと思いますし、後から入る場合は不動産屋さんや出店している調剤薬局などを通じて確認したり、直接伺いに行くという事も失礼ではないと思います。
中には比較的相性が良いとされる内科と眼科なんかでも、共用部分の掃除や駐車場の台数の使用比率が違うのに同じ金額はおかしい等と自己主張しあい、いがみあうような場合もありますので、競合するかどうかより共存できるかどうかという性格的な相性の方がよっぽど大事だと思わせる話を聞いた事もあります。
一度開業すると簡単には移転もできませんし、将来に渡ってのストレスになる場合もあります。また物件によっては大きなメリットを受け続けるというケースもありますので、まずはご自身に「共存共栄」という考えがしっくりくるかどうかを踏まえた上で判断される事をお勧め致します。
コンサルタント碇

2010-01-31