事業計画書の作成4

前回までは開業時に必要な使途計画について書いて参りました。今回からは開業後の収入と支出について書いていきたいと思います。
開業後、5年間ほどの収入と支出を予測し、最終的に表にして余剰金がでる計画かどうかを確認します。
収入について一番肝心で、難しいところが一日の来院患者数をどれくらいで見ていくかという部分です。
もちろん事前の診療圏調査で出る数値を目安にしながら、周辺の競合機関の来院患者数、物件の立地条件や標榜する診療科目を考慮し、その数値を決めていきます。どんなに診療圏調査で良い数値が出たとしても初日から100人、200人も来る計画を立てたのでは、金融機関からも、この経営者はずいぶん楽観的だという判断をされてしまいますし、謙虚すぎる数字ですと返済が焦げ付いてしまうのではないかと疑問視されてしまいます。例えば一般的な立地条件で比較的立ち上がるまで時間の掛かる内科を例としますと、診療圏調査で50人ほどの来院患者数が見込めるところであれば、5年目あたりにその数値を設定し、初年度は半分以下の22人、2年目で認知が進み10人増えて32人、3年目で口コミも手伝い8人増えて40人、4年目で患者数も安定してきて6人増え46人、そして5年目で4人増え50人。といった具合に一直線に増看するのではなく、なだらかに増えていくような計画が現実的だと思います。もちろん継承の物件や立地的にとても目立つ場所だったり地域的に需要の高い診療科目であったりすると、その予測の立て方も変わってきますので難しいところです。ただ、待合室に少ししか椅子がなかったり、完全予約制などにすると制限になりますので、そのあたりの注意をして予測を立てる必要があります。
次に診療単価をいくらで設定するかという事も大事なポイントになります。統計でみますと無床の診療所の外来として内科で6,000円位、整形外科で3,000円位、眼科で5,000円位、耳鼻科で3,000円ちょっと・・・という金額になっておりますが、少し低めの数値に設定しておき、当初は検査を少なめにして地域の特性や患者さんの要望などを見ながら少しずつ増やしていくようにしましょう。「あそこの診療所は希望もしない検査ばかりで高い」という評判にならないよう気を付けなければなりません。
次にクリニックの診療日数、週休2日で月22日計算が一般的ですが、先生のスタンスで決めて良いと思います。
来院患者数、診療単価、診療日数を掛け合わせたものが、企業で言うところの売り上げになります。
これら以外に診断書・証明書等の料金もありますので、売り上げの1%くらいを上乗せして良いと思います。
これらの一連の数値はあくまでも予測になりますので、作成者のさじ加減でずいぶん変わってきます。
また銀行の担当者に尋ねられた時に「コンサルタントが作ったものだから、ワシは知らん」と答えてしまうと、さすがにそういった経営者にお金を貸したいとは思わないでしょから、コンサルタントに頼むにしても、せめて銀行提出までには先生の頭に入れておいて欲しいところです。
次回は支出について書きたいと思います。
コンサルタント碇

2007-07-31