設計のポイント③ スペースの兼用

今回で4回目になります。ここまで偏った意見ではないでしょうか?偏りすぎてはいないでしょうか?あくまでも参考としてお考え下さいますよう、お願い申し上げます。
■「スペースの兼用」
さて、今回はスペースの兼用について書いていこうと思います。前回の連携の優先順位と近い考えですが、希望の部屋を全て配置していくと大きな物件が必要となってしまいます。限られた物件の中で有効な配置を提案する上でスペースの兼用が考えられます。
 例えば先生がお一人で、2つの診察室を希望。処置室にベッドを4台設置して内視鏡検査室と内視鏡検査の前処置スペース、リカバリースペースにベッド3台を考えるとします。診察室にはそれぞれベッドを1台ずつ配置しますとベッドの数は
診察室1台×2 + 処置室4台 + 内視鏡検査室1台 + リカバリー3台 +前処置
合計10台+前処置 となります。
ここで考えるのは同時使用があるかどうかになります。極端なお話ですと、先生がお一人ですので診察室は1つあれば診察を行う事は可能です。ですが診察の流れをスムーズに行う為には2診(ベッド2台)は必要になるかと思います。同様に処置室も点滴処置、心電図等の検査でも使用する為、ある程度(2~4台)は設けた方がいいでしょう。ですが、内視鏡検査やリカバリー用については先生が診察と同時に内視鏡検査を行う事はなく、診察中は使用していないベッド(スペース)となります。もちろん運営方法にもよりますが、仮に内視鏡検査を曜日や時間を決めて行う場合は処置室のベッドをリカバリー用として使用したり、内視鏡検査室のベッドを点滴や心電図等の検査としても使用する「兼用」が可能となります。
 先生が大勢勤務されている病院ではなく、先生が1~2名、スタッフも数名のクリニックですので時間帯でのスペースの兼用によって常に使用していないスペースを無くす事が物件を有効に使用する為に必要な事だと思います。
・第2診察室はエコー検査も行う検査室としても使用する。
・処置室のベッドを区画できるようにして内視鏡検査を行う。
・内視鏡(下部)の前処置は時間を決めておき、患者様はご自宅で前処置をある程度済ませてから来院頂く。
など、クリニック内でのスペースの兼用やクリニック内外でのスペースを兼用する事も可能です。
 いろいろなスペースの実際の使い方を考える事によって先生も設計士もイメージを共有して、より具体的な提案につながるかと思います。
今回はここまでにしようかと思います。次回は「設計のポイント④ 必要なもの?」です。
クリニックの設計士屋さん

2014-06-30