耳鼻咽喉科(水まわり、動線)

今回は水まわりと全体の動線についてになります。
■水まわりについて
・耳鼻咽喉科は一般の内科と異なり、患者様の数と比例して使用器具の消毒が多くなります。オートクレーブや薬品洗浄が一般的な消毒方法となり、スタッフが洗浄を行います。
・消毒のスペースはシンク、消毒機器のスペースはもちろんの事、その他にも器具を置くスペースを含めて広く設定した方が良いでしょう。スタッフが2?3人並んで作業ができるスペースを目安としましょう。シンクは清潔用、不潔用と2ヶ所あるといいでしょう。洗浄時には温水を使う事が多くなりますので給湯設備を必要になります。ガス式給湯と電気式給湯がありますが、どちらも温水の容量は多めに設定しましょう。また、シンク用の水栓金具とは別にファイバー洗浄用の水栓金具も忘れないようにしましょう。
・流し台の高さはスタッフが立って使い易い高さが基本となります。実際のスタッフが決まっている場合は確認は容易ですが、計画の段階ではまだスタッフが未定の場合がほとんどです。ひと昔まえは流し台の天板高さが床面より80cmが一般的でしたが、日本人の平均身長の変化とともに85cmや90cmの天板高さが一般的になってきております。ご家庭のキッチンと同じく立って使い易い高さ、85~90cmを目安に計画した方が良いでしょう。

■全体の動線について
・耳鼻咽喉科の基本の患者様の流れとしては次のようになります。
待合室→中待合室→診察室(治療)→ネブライザー(処置)→待合室(会計)
基本はこのような流れなのですが、動き方として大きくわけて2つのタイプが挙げられます。
①袋小路タイプ
・待合室から診察スペースの行き来をひとつのドアで行うタイプ。
・待合室から中待合室を経由して診察、処置となり、その後に中待合室を通り待合室に戻る。
・メリットとしてはひとつのドアでの動きになりますので患者様の流れを把握しやすくなります。動線のスペースも縮小しやすくなります。
・デメリットとしては中待合室に患者様の行き来する動線が重複してしまうので、混雑してしまう点です。
②回廊タイプ
・待合室から診察スペースに入るドアと待合に戻るドアが別々のタイプ。
・待合室から中待合室を経由して診察、処置となり、その後中待合室を通らずに直接待合室に戻る流れです。
・メリットとしては患者様の動きが一方通行になりますので、動線が重複せずにスムーズになります。
・デメリットとしては患者様の入る動きは把握しやすいのですが、出る動きが把握しづらくなり、今診察スペースに何名の患者様がいるかがわかりにくくなります。また、動線のスペースも多くなる為、必要スペースも広くなりがちです。

・以前は中待合室が診察スペースの中にある事が多く、中待合室で靴を脱いで診察スペースに入り、診察後に中待合室で靴を履いて待合室に戻る流れもあった為、①の袋小路タイプが一般的でした。近年は土足のまま診察を行うクリニックが主体となり、出入りが異なる動線計画も可能となった為、②の回廊タイプが増えてきました。物件の広さや形状によっても計画は限られますが、やはり個人的には②の回廊タイプの方がスタンダードになってきているかと感じます。
どちらのタイプでもまずは患者様の流れをスムーズにして、スタッフや先生が流れを把握して診察を行えるような配置を心がけましょう。

さて、まだまだ細かくは特筆する内容もあるかと思いますが、耳鼻咽喉科の一般的な内容はこのあたりでしょうか。不備や個人的偏りについてはご了承ください。
次回からは眼科についてご説明したいと思います。よろしくお願い申し上げます。

クリニックの設計士屋さん

2015-10-31