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■クリニック・医院開業のコンサルタントのコラム【物件の契約】

物件の契約

賃貸借契約のチェックポイント

開業までの過程の中で比較的軽視され、テナント開業の際、見落とされやすい項目に賃貸借契約の締結があります。おそらく住居の引っ越しの多い先生方にとっては、建物のオーナーと結ぶ契約と言うより不動産屋会社の方のみお会いしてサクサクっと終わらせる経験があるので、気軽に考えていらっしゃるようです。
実はこの賃貸借契約を安易に考え、後々に大変なストレスの原因となり挙句、移転した例というのも少なくありません。
判り易い項目で言いますと、これから経営者として毎月多額の賃料(固定費)を支払い続ける事を考えると、できるだけ低くなるように交渉する事は大切な事です。
不動産会社が仲介に入る場合は、おそらく「一般的な契約書ですから・・・全国不動産業用の契約書なんで・・・」といったようなもっともらしい話で切り出してくる業者さんが多いようですが、私の知る限り似た形式の物はあっても、まったく同じ契約書はチェーン展開している不動産屋を除いてはありませんでした。
勿論、良心的な不動産業者さんも多くいらっしゃいますが、仲介と言っても複数の物件を所有している、今後も繋がりの多いオーナーサイドに有利な、または保護するような契約書が一般的に多いようです。
そこで、大切な事は契約前に賃貸借契約書の雛形を契約を締結する前に見せてもらい、充分に吟味し、必要があれば交渉文を作成し少しでもストレスがなくなる契約書に近づける事です。契約を締結してからでは、まず変更はできないでしょうから、契約前の立場が強い段階でやらなくてはなりません。
契約書の雛形を見せてもらう為には、まずその物件の申し込み書を提出しなければならないでしょうが、この申し込み書はこちらの身分と何の業種をやるかをお知らせする意味合いで、提出したからといって債務が発生するような法的な制約はありませんので、その物件の立地や競合機関などの状況が、賃貸の条件が良ければ借りても良いという判断があれば物件を押さえる為にも早めに提出しても良いと思います。但し、申し込み書を出してから何週間も契約を先延ばしにしては、今後のオーナーとの信頼関係を築く上でもマイナスになりますので、それなりの覚悟は必要です。できれば、こういったやり取りは決定権のある先生ではなく、オーナーが不動産屋を立てるように、我々のようなコンサルタントか信頼の置ける第3者に任せた方がベターだと思います。不動産屋に対して曖昧な返事をしてしまい、それが決定事項として進むより、第3者を立てる事でギリギリの交渉をしてもらったり、一度持ち帰ってゆっくり考える事もできるからです。では、次回は具体的な交渉ポイントについて書きたいと思います。
コンサルタント 碇
【2006/11/26】


賃貸借契約のチェックポイント(具体的な交渉ポイント)

前回に引き続き賃貸借契約のチェックポイントについてですが、テナント物件の情報を取得する際、不動産業者が作成する募集広告を見て検討するケースが多いと思いますが、その広告の右下に契約の種類(専任や媒介など)が記入されていると思います。専任とは簡単に言うとオーナーから直接依頼を受けた不動産業者が借主を探している物件であり、その不動産業者がオーナーと面識があったりカギを預かっていたりするケースで、契約が成約した場合は、オーナーと借主の両方から仲介手数料を取得します。また媒介とは専任とは別の不動産業者が広く広告や希望者に紹介し(客付けとも言います。)、成約した場合は専任の不動産屋はオーナーから、媒介の不動産屋は借主側からのみ仲介手数料を取得します。借りる方としてはどちらも仲介手数料の金額は変わりませんので、あまり意味が無いように感じますが、実は厳しいギリギリの交渉をするとなればオーナーの性格や状況を把握している専任の不動産屋を味方に付け説得してもらうほうが、こちらの要望が通りやすい場合が多いようです。これはあくまでも不動産の交渉に限っての事であり、媒介の物件情報を扱っている業者の方が情報量が豊富なケースも多いので、どちらが良い悪いではなく交渉をする際の参考にしておくと良いのではないかと思います。
次に、そのテナントがどういった状況かを把握しておく事も大切です。こちらが新規開業であれば、当然建物も築浅で綺麗な物件の方が良い訳なのですが、裏を返すとその物件を建てる際、オーナーの方も多くの場合が借金をして建築し、場合によっては土地から購入しているかもしれません。したがいまして築浅、特に新築の物件などは金額的な交渉は、よほどふっかけた前提賃料でない限り難しくなります。狙い目としては、借り入れの返済が終了する築7年〜10年以降の物件であれば比較的、金額面での交渉にも乗ってくれるケースが多いように思います。これも建物の立地や他の借り手希望者の存在、オーナーの経済状況などによっても変わってくるところなので、参考程度にして頂ければ幸いです。他に賃料の交渉の方法として、最初の数年間だけ限定で賃料を抑える交渉をする事も効果的な方法の一つだと思います。どうしても新規開業となると認知されるまでに時間が掛かり、特に内科など競合が多く、ターゲットとなる患者さんの年齢層からも立ち上がりが安定するまでに年数が掛かります。その代わり診療単価などを考えると立ち上がってからは一番安定する科目でもあります。そこで最初の数年間だけオーナーに協力してもらい、固定費を抑える事ができれば経営的にはかなり助かります。当然、医療に理解のあるオーナーでなければ難しいと思いますので、そのあたりも交渉時には把握しておきたいところです。
コンサルタント 碇
【2006/12/31】


賃貸借契約のチェックポイント(交渉術)

またまた賃貸借契約のチェックポイントです。交渉してもなかなか賃料の値下げに応じてくれない場合、考え方を変えて契約期間を延ばす交渉をしてみは如何でしょうか。通常の店舗テナントの場合、契約期間は2年か3年で設定されているケースが多いようです。そこで知らなかったでは済まされない契約の更新と賃料の1ヶ月分の更新料が掛かってきます。医療機関の場合、内装や機械に掛けた投資額や、その業種柄10年、20年と継続して借り続ける事が予想されます。例えば、賃料が毎月50万円のテナントで、契約期間を10年にしてもらった場合、2年毎の更新に比べると10年間で200万円の差がでます。これを毎月の賃料に換算すると税込みで1万7千500円値引きをしてもらう事と同じになります。私がよくやる方法としましては「将来的に医療法人にする事を視野に入れており、管轄している社会保険事務所より10年以上、安定した医療を提供できる施設でなければならない。という指導があり、個人的にも長く安心してお借りしたいという希望がありますので契約期間を10年間として頂きたい。」(実際は契約の更新の際、優先的に契約を継続する事ができるというオーナーとの覚書があればクリアできるのですが、あえて伝える必要はないと思います。)という内容の文面を交渉文に入れるようにしています。ごく稀に更新料のない物件もありますので、その場合は無駄な努力になってしまいますのでノータッチで良いと思います。また契約期間中の解約については契約期間が長くても短くても予告期間が変わる事はないでしょうから、あまり気にしなくとも良いと思います。ちなみにこの予告期間も突発的に閉院しなければならなくなった時の事を考えると短くしてもらうに越した事はありません。最近は新築の医療ビル等で上記で述べたような普通契約ではなく、契約期間が15年以上などの定期借家契約を設定している物件もありますので注意が必要です。また別の機会に書こうと思いますが、借りる方より貸す方を保護する為の契約なので、できれば避けたいところです。
もう一つ契約交渉をする際の注意点としましては、共益費や管理費等の金額については値引き交渉をしない!という事があります。何が何でも安くなれば良いと言う訳ではなく、実際に借りる事になった際、供用スペースの清掃が不十分だったり照明が切れたりした場合、共益費をしっかり払っている事実があればオーナーや管理会社に対しても強く発言ができますし、エレベーターの保守点検や雨漏り等のビルのメンテナンスなどの費用はこの部分から当てられると考えてよいでしょうから、長く借りる可能性が高い医療機関としては、できるだけ清潔で不備のない建物が望ましいからです。
最後に契約を締結させるコツとしまして、できるだけ交渉事は少ない回数、できれば1回で済ませる事が大切です。例えば、賃料の値下げ交渉がうまくいったので、次は保証金、その次は契約期間といった感じで小出しにしていけば、当然相手方であるオーナーも不信感を持ちますし、契約が成約したとしても、なんらかのシコリが後々まで残ってしまう事があるからです。申し込み書を出して、契約書の雛形を見せてもらい、交渉文を作成・提出し、その返答で借りるかどうかを決定する。という流れで契約するのがベストだと思います。それにオーナーと初めて会う際に菓子折りを忘れずに持って行けば完璧ですね。
コンサルタント 碇
【2007/01/30】


賃貸借契約のチェックポイント(契約締結前)

今回は賃貸借契約と言うよりも、契約締結前にチェックすべきポイントについて書きたいと思います。検討している物件が、すでに建っている場合は、しっかりと内見をさせてもらいましょう。
医療機関として借りる訳ですから患者さんが入りやすいアプローチになっているかどうかは、高齢者の多い内科や整形外科には特に大切なポイントになると思います。
1階であれば外からその建物に入るまでに段差がないかどうか。入口(自動ドア)は車椅子でも楽に入れる開口があるか(約80cm 以上)。クリニックに入ってから床上げなどの段差がなくレイアウトができるかどうか。もし上の階であれば、それらに加えてエレベータまでのアプローチとエレベーター自体の大きさも気になるところです。9人乗り以上であれば車椅子の方も入れますが、中に入ってから回転できなかったり、付き添いの方の事も考えると11人乗り以上の物であれば尚良いと思います。
段差がある場合はスロープ等の設置も考えなければなりませんが、勾配が1:8以上の通路が必要になりますのであまり得策とは言えません。
また、対策はありますが朝日や西日がきつくないか、雨や台風の時に雨水が入ってくるような事がないか等の自然現象の事も考慮したいところです。
築年数が経っている建物であれば、雨漏りや窓の開閉がスムーズにできるか等もチェックしておかなければなりません。契約が済み内装工事に取り掛かってしまってからでは、責任の所在が曖昧になり借主の方で負担しなければならなくなる可能性もあります。
将来的に出る時の事も考えて、退出の際は原状回復が原則ですので、写真や図面なども残しておきたいところです。長い年数を借りる事が予想されますので、当時の状態を覚えていなかったり、オーナーが代わったりする事もあります。悪い状態で借りたのに、綺麗にして返せという話になってしまっては証拠が必要になり、意外と残っていないケースが多いのです。
またレントゲンが必要な診療科目であれば、電気容量も確認しなければなりません。医療ビルで募集している建物でも設計会社が医療機関の必要容量を把握していないケースが私が知る限りでも少なくありません。建物自体に変電設備があっても残りの容量が足りなかったりすると、その増設に多額の資金が必要になるケースもあります。
電気同様、レントゲンやCT、MRI等は重量もありますので、上の階の時には気を付けなければなりません。1階であっても、床下にピットを設けている建物もありますので油断はできません。またCTやMRIになると搬入経路のスペースも考慮しておかなければ、外壁を壊して開口し、搬入後、補強も含めて外壁を作り直すという事態にもなりかねません。その辺りにくると、やはり実績のある専門業者に一度相談、見てもらった方が良いと思います。
最後にその物件が区画整理や計画道路に掛かっていなかも確認しましょう。セットバックしなければならなくなると、現実的にその場所での診療の継続は無理だと考えられますし、立ち退きで補償金をもらったとしても、その場所で患者さんが着くまでに払った努力が報われる程は期待できません。
今回は不安を煽るような事を書いたような気もしますが、対策を講じる事でクリアできる事も多いと思います。
多くの開業の場合この不動産の契約を締結してからは、開業を取りやめると債務が発生する事になってしまいます。
先生方の開業が後悔のないものになるよう、少しでも参考にして頂ければ幸いです。
コンサルタント 碇
【2007/02/28】


賃貸借契約のチェックポイント(店舗保険)

賃貸借契約書に記載している場合もありますが、記載されていない場合にも忘れないでおきたい項目として店舗保険について書きたいと思います。
大きな保証の内容としては火災がピンとくるのではないかと思いますが、スタッフをはじめ不特定多数の人の出入りがある事を考えると、オール電化で済ませたいところです。が、ユニットシャワーや大量のお湯を使う医療機器、洗い物が多い診療科目であれば特に冬の寒い時期は電気温水器だけでは足りなくなりガスを使った方が良い場合もありますので、気をつける事は勿論ですが、保険にも入っておかなければなりません。
医療機器をリースにした場合は内装費の総額を保証金額の目安にすると良いと思います。
火災だけでなく、盗難や地震を除く天災、事故等も保険の対象となりますので、よく契約内容を確認しておきたいところです。また、2階以上での開業であれば水漏れは医療機関からの排水事故という事で大きな損害を与える可能性がありますので必ず入っておきましょう。家財だけでなく、建物側の躯体にも損害を与えた場合にカバーする借家人賠償責任保険の特約は契約時にしか付けれないケースもあり、保険額がさほぼ大きくはありませんので、できれば付けておきたいところです。
契約書に指定の保険会社と書いてあっても、相談すると必ずしも強制という訳ではないケースもありますので確認しておきましょう。私の場合は不払いの話や倒産する事がまずないだろうと言う事で外資系の損害保険会社をお勧めするようにしています。
また保証内容も各社様々ですので、できればご自身で内容を把握しておきたいところです。せっかく保険にはいっているのに使わずに(使える事に気が付かずに)済ませてしまうケースがとても多いからです。
以前こういった事がありました。クリニックの中の装飾看板を患者さんが倒して破損させてしまい、患者さんに請求するのも気の毒で、かといって修理には何十万円も掛かってしまう物だったのですが、相談を受け保険に入っている事が判りましたので全額保険でカバーできました。おそらく、ガラス割れから台風被害まで金額の大小にかかわらず自腹で修理や交換をされている院長先生がとても多いのではないかと思います。せっかく加入していて権利がありますので、まずは相談する事をお勧めします。
また、クリニックに車が衝突して被害の全額を相手側の保険で補償してもらったとしても、クリニックの方で入っている保険で、その補償額とは別に何割かのお見舞金が出る場合もありますので、事故に便乗する訳ではないのですが、権利は行使できるよう理解しておく事は大切な事だと思います。
ただ、あれもこれもと重複するような保険に闇雲に入っても無駄になる場合もありますので、どこかのCMではないですが、収支のバランスを大切に専門家に相談する事をお勧めします。
コンサルタント 碇
【2007/03/30】

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