事業計画書の作成3

今回は、事業計画書の作成の上での運転資金について書きたいと思います。
基本的には収入のない開業前の準備期間や、保険収入のない3ヶ月間も固定費は発生しますので、その手当て、また診療科目や立地条件によって異なりますが、立ち上がるまでに凌いでいく為の生活資金や予備費と考えて間違いないのですが、資金を借りる金融機関からは、開業時に具体的に必要な設備資金以外という括りで判断されます。
それは設備資金と運転資金とでは貸し出す条件が異なり、設備資金の方が返済期間が長く、場合によっては金利も優遇されていて、運転資金は返済期間が短く使途の判別も難しいからです。逆に考えると計画上使う予定の自己資金は運転資金として必要な枠に入れ、条件面で有利な設備資金の方に借り入れ資金を当てるようにする方が得策です。
ではどれくらい運転資金として考えたら良いのか、どのような支出が予想されるのかについて書きたいと思います。まず大きいところで人件費、当然保険収入の入ってくるまでの3ヶ月間分の給与と開院前の研修中に発生する給与(約1カ月分)の4ヶ月は見ておきたいところです。これは、水道光熱費や会計士等への顧問料、駐車場代等の経費も同じくらいの期間を見ておいた方が良いでしょう。また、テナントの場合は遅くとも内装工事に着工してからは賃料が発生するでしょうからその期間も足して考えておかなければなりません。
資金を借りますので、その返済やリース料も発生してきます。これらは借り入れの場合は1年間の据え置き制度や、リースの場合のスキップの制度を確認してやはり開業後4か月分くらいは見ておいた方がよいでしょう。
次に医師会に入会する場合は、その入会金も考えておかなければなりません。関西に比べると関東の方が比較的安いし入りやすいとは聞きますが、それでも地域によってバラつきがずいぶんありますので事前に確認しておきたいところです。金額は地域ごとに医師会の事務局がありますので電話でも教えてもらえます。
コンサルタントに開業を依頼する場合は、その費用も考えておかなければなりません。その業務範囲や料金について明確に確認しておきましょう。無料でお手伝いしますという薬の卸業者や内装工事業者から、4~500万請求してくるコンサルタント業者もあるようですので、気を付けなければならないところです。一番良いのは、すでに開業された先輩方の評判の良い業者であれば間違いは少ないと思います。それでも担当者によってその力量はずいぶん違うと思いますので、実際に会っての印象や相性も大切だと思います。ちなみに弊社の場合は開業地の場所・物件探しから不動産の交渉、資金計画・融資のサポート、内装レイアウトのアドバイス、関係各所の書類手続き、スタッフの募集・面接など開業までの一連のコンサルタントで150万円程度でお願いしております。
最後に先生とご家族の生計費、資金計画の段階では想定していなかった思わぬ出費、立ち上がるまでに時間が掛かりそうな事が予想される場合などの為に予備費としてある程度運転資金を確保しておきたいところです。全体の資金の1割程度の資金を目安として設定する場合が多いようです。借り入れ資金も多すぎては返済が大変になりますが、確実に必要ないと判断できる状況になってから繰り上げ返済をする事も可能です。その辺りが医療機器のリースとは違う部分だと思います。資金繰りが大変になってから追加で融資を受けるのは、その労力や時間を考えると難しい部分もでてきます。最初の段階である程度余裕をもった資金計画を作成するようお勧め致します。
コンサルタント碇

2007-06-30