医院開業物件 の紹介から開業までのコンサルタント Nステージ株式会社

■クリニック・医院開業のコンサルタントのコラム【クリニック設計のポイント】

クリニック設計のポイント

設計の会社を選ぶポイント

今回はクリニック設計のポイントについて書きたいと思います。当然ご自身の医院ですので、全体のイメージやコンセプト等をしっかり決めておく事は大切な事なのですが、それだけで突き進んでしまうと後々大変な状況になりますので、まずは設計の会社を選ばなければなりません。
設計の会社を選ぶポイントとしては、どれくらい医療機関の設計の実績があるか。というところだと思います。どんなに大きい会社や有名な設計士であっても医療機関について知識がなければ先生が主導になって話を進める事になります。診察まわりのレイアウトは完璧にできたとしても、電気容量や給排水の設備、患者さんとスタッフの動線など使う上で最も大切な部分が配慮されない物になってしまう可能性があります。
そのあたりが、住宅や商業施設と医療機関とではまったく違いますので、医療機関の実績があるところ、できれば医療専門の会社に依頼する事で有意義なアドバイスを聞く事ができます。
細かく言うと先生の診療科目での実績数も確認しておきたいところです。例えば先生が内科なのに歯科と福祉施設を何件かやった事があるだけで、医療機関の実績は充分にあります!というような業者も少なくないからです。
同じように担当する設計士の実績や相性も大切になります。なかなか先生の言う意図を理解してもらえなかったり、まったくイメージの違うデザインを提案してくるようであれば開業準備の忙しい時に大変な時間のロスと余計なストレスになってしまいます。できれば先に開業した知り合いのクリニックを多く見学させてもらいデザインや評判の良い会社・設計士を紹介してもらえるとベストだと思います。
設計のコストですが、医療機関専門の会社になるとおおよそ概算内装工事費の8%〜15%くらいが相場のようで、他の建築設計より少々割高になります。しかも医療専門ですと独自のノウハウ流出を防ぐ意味合いもあり設計・施工が条件の会社が多く、設計のみを単独で受注している会社は少ない現状があります。設計の会社を決め図面が完成してから複数の施工業者で相見積もりを取る方法、医療専門の設計・施工の会社に複数依頼し絞っていく方法等、どのような方向で業者を決めていくかを事前に検討しておく必要があると思います。ちなみに後者の方法ですと相当な時間と手間が掛かりますので、あまり手を広げすぎると時間的に自分の首を絞める事になりますので気をつけましょう。
私自身、以前医療専門の設計・施工の会社に在籍していた経験がありますので言いますが、相見積もりをされている間はあまり特殊性の高いノウハウや動きをしなかった記憶があります。設計士も同じで専門性の高い技術やデザイン、詳細のプランはお見せするだけでお渡しはしていなかったようでした。やはり相手も人間ですので、信用してもらえれば期待に応えようと頑張るでしょうし、逆もあると思います。できるだけ早く見極め人間関係を深めていった方が結果的に納得のいく設計に繋がっているようです。
これらの事は他の業者さんや対人関係にも通じる物があると思います。偉そうな事を言うつもりはありませんが、そのあたりを上手にできる先生と、そうでない先生とでは開業後の結果が変わってくるのではないでしょうか。
次回は少し具体的なクリニック設計について書きたいと思います。
コンサルタント 碇
【2007/10/31】


待合室のレイアウト

今回からは少し具体的な事を書いていきたいと思います。
まずは入口ですが、すでに出来ていればうまく利用する方法を考えるとして、これから作るのであれば開口部は車イスが通れる事は当然ですので最低でも85cmは欲しいところです。ただ広ければ良いというものでもありません。それは風除室などを設けなければ、外気が直接入ってきますので入口が広ければ広いほどせっかく空調で冷やしたり暖めた室温を逃がしてしまうからです。予算や広さに余裕があれば風除室があると良いと思います。また方角や環境などから直接風邪が入ってくるような入口であれば多少無理をしてでも風除室かツイタテなどで外気が入りにくくしたいところです。
入口扉は自動ドアでタッチパネルが一番問題が少ないようです。ただし昨今の自動ドア事故もありますのでセンサーが横方向、縦方向と2重になっているかは確認しておきたいところです。また自動ドアの場合、引き込みが内側になってしまいますので、パネルで隠したり傘立てや棚などを置いてつまらない事故がおこらないよう心掛けましょう。小児科や耳鼻科などお子さんが多い科目では特に注意が必要です。また、これだけバリアフリーの意識が浸透していますので当然、段差などができないようしたいところです。健常者にはなんてことのない段差でも具合の悪いお年寄りには注意力も低下している為、思いもよらない事故に繋がってしまう事もあります。実際5mmの段差があればつまづいてしまうとの話もよく聞きます。
次に待合室についてですが、全体の広さのバランス、来院患者数の予想を基に広さやイスの数を考えましょう。クリニックのイス配置は飛行機やコンサート会場とは違い、前のスペースに充分に患者さんが通れるよう配置しなければなりません。特に受付カウンターの前は受付や会計の患者さんが重なる事もありますので、さらにスペースが必要です。あまり効率を考えすぎると狭苦しいイメージを持たれかねませんので、患者さん同士、受付との目線などにも配慮し、観葉植物や音楽などを取り入れゆったりした気持ちで患者さんに待ってもらえるよう考えたいところです。最近は冷水機やインターネットスペース、血圧計などをサービスで設置している待合室も好評なようです。
高級志向でデザイン優先で待合室の床材をタイルカーペットを使っているクリニックもありますが、診療科目、患者さんによってはホコリやダニのアレルギーが気になる方もいますし、出血や具合が悪くなって吐く患者さんもいらっしゃるでしょうから、できれば拭ける素材の物が良いと思います。カーペット類の場合は綺麗なうちはイメージも良いのですが、汚れが目立ち拭き取りにくいという欠点もありますので、比較的短期間で交換するように心掛けましょう。クリニックにとって清潔さを保ち続けるという事は何よりも大切な事だと思います。
壁については壁紙クロスが主流になると思いますが、こちらも物によって表面が強化加工されている物ですとキズがつきにくく、汚れても拭ける素材の物がありますので、耐久期間も長くなるので良いと思います。最近はプリントの技術が向上しておりますので木目調や石目調の壁紙をポイント的に使い、デザインとして使っている待合室も印象が良いようです。
天井については照明がポイントになると思います。勿論明るさ重視で蛍光灯も良いと思いますが、ゆったりとした空間創りにダウンライトや間接照明を効果的に使い優しい光を演出として使われるクリニックも増えてきています。照明器具も沢山種類がありますので、じっくり選びたいところです。
クリニックにとって待合室は患者さんが初めて入り、出て行く場所になりますので良い印象を持ってもらう為のもっとも重要なスペースになるのですが、あまり懲りすぎてゴチャゴチャとした落ち着きのない空間になってはいけませんし、高級になりすぎて患者さんから『保険は利くのでしょうか?』という質問が出てしまうようだとやりすぎですので、全体のバランスを考え清潔でゆったりしたスペース創りを心掛けましょう。
コンサルタント 碇
【2007/11/30】


待合室のツール

前回は待合室のレイアウトにつきて書きましたが、今回は待合室に置く物について。
まず待合室で一番存在感がある物はイス・ソファーだと思います。正直なところ、床・壁・照明の仕上げがすごく感じがいいのに待合室のソファーが台無しにしているクリニックを多く見かけます。理由として考えられるのが、内装をする設計士とイスや棚などを扱う業者さんが異なる為、統一したイメージが持てない。次に医療機器業者が扱う什器備品(イスや棚・机等)は圧倒的に種類が少ない等の理由が挙げられると思います。
イスやソファーについては必ずしも医療機器業者の物を選ばなければならないという事はないと思いますので、多少面倒でしょうが家具メーカーの資料を取り寄せたり、実際に家具屋や展示場をまわるくらいの気持ちを持ちたいところです。その際にクリニックの仕上げ材を担当した設計士やカラーコーディネーターにも同席してもらい意見やアドバイスを聞けると尚良いと思います。
色やデザインだけでなく、材質なども重要になってきます。診療科目にもよりますが、高齢者がメインの診療科目ですと座る位置が低く柔らかい材質のソファーは一見、座り心地が良く高級そうに見えますが、足腰の弱い(病気や怪我をしている)高齢者にとっては立ち上がるのに相当な負担が掛かってしまいます。また足の部分が細い単体のイスや、患者さんが増えた時に折りたたみ式の椅子を用意しようとするアイデアは小児科や耳鼻科など子供が多い診療科目では退屈な待ち時間の恰好のオモチャとなり思わぬ怪我にも繋がりかねませんので注意が必要です。
また金額的に頑張りすぎて、開院日にボールペンで目立つ汚れが付いてしまい凹んでおられた先生もいらっしゃいましたので、拭き取りやすい素材の物やカバーが付いていたり比較的簡単に張替えができる物の方が精神的にも良いと思います。
あと子供のオモチャになりやすい物としてプラスチック製のブラインドもこれ以上折れないという程パッキパキになっている場合がありますので、そういった診療科目のクリニックには布地のロールスクリーンできればウォッシャブルタイプの物がお薦めです。
テレビを置く、音楽を流す等のサービスは先生方のお好みで良いと思います。声の大きい先生ですと診察室の声が待合まで聞こえてくるとマズいですので効果的な設置場所に何らかの音響設備があった方が良いかもしれません。最近はテレビもずいぶん薄くなり壁掛けタイプ等、場所をとらなくなってきました。また、PCと連動させてクリニックや病気予防のインフォメーションを待合室のモニターで流すサービスなども好評なようです。また雑誌や本を置くラックや掲示板の位置などを最初から考慮して待合室のレイアウトを考えると後々困る事も少ないと思います。
せっかく独立した自分のクリニックですので、好きな物や趣味を出す事も悪くないと思います。そうする事によって患者さんとの距離が近くなったり、コミュニケーションをとるキッカケになったりするケースもあります。例えば知る人ぞ知る有名なスピーカーを設置して、音楽好きな患者さん達と話が膨らみ休診日に音楽鑑賞会をクリニックで開催する事になったり、趣味の登山に関する専門書を本棚に並べていた事がキッカケで友人ができたり等など、比較的軽度の患者さんの多いクリニックだからこそできる事であり、地域に密着するという意味では大変良い事だと思います。
ある鉄道模型の好きな先生はカルテを電車で受け渡すアイデアも出ましたが少々やりすぎでしたので模型を飾って披露する程度にしてもらいました。
仕事場に個人的なコミュニケーションは必要ない。重軽度に係わらず医療機関に相応しくないという考えも勿論あると思います。ただ看板を出して待っていれば患者が来る。という時代から患者様が選んで来院する時代に移り変わっています。何らかの特殊性やサービスは大変重要な意味を持ち、ひいては安定した医療を提供し続けるクリニックの存続の大きな助けになる事もあるのではないでしょうか。
次回は受付にスポットを当てて書きたいと思います。
コンサルタント 碇
【 2008/01/31】


受付カウンター

今回は受付について。事務員スタッフの仕事の能率に大きく影響を与える場所として一番のキーポイントになるのが、クリニックの顔とも言われる受付カウンターになると思います。
まず場所ですが、不安を抱えて来院された患者さんを迎え入れるという意味でも入口から見える、できれば正面に設置できる事が望ましいと思います。その際、直線的にゆったりと患者さんが受付まで来れるルートを確保する事は帰る時のルートも含めて大切になります。
次に作業面の広さですが、ついつい陥りやすいミスとして当初人件費の事を考えて1人か2人の受付事務員で回していこうと考えて、その広さを狭くとっていると後々順調に患者数が伸びてきた時に手狭になってしまうというケースがあります。診療科目にもよりますが、流行ってきた時にスムーズに作業できるようスペースを確保しておく事をお勧めします。かと言って作業面の奥行きを取りすぎると受付や会計時に患者さんとの距離があいてしまいますので要注意です。以前奥行きを一番とっていたコンピュータのディスプレイはブラウン管から液晶になっていますのでそのあたりは楽になってきました。ただレジスターを大きい物を選んでしまい作業面からはみ出すというイージーミスもありますので調べてから購入しましょう。作業面の一つのポイントとして電子カルテやレセプトコンピューターと連動しているプリンター等を足元に配置する事が考えられますので、作業面の奥に配線をつなげる為の穴があるか確認しましょう。その際作業面の配置変えをしたり受付を2人体勢から3人体勢に変更したりした時に対応できるよういくつか穴を確保しておいた方が懸命です。また薄くても構いませんので引き出しを付けておくようにしましょう。作業面が物であふれていると患者さんに対してのイメージも悪いですし、細々した物を整理できます。
作業面の高さはだいたい70cmくらいで患者さんと接する天板の高さは診療科目によって異なりますが95cm〜105cmくらいになると思います。内科や整形外科など腰の曲がった高齢者が多い科目ではできるだけ低く設定した方が良いと思います。
患者さん側からの側面には会計時にバックをのせる事のできる棚板を設置したりスペースの有効活用で本棚を埋め込みで作ったりしているクリニックもあるようです。
色々なクリニックカラーを出す事もできるカウンターの側面ですが、まずは受付から会計までの流れを考えて、コンピュータ・プリンタ・コピー機・電話等の配置を2人体勢時と3人体勢時まで想定してレイアウトできればベストです。
以前、医療関係の実績のない施工業者が、幅60pくらいの電話くらいしか置けないインフォメーションデスクを置いて受付カウンターとしているクリニックを見た事があります。見た目的にはカッコよかったのですがまったく仕事にならないでしょうから、そうならないよう気を付けましょう。
また一昔前までは受付の背後にはカルテ棚が並んでいましたが、昨今の電子カルテの普及により、新規開業のクリニックではその姿を見かけなくなってきました。その空いた壁面をつかってクリニックイメージを印象付けるような工夫が流行っているようです。壁面を壁紙ではなく家具材や石材のような別の材質を使ったり、間接照明をあててクリニックのロゴを埋め込んだり、大型液晶画面で環境映像を流したりとその工夫は様々です。クリニックに良い印象を与えられるよう色々と考えておられる先生方も楽しそうです。ですが受付スタッフが愛想が悪かったり、間違いばかりするような人だと台無しですので、そうならないよう気をつけましょう。
コンサルタント 碇
【2008/02/29】


診察室

今回は診察室について。
クリニックにおいてのコックピットとも言える診察室は、先生が今後の人生で一番長くいる場所にもなるでしょうから、しっかり考えたいところです。
まずは場所ですが、これまでの勤務医時代のように診療に集中できる事だけを考えていてはどうにもなりません。開業するという事は経営者にもなるという事ですのでクリニック全体を居ながらにして管理できるような配置を考えたいところです。
電子カルテの普及により直接のカルテの受け渡しがなくなりつつある受付と診察室の関係ですが、受付スタッフとしっかり連携を取る事で待合室の状況を把握したり、予期せぬトラブルが生じた時にすぐに駆けつける事ができるような距離にしておきたいところです。勿論、受付スタッフも先生の目が近いとより緊張感をもって仕事をするはずです。逆を言うとせっかく診察室でしっかり診療していても受付スタッフがだらしなかったり、患者さんが不満を感じるような対応をしてはクリニックの印象は台無しになってしまいます。
診療時間ギリギリに来院した患者さんを帰したり、隠れてお菓子を食べているという嘘のような話も、実はよく聞く話ですので、そのようなクリニックにならないよう心掛けたいところです。(その前にそんな強者を人選しないようにしましょう!)
同じように処置室やリハビリテーション室も出来るだけ診察室に近い位置に配置し、患者さんの様子や急変などないかすぐに気が付けるようにしたいところです。レントゲンの操作室も同じような事が言えます。
以上の事から診察室というコックピットを中心に各セクションを隣接していけるとベストだと思います。
次に内部について。多くのクリニックの見て感じる事なのですが患者さんの入口から、患者椅子までの距離をもう少し開けるように配置すると良いのにとよく思います。というのは初診の患者さんは特に椅子に座るまでの歩き方を観察したりなど、雰囲気を掴む間がもてるからです。また保護者の方や付き添いの方がある場合もあるでしょうから、その方々にもゆったりとした印象を持ってもらう事は大切な事だと思います。患者さんもいつ開くか判らないドアが真後ろにあると落ち着かないでしょうから、後に2人くらいは座れるスペースを確保すると良いと思います。
逆に診療科目にもよりますが患者さんのプライバシーをどこまで確保できるかも気を付けたいところです。待合室で待っている間や、処置室で点滴を受けている時に診察室の話が丸聞こえでは、今後通院したいとは思わないでしょうから、患者さんと話す方向や壁の防音性なども含めて考え、カーテン等にしても良い開口、天井を開けても良い壁の位置などを考えたいところです。特に最近はプライバシーに関して患者さんが敏感になっている傾向があるようですので注意が必要です。
また電子カルテやCRの普及により診察デスク上にモニターの数が飛躍的に多くなりました。診療内容に関わる事ですので強くは言えませんが、診療科目や患者さんの年齢層によっては抵抗を感じる方も少なくないようです。兼用できるようなモニターであればコンパクトにまとめた方がデスク上も整然として良いのではないかと思います。特に電子カルテの打ち込みに集中してしまいすぎると患者さんとしては置き去りにされたような印象を持ってしまい、評判を落とす原因にもなっているようですので、注意が必要です。とはいえ日進月歩の医療機器業界ですので将来を見据え、電気容量、コンセントなどは余裕を持って配置しておかなければなりませんが。
「病を診ずに、人を診る。」という言葉を聞いた事がありますが、まさにそのような診療を実践しているクリニックの方が地域に愛される医療機関として活躍しているようです。
偉そうな事を書いてしまいまい少々照れくさいのですが、診察室のIT化が加速する現状だからこそ、原点である患者さんとのコミュニケーションを優先して、診察室のレイアウトを構築していく事をお勧めします。
コンサルタント 碇
【2008/03/30】


処置室・スタッフルーム

今回は処置室やスタッフルームについて。
処置室はその専門科目により異なりますが、一般内科をベースに考えた場合ベットを何台置くかは悩みどころになっているようです。
冬の風邪やインフルエンザが流行する頃に点滴をする患者さんが重複する為、ある程度余裕をもった台数を確保したいところです。
ただ1台増やす事によりそれなりに広いスペースを使う為、診察室や待合室などの広さにも影響を与える事になります。
そこで最近は処置用のベットを確保した上で、点滴ベットの代わりにリクライニングチェアを処置室に配置しスペースの有効活用をしているクリニックが多くなっているようです。
手洗い流し台について、流し台の位置は給排水の絡みである程度限定されるでしょうから、その周辺に消毒や手洗いなどが必要になる処置ベットや検査スペースを配置する事で院内感染などを最小限に留める事に繋がると思います。
一般的な流し台は低めに設定されていますので、耳鼻科など洗い物が多い科目ですとスタッフの方が腰を痛めるという話も良く聞きますので、内装工事の段階で下台を付ける事をお勧めします。
また、オートクレーブを置くスペースや器具を乾かしたり保管するスペースも充分に確保したいところです。
最近は水道の蛇口が蛇腹のシャワーホースになっているタイプもあり、シンクの掃除洗いなどで活躍しているようです。
意外と忘れがちな物として、院内で使う薬品を保管する冷蔵庫、洗濯機は最初からレイアウトに入れて考えないと、後になってからは大変ですので導入を含めて事前の検討が必要です。
最近は乾燥機付きの一体型の洗濯機がスペースなどの面で好評なようです。
次にスタッフルームについて。
基本的にはスタッフの貴重品を入れるロッカーと更衣スペースがあれば事足りるのですが、お昼休みなどをゆっくり過ごしてもらう為に給湯設備やテーブルなどを置いているクリニックも多いようです。
確かに近くに食事をするところやコンビニもないような場所であれば、長く務めてもらう為にもスペースを確保したいところです。
その配置については、込み入った話をする可能性が高い院長室とは離れていた方が良いようで、できればお昼休みの来客にも対応してもらえるよう受付の裏あたりがベストだと思います。
最近はスタッフルームに畳をひいて直に座ったり寝転んだりできるように配慮したり、掘りごたつ式のテーブルにしているクリニックもあるようです。
最後に院長室について。
クリニックの設計レイアウトの段階で多くの先生方が院長室は必要ないと言われます。
確かに全体のスペースがギリギリだったり、患者さんのスペースを優先的に考える事は良い事だと思います。
ただ、これまでの勤務医時代と違い経営者になるという事を考えると、スタッフに聞かれたくない第三者との相談事や見られたくない資料なども出てくるはずです。
今は休みなしのフル活動で頑張れても、体調が悪い時もでてくるでしょうし、15年先20年先を考えると一人になってゆっくり休める場所があったほうが、より良い医療を提供する事にも繋がるのではないでしょうか。
院長の気力・体力がクリニック運営の一番の基になります。せっかくの自分のクリニックです。
スタッフルームよりちょっとだけ贅沢な院長室を作る事をお勧め致します。
コンサルタント 碇
【2008/04/30】


「設計士の基本」「設計士との関係」

 Nステージさんより依頼を頂きまして今回より数回にわたりクリニックの設計について概要やポイントについて書かせて頂く事になりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 クリニックの設計の概要、ポイントと言っても私が多くの先生方のお手伝いをさせて頂き、医療機関の設計に携わり学んだ事、気を付けなければいけない事のまとめとなりますので、ある程度偏った考えとなっているかと思いますが、どうぞご了承下さい。
今回は「設計士の基本」「設計士との関係」について書いていこうと思います。
■「設計士の基本」
 設計士の基本ですが、いろいろな設計士がおりますので様々な提案方法があるかと思います。ここで基本となるのは、やはり医療関係を多く経験し実績のある設計士が基本かと思います。
 クリニックの設計においては、住宅等とは異なりそれぞれの配置、先生やスタッフの方の動き、患者様の流れを解っている必要があり、基本ベースとして以上の事をふまえた上での打合せ、提案ができる設計士でないといけません。住宅や店舗の設計実績が多くてもクリニックの動きに理解が浅いと、提案に対して先生がひとつひとつ確認、説明、修正をしていかなければなりません。このような場合、充実した打合せとは言えず、時間のロスやストレスになってしまいます。
 あくまでも基本ベースを理解した上での提案内容に先生ご自身の考えを色付けしていく事が打合せをスムーズに進める上での条件となります。
1回1回の提案を充実したものにし、開院までのスケジュールに合わせてストレスのない(少ない)打合せを重ねていければいいと思います。
■「設計士との関係」
 さて、次に設計士との関係についてです。
先にも述べましたが、クリニックの設計実績が多い設計士にも様々な方がいます。それぞれが会社の考え方や個性だとは思いますが、建て売りの造られた物件ではなく、造りあげていく事が基本になると思います。同じ科目、物件としましても多種多様なプランが考えられます。デザイン面でも同じ事が言えますが、1つの提案(プラン)を曲げずに押してくる設計士ですと、先生のクリニックではなく、その設計士のクリニックになってしまいます。
 やはりクリニックを立ち上げるという事は大きなプロジェクトであり、先生ご自身の考えを反映させて複数のプランや提案を確認するべきだと思います。複数のプランのメリット、デメリットの検討をする事により、それぞれのメリットの組合せたプランニングや、「このプランは無いな」「こっちのプランに方がイメージに近い」と言った再確認が出来、よりイメージに近いクリニックになります。もちろんプロとしての提案、考え方は大事なのですが、その考えに固執するのではなく幅広い提案をする事も大事な事だと思います。場合によっては複数の会社の設計士の提案(プラン)を見比べて検討する方法もありますが、先生としては一度説明した事を繰り返さなければならず、時間のロスとなってしまいます。できましたら1社(1人)の設計士で同じ動きができますと前回の打合せをふまえた充実した打合せを重ねていけるかと思います。
 ただし、先にも書かせて頂きましたが、クリニックを立ち上げるというのは大きなプロジェクトであり、先生ご自身も深く関わって頂きたいと思います。設計士の提案任せではなく、先生や奥様、場合によってはご家族やお知り合いの先生のご意見やイメージを多く出して頂いて、設計士と一緒に悩み、考えていく事も大事な点だと思います。
 プロの設計士としては建て売りではなく、関係する方々の意向、イメージを理解し反映させ、それを上回る提案が必要となります。一緒に悩み、考えて出来上がるクリニックだからこそ先生ご自身の思い入れが深くなり、設計士とも開院後も長く相談できるパートナーとしての関係を築き上げる事につながります。先生ご自身のオーダーメイドのクリニックの提案、そして10年、20年と信頼しあえる関係。そんなパートナーになりたいと思います。
 1回目という事で気合が入ってしまい、長文失礼致しました。あまり書きすぎると今後の私自身のハードルが上がる気がして不安になりますので、次回からはある程度肩の力を抜いていこうと思います。次回からは「設計のポイント」について書いていこうと思います。偏った考えですが、少しでも先生方のご開院に向けてのご参考になればと思います。
 今後も宜しくお願い致します。
クリニックの設計士屋さん
【2014/03/31】


「設計のポイント@ 可能かどうかの検証・各部屋の広さ」

 さて、今回から「設計のポイント」について書いていこうと思います。
 前回も書いた通り、まずはクリニックの動きを理解した設計が基本となります。その上で物件や条件に合わせた提案が設計プランになります。
■「可能かどうかの検証」
まずは科目、物件の広さや形に応じて必要な部屋を配置していきます。全体の配置がおおまかに決まりましても、実際に可能かどうかの検証が大事な部分となります。
 更地から計画する新築物件や、既設の建物に入る賃貸物件によっても異なりますが、確認が必要な点としましては、水廻りがあります。通常水を使用する部分には、給水・排水の配管が必要となります。電気や空調設備は配線や配管を延ばしてある程度自由な範囲で設置ができるのですが、水を使用する場合使用した水を処理する為の排水配管、流れていく為の勾配が必要となります。
 動線計画のままクリニック内にトイレを配置しても、排水ができない、流れにくい状態となってしまってはプランニングの上では致命的となってしまいます。昨今は物件全体の床が下げてあり、計画の床下のスペースで配管を行ってある程度自由なプランニングが可能な物件も増えてきましたが、まだまだ排水設備に制限がある物件が多いのが現状です。新築の場合でも構造(梁等)に干渉しない部分への配管計画、既設の物件の場合は今ある排水配管へのルート、勾配の確保が必要となります。デザインとしての配置計画(プランニング)ではなく、物件の状況に基づいた実設計としての配置計画が重要なポイントとなります。
■「各部屋の広さ」
次にそれぞれの部屋の広さですが、やはり実際に置くものを想定した広さを含めての広さの設定が必要です。例えば診察室であればデスクとベッド、患者イス、荷物置き等が考えられます。単純にデスクと言っても上に何を置くかで大きさを検証する必要があります。最近は電子カルテが主流ですので、まずは電子カルテ用のパソコン(ディスプレイ)、X線等の画像表示用のディスプレイ、インターネットを使用する単独のパソコン等を置く事を考えるとデスクは昔よりワイド寸法の広いタイプのものが適正だと思います。デスクの形状も四角のタイプや患者様側にラウンドしたタイプ等、さまざまな形状があります。デスクとベッドを対面配置した場合にその間に先生や患者様がいる訳ですが、仮に四角いデスク(一般的に奥行き70cm程度)で計画してベッドまでのスペースを120cmを確保しても、ラウンドタイプのデスク(奥行き100cm程度)を設置した場合はベッドまでのスペースは90cm程度と、やや手狭になってしまいます。さらに患者様が1人で診察を受ける場合と付き添いの方や患者様が車イスで来院された場合も考慮しなければなりません。各部屋を広さ(面積)だけで考えるのではなく、実際に置くものや使い方、使用時の状態を想定しての検証が必要となります。
 実際に壁ができる前に図面上で想定した器具を配置して確認を行った方がよりわかりやすく具体的になるかと思います。部屋を広さや面積だけではなく、実際に使用するイメージを持って提案を確認するようにしましょう。
気が付くとまた長くなりそうなので今回はこのあたりまでとさせて頂ければと思います。
次回は「設計のポイントA 全体の配置・連携の優先順位」について書いていこうと思います。次回もよろしくお願い致します。
クリニックの設計士屋さん

【2014/04/30】


「設計のポイントA 全体の配置」

 今回も前回に続きまして設計のポイントについて書いていこうと思います。
■「全体の配置」
 クリニックは大きな病院とは違い、ある程度先生ご自身が全体を把握する必要があります。理想としては先生が診察室で診察を行いながら、少し動けば待合の様子や受付の状況、処置室の患者様の容態等を把握できる配置が望まれます。診察室で患者様を診ているだけではなく、クリニック全体の流れを把握、管理しなければなりません。同時に各部屋を把握できるという事は 把握=目の届く=近い距離 となりますので、先生ご自身の動線も短く設定できる事になります。さらに先生とスタッフ、スタッフ同士の連携も行い易くなりますのでクリニック内の人員を少なく設定する事にもつながります。診察をしている先生を中心にして各部屋の連携がスムーズに行える配置が基本となるかと思います。
 ■「連携の優先順位」
 さて、先ほど「理想としては」と書かせて頂きましたが、全体の配置を理想通りに配置する事は難しい部分があります。物件の形や状況に応じて配置の優先順位を決めなければなりません。もちろん、広さも十分にあり、設備等の建築条件もクリアした状態でしたら、自由に配置を行って物件の形を決めれば良いのですが、なかなかそのような条件の物件はないかと思います。
 例えば内科の場合、待合室が受付に面していて、診察室や処置室等診察スペースに直接入れ、トイレにも面している必要があります。その上検尿の際、尿コップの流れも考慮しなければなりません。全ての動きがスムーズに行える配置が理想なのですが、全て対応すると待合室が広くなり過ぎてしまったり、入り組んだ空間になってしまいます。必要な配置の中でも優先順位を決めて配置する必要があります。整形外科であればX線室の使用頻度が多くなりますが、内科の場合X線室の使用頻度は少なくなります。待合室からわかり易い配置でなくても、スタッフが誘導できる範囲であればある程度離れた配置も可能になります。いろいろな部屋への動線の使用頻度を確認して優先順位を設定し、より使いやすい配置を考えなければなりません。
 科目によっての連携、配置の優先順位が異なります。その上、地域の管轄の保健所等の役所の行政指導も若干異なりますので状況に応じた配置計画が必要となります。同じ物件、同じ科目でも先生の診療方針によって優先順位も異なり、様々な考え方が出てきます。1つの提案(プラン)ではなく、パターンを変えた複数の提案(プラン)をする事により各部屋の連携の優先順位を決め易くなるかと思います。基本の配置をふまえた上で複数のプランでの優先順位の検証が大切な部分になるかと思います。
 次回は「設計のポイントB スペースの兼用」についてです。
 クリニックの設計士屋さん

【2014/05/31】


「設計のポイントB スペースの兼用」

 今回で4回目になります。ここまで偏った意見ではないでしょうか?偏りすぎてはいないでしょうか?あくまでも参考としてお考え下さいますよう、お願い申し上げます。
■「スペースの兼用」
さて、今回はスペースの兼用について書いていこうと思います。前回の連携の優先順位と近い考えですが、希望の部屋を全て配置していくと大きな物件が必要となってしまいます。限られた物件の中で有効な配置を提案する上でスペースの兼用が考えられます。
 例えば先生がお一人で、2つの診察室を希望。処置室にベッドを4台設置して内視鏡検査室と内視鏡検査の前処置スペース、リカバリースペースにベッド3台を考えるとします。診察室にはそれぞれベッドを1台ずつ配置しますとベッドの数は
診察室1台×2 + 処置室4台 + 内視鏡検査室1台 + リカバリー3台 +前処置
合計10台+前処置 となります。
ここで考えるのは同時使用があるかどうかになります。極端なお話ですと、先生がお一人ですので診察室は1つあれば診察を行う事は可能です。ですが診察の流れをスムーズに行う為には2診(ベッド2台)は必要になるかと思います。同様に処置室も点滴処置、心電図等の検査でも使用する為、ある程度(2〜4台)は設けた方がいいでしょう。ですが、内視鏡検査やリカバリー用については先生が診察と同時に内視鏡検査を行う事はなく、診察中は使用していないベッド(スペース)となります。もちろん運営方法にもよりますが、仮に内視鏡検査を曜日や時間を決めて行う場合は処置室のベッドをリカバリー用として使用したり、内視鏡検査室のベッドを点滴や心電図等の検査としても使用する「兼用」が可能となります。
 先生が大勢勤務されている病院ではなく、先生が1〜2名、スタッフも数名のクリニックですので時間帯でのスペースの兼用によって常に使用していないスペースを無くす事が物件を有効に使用する為に必要な事だと思います。
・第2診察室はエコー検査も行う検査室としても使用する。
・処置室のベッドを区画できるようにして内視鏡検査を行う。
・内視鏡(下部)の前処置は時間を決めておき、患者様はご自宅で前処置をある程度済ませてから来院頂く。
など、クリニック内でのスペースの兼用やクリニック内外でのスペースを兼用する事も可能です。
 いろいろなスペースの実際の使い方を考える事によって先生も設計士もイメージを共有して、より具体的な提案につながるかと思います。
今回はここまでにしようかと思います。次回は「設計のポイントC 必要なもの?」です。
クリニックの設計士屋さん

【2014/06/30】


「設計のポイントC 必要なもの?」

今回は「必要なもの?」についてになります。「必要なもの?」といっても漠然として何の事だかわかりませんね。クリニックを開設するにあたり、どのようなものが必要か不必要かの検証を行っていこうと思います。
■必要なもの
 もちろん各部屋で診察を行う上で基本的に必要となるものです。待合のイスや受付の事務機器、診察室であればデスクやベッド、処置室に器具収納用の棚、スタッフ用のロッカー等、いろいろなものがあります。この部分は基本となりますので割愛させて頂きますが、実際に置く大きさを想定して配置計画をたてていく部分になります。
■必要かの検証が必要なもの
 それぞれの設備(スペース)が必要かどうかを検証する部分です。例えば待合室で子供が遊べるプレイコーナー、トイレでオムツ替えができるベビーシート。トイレ自体も車イス対応のトイレとは別に男性用、女性用のトイレをそれぞれ設けるか。診察前に問診室を設けるか。または診察前に中待合室を設けるか。バックヤードであれば流し台や洗濯機を設置するか・・・等、いろいろな設備(スペース)が出てきます。科目や地域の状況、先生ご自身のコンセプトによって必要度合いは異なりますのでその都度先生のご要望を確認していきます。その上で必要かどうかをしっかりと検証していく事が大切です。もちろん、開院時には迷っているが、今後必要となるかも知れない、患者様の年齢層によって設置を考えたい、患者様が増えてきた頃に増設を再度検討したいといった決定しきれない設備も多くあるかと思います。ここで大事なのは今後の導入を含めて必要かの検証を行う事です。   
@開院時から必要        →  設置しましょう。
A今後も設置する必要がない   →  もちろん設置しません。
B開院時は未定だが、今後再検討 →  設置する事を前提とした配置計画。
@とAに関しては問題ないのですが、Bについては設置するものとして配置や設備計画をたてます。例えばスタッフ休憩室に当初はなかった洗濯機を導入する場合に、もともと給水や排水の配管を用意していなかったので、壁や床を大きく解体して配管を持ってこなければなければないといった大改装になりかねません。診察が始まってからですと改装工事に長く日にちを設ける事も難しいかと思います。開院当初から導入を迷っている部分でしたら、導入する事を前提に改装工事も行いやすい配置や設備を計画しておきましょう。
■将来を想定して
 さて今後導入する設備は事前にある程度準備しておく事が可能になりますが、部屋(スペース)となるとなかなか簡単には準備しておく事はできません。既設の物件をお借りしてクリニックを開設した場合などは将来患者様が増え、スペース拡張の為に増築を行う事は難しいかと思います。基本的にクリニックで拡張するスペースとしては
 ・患者様が増えた為、待合室を広くしたい。
 ・対応するスタッフを増やすので受付を広くしたい。
 ・非常勤の先生も診察を行うので診察室を増やしたい。
 ・処置室のベッドを増やしたい。
 ・独立した検査室を設けたい。
など、待合や診察のスペースが主になり、クリニック内になければいけません。物件の広さが変えられない条件ではやはりバックヤードなど上記スペース以外を外に出し、クリニックとしての設備を充実させる事になります。開院時はクリニック内に職員休憩室や院長室を設けておいて、患者様が増えてきた頃に近所に1室借りて職員休憩室や院長室を移してクリニックの診療スペースを確保する先生も多くいらっしゃいます。院長室をクリニック外に移すだけでも「院長室」→「休憩室」 「休憩室」→「検査室」といったスペースの置き換えができるかと思います。
 あまり先の事を考えすぎるとまとまりがなくなってしまいますが、ある程度の将来を想定し、その際に改装しやすい配置、事前の準備が大事になります。開院時が「完成形」ではなく、「現時点での完成形」として今後の状況に応じてフレキシブルに対応できる配置を検討していく必要があります。
■改めて「必要なもの」
 必要なものの続きです。ここまでの将来を想定した配置や前回のスペースの兼用をふまえてのお話です。職員休憩室や院長室などをどのくらい確保するかのポイントです。もちろんそれぞれ広く確保してゆっくりできるスペースが望まれます。ただ、限られたスペースの中では診察スペースに制限を設けるより、上記のバックヤードスペースを調整してバランスをとる必要があります。
 例えば職員休憩室の場合、スタッフの勤務状態にもよりますが、パート勤務で午前午後でスタッフが交代する場合は休憩室内で食事をとったり休憩する事がなく、ユニフォームに着替える「更衣室」として考える事もできるかと思います。また、午前午後で通しでいる方でも休憩するタイミングは診療時間外となりますので、クリニック外にお食事に出て頂いたり(気分転換にもなります)、使用していない処置室やリハビリ室を休憩室として使用する事もできるかと思います。
 前回の時間帯でのスペースの兼用を考え、バックヤードにどのくらいの広さが必要かを検討する事も大切です。ただし、職員休憩室は狭く更衣室程度なのに、院長室は広くゆったりしていてシャワールームも付いている・・・といったプランですと、スタッフからはあまりいいイメージを持って頂けないかと思います。あくまでも診療スペースは充実した上で、先生やスタッフの方が働きやすいクリニックとしてのスペースのバランスがポイントになります。
 スペースの兼用、将来を想定、必要な広さ、全体のバランス。全てを含めてのプランニングの検証が気をつけなければならない部分になります。
 次回は「設計のポイントD デザイン・仕様について」になります。
クリニックの設計士屋さん
【2014/07/31】


「設計のポイントD デザイン・仕様について」

 今回はデザイン・仕様について書いていこうと思います。ここまでは配置等について書かせて頂きましたが、科目によっておおまかな配置の基本的な部分は共通部分が多く、クリニックの特色やイメージのアピールポイントとしては、やはりデザイン・仕様が重要になってきます。同じ配置や形でも仕様(仕上材)によって空間の印象は大きく異なります。いろいろな素材や形状で先生だけのクリニックらしさやコンセンプト、空間としての安心感、高級感などを演出していきたいですね。この部分も設計士まかせではなく、先生や奥様のご意見を多く出して頂いた方が、よりイメージに沿ったクリニックになるかと思います。ただし、少し気を付けなければいけない部分がありますので、以下に述べさせて頂きます。
■配色や仕様のバランス
 新規に計画する先生だけのクリニックだからこそ、お好きな色や素材をたくさん使用し、お好みの空間造りもできるかと思います。ただ、ここで気を付けなければならないのは、あまりいろいろな色や素材を使いすぎるとまとまりがなくなってしまうという事です。あくまでも空間のコンセンプトを意識した配色が基本になります。まずどのような空間にしたいかのイメージを持ち、それに沿った配色を並べていきます。同系色を並べますと落ち着いた空間になりますし、2色程度の対象的な配色を組み合わせる事によっても落ち着きが生まれます。3色以上の対象的な配色の組合せですと空間に動きが出てきます。あまり色を使わずに同系色の落ち着いた空間をベースに、部分的なアイテムとして鮮やかなビビットカラーをアクセントに取り入れてメリハリを出すことも出来ます。設計士におすすめの配色プランを作成させてから検討する方法もありますが、まずは先生のご希望のイメージをある程度頂いた方が、設計士としてもご提案が行い易くなります。
仕様(素材)につきましても木材や石材、ガラス系の素材や、貼り紙(クロス)や塗装仕上等、さまざまな素材を仕上材として使用することができます。こちらも思いつくままにさまざまな素材を使用してしまいますと、まとまりのない空間になってしまいます。
 配色につきましては「この色」を演出する為の他の配色、素材につきましても「この素材」をさりげなくアピールするための他の素材の組合せといった空間のバランスが大切になります。その上、全体の空間の演出アイテムとして内装の仕上材、ソファー等の置き家具、壁に飾る絵、観葉植物なども含めて、インテリアの構成を確認したいですね。
■デザインと機能、メンテナンス
 さて、空間のイメージができてまいりました。使いたい素材も見えてきました。出来上がりが楽しみだと感じられる方も多いかと思います。設計士としても白黒の図面だけではなく、仕上のイメージを含めた打合せの方が楽しく感じられるかと思います。ですが、仕様やデザイン面と同時に検証しなければいけない部分に機能とメンテナンスがあります。
 デザイン面を重視してR状の壁を多用した空間造りをしたが、あとで設置した家具(収納棚等)が四角い為、壁に沿って置けずに無駄なスペースが出来てしまう・・・。難しい部分ですが、意匠面も優れていて機能も兼ね備えているようなデザインが望まれます。空間演出のなかでそれぞれのバランスをとり、両立させたいですね。
仕様面も同様に、こだわって壁面を塗装仕上にしたが、汚れた場合には壁全面を塗装しなければならない・・・。壁面に左官仕上を意匠的に組み込んだが患者様が壁に寄りかかった際にすりむいてしまった・・・。エッジを効かせたシャープな受付カウンターにしたが、子供がぶつかって怪我をしてしまった・・・。などマイナスな部分を挙げるときりがなく出てきます。住宅のように限られた人が使用するのではなく、不特定多数の患者様、小児科耳鼻咽喉科であれば子供が多いでしょうし、高齢の方も多く来院されるでしょう。まずは危険性のない素材や形状を基本に考え、特別な素材を使用する場合は使用する場所の確認が必要となります。配色も同じですが、要所にアイテムとして使用するだけでも空間の演出はできるかと思います。長く使用して頂くクリニックだからこそ安全であり、メンテナンスも容易に行える素材の組合せが大切な部分と言えます。
■費用対効果
 デザインや素材について書いてきましたが、特別な素材というものは往々にして費用もかかるものでございます。語弊があってはいけませんが、デザイン重視の設計士ですと提案の中に色々な素材をふんだんに組込み、工事費用を算出した際に大きく予算をオーバーしてしまっていたと言ったお話もよくございます。その後の仕様を下げていく打合せは先生にとっても、もちろん設計士にとってもあまりいいものではございません。やはり設計の段階からある程度費用のバランスを見て提案する必要があります。その上で素材やデザインを費用対効果の高い使い方の提案をしなければなりません。
設計のみではなく、施工方法にも深く、施工会社との連携がスムーズに行える設計士であれば、配置や仕様、デザイン、費用をトータルに把握、提案できるかと思います。そんな設計士だと心強いですね。
設計士のハードルがさらに上がってしまったような気がします。
次回からはもう少し具体的な科目ごとの注意点を書いていこうかと思います。
クリニックの設計士屋さん
【2014/08/31】


「内科について@(待合室)」

  ここまでは設計のポイント等を説明させて頂きました。今回からは具体的な科目ごとの注意点を書いていこうと思います。
 総合病院ではなく、診療所ですとそれぞれの身体の部分の疾患を治療する科目ごとの診療所に分かれる事が一般的です。耳や鼻の疾患であれば耳鼻咽喉科、眼であれば眼科というように、患者様も症状に合わせて通う診療所を選択します。様々な診療科目がありますが、まずは身体を総合的に診る「内科」についてご説明したいと思います。

<内科>
 内科の中でも専門的な診療科目に分かれます。主要な診療科としましては
・内科    :身体を総合的に診る診療科
・呼吸器科  :気管、気管支、肺等を治療する診療科
・消化器科  :食道、胃、小腸、大腸等、消化管を治療する診療科
・胃腸科   :胃、腸、肝臓等を治療する診療科
(消化器科として診療している場合もあります。)
・循環器科  :心臓病や高血圧等の血圧、心臓、血管に関する治療を行う診療科
・アレルギー科:喘息、じんましん等のアレルギー疾患の治療を行う診療科
・神経内科  :神経に関する疾患の治療を行う診療科
などがあり、それぞれ専門的な治療を行う為の設備(部屋や医療機器)を備える必要があります。ここでは一般的な内科を基本として、その補足として専門的な設備についてもご説明したいと思います。

■待合室
 患者様が一番はじめに入られる部屋になります。体調の崩された患者様が滞在する部屋になりますので、やはり広くゆったりと確保したいところです。一般的な内科ですと患者様の年齢層は幅広く、ご高齢の方や子供連れの方もご来院されると思います。全ての方が心地よく過ごして頂く為に下記の部分は注意したいと思います。
@ゾーン分け
 待合室の中でも年齢層や用途によってある程度のゾーニングが必要になります。
 ・子供のスペース(チャイルドコーナー、プレイコーナー)を設け、お連れの子供が大人の方のそばで遊んだりしないようにする事も大切です。診察まで時間が掛かてしまっても子供も退屈せずに待合室にいられるようにおもちゃや絵本、DVD等があると良いでしょう。靴を脱いで遊べる特別なスペースですと子供も喜ぶかと思います。子供のスペースは保護者の方や受付から管理ができ、入口や動線から外れた位置が良いでしょう。
 ・用途でのゾーン分けとしまして、大きくは診察前、診察中、診察後の患者様のスペースとなります。診察前や診察中は受付後に次の診察(処置、検査)に動きやすい位置が良いですし、診察後は受付(会計)に近い位置が良いと思います。診察室に入り、採血をする為に処置室に入るまでに、また入口付近の待合室まで戻ってしまうと、患者様の動線も長くなり、診療もスムーズに流れなくなってしまいます。また、診察までに時間が掛かってしまっても、待合室から次のスペース(中待合コーナー等)にご案内する事によって、患者様も長く待っているイメージが薄くなるメリットもあります。
 ・内視鏡検査を行う胃腸科や消化器科の場合は運営方法にもよりますが、検査待合を設け、検査前の処置を行うスペースが必要になります。一般外来の方と別のスペースで前処置を行い、トイレにも行ける配置が望まれます。トイレも検査用に一般外来の方とは別にあると良いでしょう。受付の方よりも診察、処置側のスタッフが管理把握できる位置が良いと思います。
 ・診療所の地域性にもよりますが、小児の患者様が多い場合は感染症待合室等で他の患者様とは別の空間を設ける事が望ましいです。なおかつ一般の入口とは別に感染症の患者様用に入口を設けて待合、診察、処置、会計まで行える事が望ましいのですが、理想ばかりですとどんどん待合室が広くなってしまいますので、空間の兼用を検討しながら、待合室のゾーン分けを計画する事も必要になります。

  長くなりましたので今回はここまで。次回は続きとしてA広さ・イス等について書きたいと思います。
クリニックの設計士屋さん
【2014/09/30】


「内科についてA(待合室)」

A広さ・イス
 先にも述べましたが、理想をきれいに並べていきますと待合室は広大なスペースになってしまいます。かえって患者様の動線が長くなってしまったり、受付の方も全体を把握できなくなる等のデメリットも出てきてしまいます。
 ・待合室の広さとしましては、やはりイスの数が目安になります。こちらも運営方法や診療単価にもよりますが、先生がお一人で診察を行われる場合、1時間で診られる患者様の人数×1.5程度のイスを目安として考えます。仮に1時間に10人の患者様を診られる場合は10人×1.5=15脚となります。この他にお連れの方のスペースや、患者様どうしをぎゅうぎゅうに座らせないゆとりのある空間を演出する為には、さらに×1.5〜2を掛けて22〜30脚程度は確保したいところです。待合室のイスが少ないといつも混んでる印象になってしまいますし、多すぎますとスペースの無駄使いになってしまいます。診療方針に合わせて設定しましょう。
 ・イスの形状についてですが、昔はベンチタイプのイスが多く使われていたと思います。
  3人掛けで1.5〜1.8m程度の大きさの規格サイズのベンチやソファーを並べて配置しておりました。現在でもご使用になられているクリニックも多くありますが、お一人用のセパレートタイプのイス(チェア)を設置しているクリニックも増えてきております。セパレートタイプのメリットとしましては、他の患者様との適度な距離を保ち、待合室のゾーン分けとしても有効に使用できる。デザイン性が高く、種類もあり、インテリアとしても有効なアイテムになる。将来的な配置変え、イスの増設も検討しやすい。待合室の患者様の人数の目安がつけ易い等が挙げられます。ただ、デメリットとしてはお連れの方と並んで座りにくい。1脚=1人となりますのでイスの数を多めに確保したい場合はスペースが必要となる。ベンチ、ソファータイプに比べると価格が高額となる。具合の優れない患者様が横になれない等があります。地域性や患者層によってイスの種類も併用して検討していきましょう。
 ・イスの配置
  ベンチ、ソファータイプでも、セパレートタイプでも患者様どうしがあまり近づきすぎない、向かい合わせに座らないように配置しましょう。

Bその他
 ・BGM、TV
  円滑な診療を心がけていましても、どうしても患者様には待ち時間はできてしまいます。BGMやTVは待っている時間を和らげる効果があります。さらに診察室から近いスペース(中待合コーナー)で待っている場合は防音(遮音)の効果もあります。完全に診察の声を遮断する事は難しいですので、BGMやTVで意識をそらしたり、声は聞こえるけど、聞き取れないようにする方法として使用できます。
 ・掲示物
  クリニックには案内掲示をしなければならないものと掲示したいものがります。待合室の壁面や受付カウンターに乱雑に掲示するのではなく、スペースを決めて掲示したいところです。掲示板を設けて情報をまとめた方が、患者様もわかり易いかと思います。最近ではTVを掲示板がわりにしてPCから情報を掲示しているクリニックもあります。

待合室や受付はクリニックの第一印象となる部屋です。患者様が心地よく滞在して頂けるように、広さやイス、設備だけではなく、スタッフの方も意識を持って清潔に保ち、クリニックの玄関としての空間作りを心がけましょう。

内科の注意点を書こうと思いましたが、待合室のみとなってしまいました・・・。
内科は他の科目と共通する部分が多く、配置や考えの基本となる科目だと思います。
次回は「内科についてA(トイレ)」を予定しております。また宜しくお願い致します。
クリニックの設計士屋さん
【2014/10/31】


「内科についてB(トイレ)」

■今回は内科トイレについてご説明したいと思います。
(お食事中の方がいらっしゃいましたら申し訳ありません。)

@どの科目にも共通する事ですが、トイレは患者様用と職員用は別々に設けたいところです。
待合室面する場所に患者様用、診察室側に職員用トイレが望ましいです。ただし、設備(排水配管) やスペースによっては共用とする場合もあります。その際は前室や共用通路を設けたりして、職員が 患者様の目にあまり触れないで入室できるように配慮する事をお勧め致します。ちなみに共用のトイ レとする場合は職員が使用した際にトイレ内が清潔か、ペーパー等の備品が不足していないかの管理 もしやすくなるメリットもあるという考え方もできます。

A患者様用のトイレですが、まずは車イスの患者様も使用できるバリアフリートイレの検討が必要になります。以前にも書かせて頂きましたが、一般的には車イスが回転できるバリアフリートイレ場合、おおよそ2m×2m の広さが必要になります。物件の条件や地域性、来院頂く患者様層によってはもう少し狭くして補助を行いながら「車イスの患者様も使用できるトイレ」でも良いかと思います。その他(こちらもスペースによりますが)車イスの患者様も使用できるトイレとは別に一般の広さのトイレも設けたいところです。患者様のトイレが2ヶ所ありますと、男女別や検尿用等での使い分けも可能になります。 どちらのトイレに関してもご高齢の患者様も考慮して、手摺等を設ける点も大切な事になります。

Bさて、トイレの空間ではなく、トイレ(便器)自体のお話です。
洗浄便座にするか一般的な暖房便座を検討しましょう。ご家庭では洗浄便座を使用していても外出先 では使用しない方の方が多いのではないでしょうか?メーカーによればノズル部分は汚れが付着しに くく、使用時には自動洗浄も行うとの事ですが、やはり外出先の洗浄便座はあまり清潔なイメージは無いかと思います。便座裏も汚れる事がありますので、職員の方の清掃も大変になる場合もあります。
下部の内視鏡検査や肛門科を掲げる場合を除き、導入には洗浄便座の必要性を検討した方が良いかと思います。 洗浄便座に対して否定的なご説明となってしまいましたが、もちろんメリットもあります。洗浄便座の場合、「流す」操作はタンク横のレバーではなく、洗浄の操作パネルに付随している事がほとんどです。用を足しながら振り向いて流す、その後に腰を屈めて流すという行動がなくなります。ちなみに一般のタンク横のレバーにもリモコンで操作するオプションもありますので合わせてご検討下さい。(メーカーの営業ではありませんが・・・) メーカーにもよりますが、タンクレスの便器の場合は 「洗浄便座一体型便器」が正式名称となりますので洗浄機能はセットとなります。タンクレスの場合は見た目もスタイリッシュな空間となりますが、タンク型と比べて必要な水圧が高めの器具がほとんどです。配管の詰まりの原因となる場合もありますので導入を検討される際は事前にご確認下さいますよう、お願い申し上げます。(メーカーの営業ではありませんよ?)
患者様のトイレは一般的な暖房便座、職員用は洗浄便座にしているクリニックもあります。導入の際は必要性について検討しましょう。
トイレ内に設置する手洗器についてです。手洗器は手をかざすと水が出る自動水栓タイプが標準かと 思います。温水を導入するかはコストの面もありますのでこちらも必要性について検討しましょう。

今回はここまでにしたと思います。トイレのご説明だけで長くなってしまいますが、次回も「内科 についてC(トイレ)」になります。 今年ももう12月ですね。皆様はどのような一年をお過ごしになられましたでしょうか?個人的にはこのような機会を頂いて楽しくコラムを書かさせて頂きました。(トイレのご説明で年をまたぐ事になってしまいますが・・・?)
来年も皆様にとって良き一年になりますようにお祈り申し上げます。

クリニックの設計士屋さん
【2014/11/30】


「内科について(トイレC)」

■明けましておめでとうございます。本年も引き続きコラムを書かさせて頂きます。もう少しの間お付き合い頂けますと幸いです。さて、年をまたいでのトイレの説明となります。

■内科のトイレの広さや器具つきましては前回説明させて頂きました。こちらは内科だけではなく、ある程度他の科目でも共通する内容だと思います。今回は「内科」のトイレについてになります。

@採尿
内科の場合、検査内容に尿検査が含まれますので、患者様の尿を採尿し、検査をする必要があります 。基本の流れとしましては、受付で採尿カップを受け取り、待合のトイレで採尿し、スタッフが採尿カップを受け取り、検査を行う、となります。その際に患者様が採尿したカップを持って待合スペースを通る事がないように、トイレ内やトイレ付近に採尿カップ置き場を設ける必要があります。そしてその置き場は待合側ではなく、診察、処置スペースからカップを受け取れるように受け渡し窓口としましょう。トイレ内で受け取る方法ですと、患者様が出たあとでにスタッフが取りに行っても次の患者様が使用中である事も考えられますし、箱の中に置いても他の患者様の尿がある空間はイメージ的にも、衛生的にもいいものではありませんからね。
待合のトイレが2ヶ所ある場合で、配置によってそれぞれのトイレからの受け渡しが難しい際は1ヶ所を検尿兼用のトイレとしてもいいかと思います。

A内視鏡検査の前処置
 消化器内科や胃腸内科の場合、下部の内視鏡検査を行います。検査前に前処置として腸内を洗浄する為、患者様は頻繁にトイレに通う必要があります。一般の患者様も使用するトイレではなく、前処置用のトイレがあるといいでしょう。件数にもよりますが、下部の内視鏡検査を主として行う場合には、一般待合とは別に特別待合(検査待合)を設ける事も喜ばれます。前処置には時間もかかりますので、TVや本があり、ゆっくりリラックスできるスペースを設けますと他の一般内科との差別化も図れます。パーティション等で個別スペースを設け、ある程度のプライバシーを保てるようにする方法もあります。その際はスタッフが患者様の様子を把握できるように注意しましょう。
スペースや設備の都合や、下部の内視鏡検査を主として行わないクリニックでは予約制にして一般外来と内視鏡検査の時間帯を分けて待合トイレを前処置用として兼用したり、ご自宅である程度の前処置を行って頂く方法もあります。クリニックの診療内容や運営方法によって検討していきましょう。

■トイレについてはこのあたりでしょうか。
次回は内科の診察スペースについてになります。宜しくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん
【2015/1/31】


「内科の診察スペース(診察室)」

今回からは内科の診察スペースについての内容になります。
一般的な診察スペースには、診察室(診察を行う部屋)、処置室(採血や点滴を行う部屋)、検査室(エコーや心電計、内視鏡やX線検査を行う部屋)に分けられます。それぞれの部屋の用途を明確にし、場合によっては用途を兼用して、スペースを計画する必要があります。今回は診察室についてのご説明をさせて頂きます。

■診察室
クリニックにとって一番の核となる部屋と言っても過言ではないと思います。患者様は受付をした後に、まず診察室に入り、先生から初めて診察を受け、その後の治療方針の診断を受けます。先生にとっても患者様にお会いする初めての部屋になりますので、清潔で広いイメージが良いかと思います。
診察室には診察用のデスクがあり、診察台(ベッド)や患者様のイス、荷物置きや脱衣カゴを置きます。
【一般的なサイズ】
・ デスク:一般的な事務デスクの奥行きは70cm程度ですが、ラウンドタイプですと100cm程度になります。デスク上に筆記スペースと電子カルテ用PC、画像用PC、インターネット用PCと3台のディスプレイとキーボードが並ぶかたちになります。インターネット用はノート型でコンパクトサイズに抑える事も可能ですが、診察で使用するPCについてはある程度の大きさが必要となりますので、デスクの幅は160〜180cmは必要になります。デスク廻りにプリンタースペースやPC本体のスペースも必要になります。
・ 診察台(ベッド):検査を行わない場合は60cm×180cmが一般的な大きさになります。
・ 脱衣カゴ、荷物置き:45cm×60cm程度
【部屋の広さ】
・ 幅:デスクと診察台を対面に配置した際に先生と患者様のスペースをどのくらい確保するかで部屋の幅が決まります。患者様だけではなく付き添いの方のスペース、車イスで来られた患者様も考慮して100〜140cm程度は必要になりますので、部屋の幅としては260〜300cm(デスク100cm+スペース100〜140cm+診察台60cm)となります。
・ 奥行き:診察台の上下に脱衣カゴのスペース、デスク横にプリンタースペースを考慮すると280〜300cm程度のスペースが必要となります。
その他手洗いや診察室を検査室として兼用する場合はエコー等の検査機器のスペースも必要となります。将来的な機器の導入も考え、診察室はゆとりをもったスペースを確保しておいた方が良いでしょう。診察室を2つ設ける場合は同じ広さに設定しても良いですが、全体の面積のバランスからメインの診察室は広めに設定し、予備診察室はコンパクトにする方法や、メインの診察室は診察のみを行うスペースとしてコンパクトに抑え、予備診察室を検査室と兼用しながら広めに設定する事もできます。全体のバランスと先生の診療内容によって検討していきましょう。
ちなみに保健所の規定では診察室の推奨面積は9.9u以上となっております。先ほどの寸法の300cm×300cmよりも広い面積が推奨されています。管轄の保健所の指導内容によりますが、あくまでも推奨(望ましい)面積ですので、全体の面積とのバランスと先生が使い易い広さを検討して行きましょう。ご勤務されている先生でしたら現在ご勤務の診察室を基準に「もう少し広い方がいい」や「もっと近くに診察台があった方がいい」、「この広さが使い易い」など、身体を物差しとして広さの基準を把握しておいて頂くとイメージが掴み易いかと思います。

次回は処置、検査スペースについての予定です。
クリニックの設計士屋さん
【2015/2/28】


「内科の診察スペース(処置室)」

 前回に引き続き診察スペースの内容になります。今回は処置スペースの説明をさせて頂きます。
■処置室
 処置室は診察に付随するスペースになります。診察の流れの中で採血や点滴等を行う為、診察室からの動線が重要になります。診察後に採血や点滴、診察前に血圧を計測を行う場合、診察室と処置室が離れていますと、患者様が長い距離を移動する為、診察の流れが滞ってしまいます。なにより、患者様のご負担になってしまいます。できる限り診察室に隣接させてご案内、移動がスムーズに行えるように配置を計画しましょう。診察室に隣接させる事により、先生、スタッフの動線も短くなりますし、先生が診察室にいながら処置室の様子を把握しやすくなります。スタッフも診察、処置と兼用ができますので少人数での対応が可能になります。
広さについてですが、概ねはベッドを何台配置するかによって変わってきます。一般の内科でしたら2〜3台設置されているクリニックが多いかと思います。ただ、内視鏡検査の回復室としても使用したり、専門の科目によっても前後しますので、検討が必要になります。面積に余裕がありましたら、繁忙期を見越してスペースを広めに確保しておく事をお勧め致しますが、次回予定の検査室や診察室のベッドを含めて用途を兼用できるベッドをクリニック内に何台必要なのかをよく検討しましょう。なお、点滴用のベッドは横になる事が辛い患者様用にリクライニングチェアをベッドと併用して導入されているクリニックも多くなってきております。地域性も考慮して検討下さい。ただ、スペースとしてはベッドより多少コンパクトにはなりますが、基本はベッドのサイズ(1800mm×600mm)で配置を計画した方が良いでしょう。
採血のスペースも同様に何名の患者様に対応するかを考慮して、必要な広さを設定しましょう。循環器内科や糖尿病内科でなければ1〜2名のスペースで十分かと思います。複数の患者様の対応をする場合はパーティション(仕切板)等でプライバシーを保つ事も検討しましょう。採血に伴い、消毒スペース(流し)も必要になります。できましたらシンクは清潔用、消毒用と2ヶ所設けたい所です。シンク廻りには作業を行うスペースやオートクレーブや血液の測定を行う機器を設置するスペースも必要になります。作業スペースには電子カルテの端末を設置する事も考えられますので、コンセントやLANケーブルは当初から計画しておいた方が良いでしょう。もちろん冷蔵庫や薬棚、処置器具棚も必要になります。その他流しの上部分には吊戸棚等を設けて収納を確保した方が良いでしょう。
 前回診察室はクリニックの核となるスペースと記述しましたが、処置室は診察に付随する多目的なスペースになります。時期や状況によってフレキシブルに使用できるスペースとして余裕をもった配置にしたい所です。
次回は検査室についてご説明させて頂ければと思います。宜しくお願い申し上げます。

クリニックの設計士屋さん
【2015/3/31】


「内科の診察スペース(検査室)」

 今回は検査室についてのご説明になります。
■検査室
 検査室は一般的に心電計検査や内視鏡検査、エコー検査等、様々な検査を行う部屋になります。主には検査機器とベッドを配置して先生やスタッフが作業をできるスペースを設けた部屋になります。可能であれば複数の検査機器の設置や増設を想定したスペースを確保したいところです。検査機器の他にもモニターや器具ワゴン(カート)や器具棚の設置も必要になりますし、簡単な診察を行えるようにデスクがあっても良いでしょう。検査機器に接続する電源やLAN配線、電子カルテ用のLAN配線も必要になります。ベッドは上下の昇降が可能な電動処置台を設置されるクリニックが多いかと思います。電動処置台の廻りに検査機器が配置されますので、電源やLAN配線は作業の妨げにならないように、できれば床面に設置したいところです。配線スペースがなく、床面からの配線が不可の場合は天井や壁面に設置する事になりますが、検査機器が配線を踏まないように、患者様が配線を跨ぐ事の無いように計画しましょう。
また、胃腸科や消化器内科を専門に掲げるクリニックでは無い一般内科の場合、単独の検査室(個室)を設けずに、処置室の一部や予備診察室等でスペースを併用するケースが多くあります。実際一般外来の診察中には検査室を使用していないケースが多くなりますので、スペースの兼用の考えから検査室を設けずに診察室でエコー検査をおこなったり、処置室のベッドを点滴やリカバリースペースと内視鏡検査を併用して、他のスペースを有効に使用した方が面積使用効率は高くなります。ただし、下部の内視鏡検査を専門に行うクリニックの場合はやはり個別の検査室を設ける事が望ましくなります。患者様のプライバシーの確保や衛生面での管理が必要になります。その他にも検査の為の前処置スペースやリカバリースペース、検査衣に着替える更衣室、器具の洗浄を行う消毒室等も必要になります。上記のような検査を主として行う診療内容の場合は必要な診療設備として専門の検査スペースを充実させた方が、一般内科との差別化も図れ、クリニックのアピールにもなります。
 掲げる科目や診療内容、運営方針によってクリニック全体の面積や各スペースの割合が変わってきますので、物件検討の段階からじっくり検討していきましょう。

次回は受付やバックヤードについてのご説明を予定しています。

クリニックの設計士屋さん
【2015/4/30】


「内科(受付@)」

 これまでは待合、診察スペースについて説明してきました。今回からは受付やバックヤードのスペースについてのご説明をしたいと思います。

■受付について
受付は待合室に面し、患者様を対応するスペースになります。クリニックの入口からわかりやすく、待合全体を把握できる配置が良いでしょう。主な機能としては患者様の受付、診察券や保険証の確認、カルテの準備、会計、次回の予約の確認や、電話応対等の事務的な業務が挙げられます。以前は紙カルテを収納するスペース広く確保しなければなりませんでしたが、近年は電子カルテが主流となり、収納スペースを少なくでき、レセプト入力、会計等の受付業務も簡素化された為、患者様をあまりお待たせせずに対応できるようになりました。受付事務のスタッフの人数としては常時2名、混雑時に3名体制で対応するクリニックが一般的ではないでしょうか。受付の方の人数を設定し、使用する機器の配置を検討しましょう。

■配置について
受付に設置する機器ですが、電子カルテ端末1〜2台、プリンター、コピー、FAX、スキャナー、予約システムを導入する際は予約システム用のPC、インターネット閲覧用の一般PC、シュレッダー等になります。受付カウンターの中でも「受付」「事務作業」「会計」「収納」スペースとエリアを計画し、それぞれを使用する目的を確認して配置を決め、スタッフ同士がスムーズに患者様と対応できるようにしましょう。ただし、PC等の配置は今後の機器の増設や配置変更に対応できるように内側のスペースには余裕を残し、電源やLAN設備も計画しておきましょう。

■形状について
 一般的な受付カウンターは2段形状となり、患者様と対応する高めの天板と事務作業を行う内側の作業天板の2段の天板があります。高めの天板は床面から950〜1050mm程度で設定する事が多く、基本的に立って対応し、天板上で書類やお金のやり取りや問診表の記入を行います。ご高齢の患者様が多い地域でしたら、少し低めに計画した方が良いでしょう。内側の作業天板は基本的に座って作業するスペースになりますので、一般的な事務机と同じ床面より700〜720mm程度になります。
作業天板上にPCモニターやキーボード、マウス、レジや、ペンたてやテープ等の細々とした事務用品をおきますが、患者様側からあまり見えないようにし、PCモニターについても向きを考慮して画面を覗かれないようにして個人情報保護の対策も必要となります。また、PCモニターは17〜19インチモニターを使用する事が多く、作業天板(H700mm)の上に配置しますと、患者様側の天板(H1000mm)から50mm程度裏側が見えてしまう事になります。待合室側から受付カウンターの印象をすっきりさせたい場合は、患者様側の天板を高めに設定したり、作業天板のPCモニターを設置する部分のみに段差を設けて高さを調整する方法や、PCモニター配置部分のみスクリーン等を設ける方法もあります。受付のイメージに合わせて検討しましょう。
作業天板下にはPC本体や無停電装置、プリンター、シュレッダーを配置しますので、スペースが必要となります。昔の事務机のように、下部までの引出しを設けるより、引出しは1段のみとするか設けないで足元のスペースを広く確保し、キャスター付きの収納ワゴンを配置した方が、自由度が高くなります。引出しを設ける場合は引出しの深さは浅めにして、収納ワゴンが入るように計画しましょう。収納ワゴンの高さは600mm前後のものが多いですが、前もって確認しましょう。作業天板にあまりスペースを確保できない場合は引出し部分にキーボード収納や作業用にスライド天板の設置も検討しましょう。
高さだけではなく、奥行きも重要になります。先の述べた機器を作業天板下に配置しますので、それぞれの機器の寸法の確認が必要です。(機器未定の場合は想定。この大きさまでは設置可能・・・といったように確認しましょう)また、本体寸法以外にも電源コードやLANケーブル等の配線のスペースも必要となりますので、プラスアルファーの余裕を持ちましょう。ただし、あまり余裕を持ちすぎますとカウンター全体の奥行きが広がってしまい、患者様との距離が遠くなってしまいます。受付カウンター全体の奥行きは700〜800mm程度とし、平面上で患者様側の天板は300〜350mm、作業天板は400〜450mm程度が良いでしょう。平面上で作業天板が400〜450mmでも、患者様側の天板下にスペースを設けて、作業面としては550mm前後は確保しましょう。PCモニターを配置する部分では患者様との対応は無くなります(PCモニター越しでの対応は行わない)ので、患者様側の天板を掘り込み、作業天板を広く計画しましょう。
高さや奥行きの寸法確認の他にもPCモニターと本体を繋ぐ配線のルート、配線用の開口、待合室側に手荷物を置く棚(台)等も検討し、受付カウンターの形状を計画しましょう。

次回は受付のスペースのイメージや収納スペースについてご説明したいと思います。

クリニックの設計士屋さん
【2015/5/31】


「内科(受付A)」

 前回に引き続きまして受付についてのご説明になります。

■受付のスペース・イメージ
 受付のスペースについては前回もご説明致しましたが、受付事務スタッフの人数によって広さを計画しましょう。あまり広すぎても他のスペースを圧迫してしまいますし、狭すぎても作業が円滑に行えない、患者様への対応が行い難いといった支障が出てしまいます。
受付のスペース(カウンター)と言うと、クリニックに入ってから最初に患者様を対応するクリニックの顔のようなものです。内側の作業面がPCやコピー等の機械だらけであったり、その機器の配線が患者様からまる見えであったり、受付スタッフが作業しづらい形状ですと、良い表情のクリニックではなくなってしまいます。
 以前ですと紙カルテを使用し、受付カウンターの背面あたり(すぐ取れる場所)にカルテ棚が数台並んでいる状態でした。近年は電子カルテ化が進んだ事でカルテ保管のスペースがなくなり、収納のスペースをだいぶ削減する事が可能になりました。待合(患者様)から見える部分には作業に必要なPC(電子カルテ、予約システム等)、スキャナー、レジ等を配置、プリンターやシュレッダーは見えにくい足元に配置して作業スペースを広く確保しましょう。コピー、FAX等の大きな機器や事務用品保管用の収納棚については作業スペースとは別に裏側に設けると良いでしょう。ドアで区切らなくても壁等で仕切りを設けて待合(患者様)から見えないスペースを設ける事で、受付カウンターの印象もすっきり見えますし、カウンターの作業スペースも広く確保でき、良い表情のクリニックになるのではないでしょうか?受付スタッフの方も患者様から見えないスペースがあると一息つけますしね。

■スタッフのスペースについて
・スタッフ休憩室
 クリニックのスタッフが着替えたり休憩するスペースになります。スタッフの人数によって更衣用のロッカーの台数(大きさ)を設定しましょう。休憩時に食事をするスペースを設け、流し台や洗濯器を配置して給湯室と併用する事が多いかと思います。休憩時に靴を脱げるようにあえて段差を設けたり、床の仕上げ材をカーペットにして床に直接座れるようにする事を希望される先生もおります。ただ、スタッフの方によってはテーブルとイスの方が良い場合もありますので、床材はビニル系のものを選定し、イスの場合はそのまま使用、直接床に座る場合はマットやカーペットを引いてどちらでも使用できるようにする事をお勧め致します。
・院長室
 クリニックの院長先生が休憩室するスペースです。基本的には院長先生のみ、ご家族の方(奥様等)もスタッフとして勤務される場合はその方も使用するスペースになります。J更衣用のロッカーやデスク、書籍棚等の配置が主でしょうか。クリニックまで自転車で通われる先生はシャワー室を希望されたりします。基本的には院長先生のパーソナルスペースになりますので、院長先生のご希望を頂ければと思います。
 ちなみにですが、配置によってスタッフ休憩室と院長室を隣接させる場合は区画の壁の防音も考慮しましょう。聞かれたくない話や聞きたくない話もある場合もありますので。

 スタッフのスペースの基本内容をご説明致しましたが、「設計のポイントC 必要なもの?」でも記述したように、クリニックの面積に限りがある場合、広くスペースを確保できない場合があります。「休憩室」を「更衣室」と考えたり、来客は診察室で対応し、「院長室」は「院長先生の私物倉庫」と考えたりする事も必要になります。近隣でアパートを借りて休憩室にする事もできます。あくまでも診療のスペースを圧迫しない程度のバランスで計画しましょう。

<まとめ>
さて、ここまで長々と(だらだらと?)内科クリニックについてのご説明をさせて頂きました。他の診療科目では異なる部分もありますが、クリニックの大きな流れ、定義としては共通する内容が多いかと思います。かたよった内容もありましたが、待合室、受付、診察室、処置室、トイレ、休憩室等クリニックに必要な部屋(スペース)の基本の内容かと思います。
次回からは他の診療科目についてのご説明になります。まずは「耳鼻咽喉科」の予定です。今後とも宜しくお願い申し上げます。

クリニックの設計士屋さん
【2015/6/30】


「耳鼻咽喉科(待合室)」

 今年ももう8月になり暑い日が続いておりますね。水分補給をしっかりして熱中症には気をつけましょう。
さて、今回からは耳鼻咽喉科についてのご説明になります。前回までの内科と共通する部分もありますが、耳鼻咽喉科の場合、診療(治療)にかかる時間や患者様の動きが異なる部分もありますのでその部分を中心にご説明していきたいと思います。

■待合室
・耳鼻咽喉科は一般の内科と比べて子供の患者様が多く、1人ではなく1組の患者様として来院される事が多くなります。保護者の方と子供、2〜3人で1組となりますので待合室はなるべく広く確保しましょう。その上で待合室には子供が遊べるスペース(プレイコーナー)を設けたりDVDを流す等、子供が楽しめるアイテムを用意しましょう。ただし大人の患者様もおりますので同一待合室でもスペースを分けて大人の患者様もゆっくりと診察を待てるように考慮しましょう。

■隔離待合室
・小児科と同様に子供の患者様が多く見込まれますので、感染症対策として隔離待合室を設けた方が良いでしょう。構造上可能であれば外部からも専用の入口を設ける事が望ましいですが、難しいようであれば一般の患者様とは別動線で隔離待合室に誘導できるようにしましょう。

■中待合室
・耳鼻咽喉科の場合、1人の患者様の診療(治療)時間が内科と比べて短く、次の患者様がすぐ診察室に入室できるように流れをコントロールしなければなりません。とくに子供の患者様は診察に呼ばれても遊んでいたりして準備に時間がかかるものです。待合室の中でも診察室に近い場所に中待合室(スペース)を設けて患者様の流れがスムーズになるようにしましょう。

■待合室その他
・子供の患者様と保護者の方が中心となってしまいますが、必要に応じて授乳室やベビーカー置き場、オムツ替え等のアメニティースペースも充実させたいところです。

■待合室まとめ
・待合室にはあると望ましい部屋や設備、スペースが多くなります。ただし物件には条件もありますので全てを満たす事は難しいかも知れません。ですが、診療予約システムを導入して待合室での滞在時間を短くして、待合スペースを縮小する事も可能です。クリニックの診療方針や地域性を考慮して、大人の患者様、子供の患者様とその付き添いの方、皆さんが来院したくなる待合室を心がけましょう。

クリニックの設計士屋さん
【2015/7/31】


「耳鼻咽喉科(診察室)」

 今回は耳鼻咽喉科の診察室についてのご説明になります。前回に引き続き一般内科との違いをご説明致します。

■診察室
・耳鼻咽喉科の診察室は内科と異なり治療の意味合いが強くなります。患者様は診察用のチェアーに座り診察を受けます。診察の際に耳や鼻、喉などの患部を診て、そのまま治療(処置)まで行います。その後患者様は必要に応じて患部に薬剤を吸入たり、検査を受けたりしますが、基本的な診察、治療はチェアーに座ったままで完了します。内科のようにイスに座り問診、診察台(ベッド)で診察という移動がなく、チェアーを倒して診察(治療)する事がほとんどになります。また、先生ご自身も立って診察(治療)する事がほとんどになりますので、先生用のイスは動き易い丸イスタイプにされる先生が多いかと思います。先生が立って診察(治療)を行いますので、カルテの記入(打ち込み)をクラーク(補助スタッフ)に行なわせて、診察の流れをスムーズにさせるクリニックも多くなってきております。もちろんその分の人件費もかかりますので、見込める患者様の数や年齢層、先生ご自身の診察スタイルによって検討しましょう。
・次に診察室の広さですが、一般的には診察デスク、治療ユニット、チェアー、内視鏡(スコープ)のスペースが必要になります。地域にもよりますが、耳鼻咽喉科の場合、子供の患者様が多くなりますのでチェアーまわりには保護者の方や、スタッフが患者様をサポート(押さえる)スペースも必要になります。前述のようにチェアーは倒して診察も行いますので、チェアーの可動域を確認して設定しましょう。また、先生お一人で診察を行う予定でも、今後対応できるようにデスクまわりにクラークのスペースを確保しておいた方がよいでしょう。

診察以降の流れによって動線が異なり、配置が大きく変わってきます。また長くなってしまいますので、待合室から診察スペースへの動線のご説明はまた次回以降とさせていただきます。

クリニックの設計士屋さん
【2015/8/31】


「耳鼻咽喉科(検査・処置)」

今回は検査室や処置室のご説明になります。
■検査室・処置室
耳鼻咽喉科は大きくわけて診察や治療を行う診察室と聴力や体平衡検査を行ったり、X線撮影を行う検査スペース、採血や外科処置を行う処置スペースが必要となります。

・聴力検査には周囲の音を遮断する防音室が必要となります。患者様が室内に入り、スタッフが確認しながら検査機器(オージオ、チンパノ等)で検査を行う形になります。防音室は造作工事として部屋を設ける事もできますが、規格の防音室を設置する場合もあります。各メリットについては後述致しますが、スペースとしては概ね1.2?1.5m×1.2?1.5m程度、検査機器スペースで幅90?120cmのデスク(2段タイプ)が一般的です。検査自体は先生ではなく、スタッフが行う事が多くなりますので、診察室から少し離れていても良いかと思います。ただし、聴力の検査ですので、音の出るもの(ネブライザー等)からは離して静かなスペースに計画した方が良いでしょう。

・X線室では聴器や副鼻腔の状態を確認します。内科のX線検査と異なり、立位での撮影となりますので寝台が必要なく、スペースとしては概ね2.0m×2.0m程度となります。こちらは基本的にスタッフではなく、先生や放射線管理技師の方が撮影を行いますので、ある程度診察室からは近くに計画したいところです。準備はスタッフが行い、スイッチのみを診察室に設置して撮影を行いたいとの要望もよく頂きますが、保健所の指導内容としては基本的にはNGですので、ご了承ください。X線装置と併用してCTを導入されるクリニックもございます。クリニックの診療方針や地域性を考慮して検討しましょう。

・さて、X線室も聴力検査室と同様に造作工事で部屋を設ける事もできますが、規格の放射線を遮断する防護室を設置する事もできます。どちらもスペースにはあまり変わりはありません。造作工事で部屋を設ける場合は仕上材も自由に選定でき、部屋の広さや形状もある程度自由に計画ができます。規格のBOXの場合、サイズに種類はありますが、概ね形状は決まっており、仕上材の自由度も低くなります。ですが、将来的に場合の移動(配置変え、移転)にも対応しやすく、導入の初期費用も抑えられるかと思います。物件の形や将来的な構想を考慮して検討しましょう。
なお、造作工事でも規格のBOXでも近年は室内に消防の感知器の設置が必要との指導が多くなっておりますので、スペースや電源設備と併せて消防設備も設計、工事会社や規格のBOXメーカーに確認された方が良いでしょう。

・処置スペースはアレルギー検査や処置を行う手術やめまいの検査、リカバリーの為の処置ベッドが必要になります。スペースにもよりますが、ベッドは2台前後の、設置が多いかと思います。重心動揺計等はベッドの下に収納して検査時に取り出して使用したり、検査や、処置内容によって併用すれば良いでしょう。こちらもクリニックの診療方針や使用頻度の高いものを優先して計画しましょう。

次回は水まわりについてと、動線計画についてになります。よろしくお願い致します。

クリニックの設計士屋さん
【2015/9/30】


「耳鼻咽喉科(水まわり、動線)」

今回は水まわりと全体の動線についてになります。
■水まわりについて
・耳鼻咽喉科は一般の内科と異なり、患者様の数と比例して使用器具の消毒が多くなります。オートクレーブや薬品洗浄が一般的な消毒方法となり、スタッフが洗浄を行います。
・消毒のスペースはシンク、消毒機器のスペースはもちろんの事、その他にも器具を置くスペースを含めて広く設定した方が良いでしょう。スタッフが2?3人並んで作業ができるスペースを目安としましょう。シンクは清潔用、不潔用と2ヶ所あるといいでしょう。洗浄時には温水を使う事が多くなりますので給湯設備を必要になります。ガス式給湯と電気式給湯がありますが、どちらも温水の容量は多めに設定しましょう。また、シンク用の水栓金具とは別にファイバー洗浄用の水栓金具も忘れないようにしましょう。
・流し台の高さはスタッフが立って使い易い高さが基本となります。実際のスタッフが決まっている場合は確認は容易ですが、計画の段階ではまだスタッフが未定の場合がほとんどです。ひと昔まえは流し台の天板高さが床面より80cmが一般的でしたが、日本人の平均身長の変化とともに85cmや90cmの天板高さが一般的になってきております。ご家庭のキッチンと同じく立って使い易い高さ、85〜90cmを目安に計画した方が良いでしょう。

■全体の動線について
・耳鼻咽喉科の基本の患者様の流れとしては次のようになります。
待合室→中待合室→診察室(治療)→ネブライザー(処置)→待合室(会計)
基本はこのような流れなのですが、動き方として大きくわけて2つのタイプが挙げられます。
@袋小路タイプ
・待合室から診察スペースの行き来をひとつのドアで行うタイプ。
・待合室から中待合室を経由して診察、処置となり、その後に中待合室を通り待合室に戻る。
・メリットとしてはひとつのドアでの動きになりますので患者様の流れを把握しやすくなります。動線のスペースも縮小しやすくなります。
・デメリットとしては中待合室に患者様の行き来する動線が重複してしまうので、混雑してしまう点です。
A回廊タイプ
・待合室から診察スペースに入るドアと待合に戻るドアが別々のタイプ。
・待合室から中待合室を経由して診察、処置となり、その後中待合室を通らずに直接待合室に戻る流れです。
・メリットとしては患者様の動きが一方通行になりますので、動線が重複せずにスムーズになります。
・デメリットとしては患者様の入る動きは把握しやすいのですが、出る動きが把握しづらくなり、今診察スペースに何名の患者様がいるかがわかりにくくなります。また、動線のスペースも多くなる為、必要スペースも広くなりがちです。

・以前は中待合室が診察スペースの中にある事が多く、中待合室で靴を脱いで診察スペースに入り、診察後に中待合室で靴を履いて待合室に戻る流れもあった為、@の袋小路タイプが一般的でした。近年は土足のまま診察を行うクリニックが主体となり、出入りが異なる動線計画も可能となった為、Aの回廊タイプが増えてきました。物件の広さや形状によっても計画は限られますが、やはり個人的にはAの回廊タイプの方がスタンダードになってきているかと感じます。
どちらのタイプでもまずは患者様の流れをスムーズにして、スタッフや先生が流れを把握して診察を行えるような配置を心がけましょう。

さて、まだまだ細かくは特筆する内容もあるかと思いますが、耳鼻咽喉科の一般的な内容はこのあたりでしょうか。不備や個人的偏りについてはご了承ください。
次回からは眼科についてご説明したいと思います。よろしくお願い申し上げます。

クリニックの設計士屋さん
【2015/10/31】


「眼科(概要)」


今回からは眼科についてのご説明をしていきたいと思います。眼科のクリニックは前回までの耳鼻咽喉科と同じように、一般の内科とは異なる動線計画、部屋の配置になります。

※必要な部屋

一般の眼科クリニックの主な部屋、スペースは下記に挙げられます。

・待合室
・受付
・診察室
・検査室(明室、暗室)
・処置室
・消毒室
・フィッティングスペース
・トイレ
・バックヤード(院長室、職員休憩室、収納等)
・手術室(白内障や緑内障の手術を行う場合)
・回復室、更衣室(手術室を設ける場合)

このあたりでしょうか?必要な部屋やスペースについては、どのような診療方針の眼科クリニックを開設するかによって変わります。

※診療方針

ひと口に眼科クリニックと言っても診療方針によって特色が変わってきます。一般の眼科疾患の診察を行い、子供から成人、高齢者の患者様を対象にするクリニックや、それに加えて白内障や緑内障の手術を行う場合、もしくは手術をメインに考えるクリニックもあります。他にも眼鏡やコンタクト等の医療機器販売対応をメインに考えているクリニックもあります。少し語弊があるかも知れませんが、内科が呼吸器や消化器等、それぞれの専門を標榜してクリニックの特色を出す事と同じように、眼科にもクリニックの特色が求められるようになってきていると感じます。どのような診療方針の眼科クリニックにするかによって、開院する地域や立地、スペースも異なります。一般の眼科であれば35から40坪程度が多いでしょうか?手術を行う場合はプラス10から15坪程度が必要になります。開院を考えられる際はクリニックの特色や診療方針を含めて検討していきましょう。

今回は眼科全体の概要についてご説明させて頂きました。次回からは各スペースの内容についてになります。

さて、早いものでもう師走なんですね。次回は年明けになります。昨年はトイレのご説明で年をまたいでしまいましたが、今年は大丈夫でしたね。
偏りのある考えもあるかと思いますが、あくまでもひとりの設計士の見解として、ご参考にして頂けましたら幸いです。読んで頂いている先生方、機会を下さったNステージ様、ならびに関係者の皆様に感謝申し上げます。
来年も宜しくお願い申し上げます。

クリニックの設計士屋さん
【2015/11/30】


「眼科 検査室(明室)」

今回からは眼科クリニックの各スペースについて説明させて頂こうと思います。
■待合室・受付
・待合室や受付については他の診療科目と大きく異なる部分はありません。患者様やスタッフの人数、受付の機器の配置、待合室の管理を含めて広さを設定しましょう。
※手術を行う場合は付き添いの方の待合スペースも必要になります。曜日や時間を決めて一般外来と分ける場合は待合室を併用できます。
■検査室(明室)
・他の診療科目とは異なり、眼科は診察の前に眼の状態を調べる検査が必要となります。主には眼の機能測定や視力測定となり、測定後に診察室に向かいます。
・ここでの眼の検査は明室(明るい部屋)で行い、検査機器を使用してスタッフが行います。眼圧や屈折状態を測定するオートレフケラトメーター等は約45p×45pの台に乗せてスタッフと患者様が対面に座り検査を行います。
機器を並列に配置して患者様の移動をスムーズにしたり、L型に配置して患者様が回転して機器に向かう等(スタッフの移動距離は長くなりますが…)、動きやスペースに合わせて配置を計画しましょう。
・視力検査は一般的に遠見視力の測定となります。測定距離は5m、3m、1mのタイプがあります。ひと昔前は5mタイプの視力表を並べていましたが、スペースを必要とする為、近年では1mタイプ(セービングチャート)を導入して5mと1mでの測定を併用するクリニックが増えています。
患者様をお待たせさせないように同時に何名の検査を行うかを検討して機器の台数、スタッフの人数を設定しましょう。
・検査前にコンタクトレンズを外せるように検査室にはコンタクト脱着のコーナーを設けた方がいいでしょう。こちらについては次回以降のフィッティングコーナーで設定致します。
・その他レンズメーターやレンズセット等、色々な機器が検査室には必要となります。クリニックの中で待合室と並び広い空間になります。今後の診療内容の拡張に伴う機器の増設は検査室(明室、暗室)や診察室に導入する事がほとんどです。将来的な拡張も検討してできるだけ余裕を持ってスペースを設定しましょう。
・そして眼科機器はコンセントが必要なものがほとんどです。こちらもスペースと合わせて将来的な拡張も検討してコンセント、LAN配置も設定しましょう。
ただし、前述したように眼科機器は台に乗せてスタッフと患者様が向かい合う為、壁沿いではなく、部屋の中央部分に配置する事が多くなります。可能であれば床下での配線計画とし、床面から飛び出さないタイプのコンセントが良いでしょう。物件の状況により床下での配線計画が難しい場合は壁面からの配線となりますが、動線を確認して患者様の通らない経路としましょう。
今回は検査室(明室)の説明でした。次回は診察室、検査室(暗室)の予定です。
さて、今年ももう2月ですね。本年も皆様にとって大切な一年となりますように。
引き続きお目汚し失礼致します。もう少しお付き合い頂けますと幸いです。宜しくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん
【2016/01/31】


「眼科(診察室・検査室)」

今回は診察室と検査室(暗室)についてになります。
他の科目と異なり、眼科の特徴として暗室での診察や検査が必要となります。余談ですが、以前お手伝いさせて頂いた眼科クリニックでは完全遮光を希望され、「暗さが足りない」との名言を頂きました。近年では電子カルテのディスプレイ等の光もあり、完全遮光で無くても診察や検査が行えるようになりましたが、事前に先生が希望される「暗さ」を設計者や施工業者にお伝えしておいた方が良いでしょう。
■診察室
・一般的にはドクターデスクとスリットランプ、可動式のスライディングテーブルを使用します。眼底カメラ等のその他の機械は診察室内でどこまでの検査を行うかを検討して配置や広さを設定しましょう。開院当初ではなく、将来導入を含めてゆとりのある広さを確保したいところです。
・「暗さ」を含め、照明計画としては調光式の照明を設け、明るさ(暗さ)を調節できるようにしましょう。「どうせ暗くするから…」と照明を少なく希望される先生もいらっしゃいますが、術前後の説明やメーカーや業者との打合せを行う際は明るくしますので一般の明るさも確保できるように計画した方が良いでしょう。なお、照明のスイッチはスライディングテーブルと同調させて可動時に自動的に照明がOFFとなるようにする事が多いかと思います。方法としては階段の上下でON・OFFできるような3路スイッチを設け、片方をスライディングテーブルに接続します。もう片方のスイッチはドクターデスク上に設けて診察中に手元で照明のON・OFFをできるようにした方が良いでしょう。
■検査室(暗室)
・診察室と同様に暗くして検査を行う部屋になります。OCTや視野計(ゴールドマン・ハンフリー)、レーザー等こちらも将来追加の機械の導入の可能性を考慮して広めに計画したいところです。検査室(暗室)の中でも遮光カーテン等で区画して検査機器ごとのスペースを設けて同時に複数の検査を行えるようにした方が良いでしょう。
・照明もそれぞれのスペースで単独にON・OFFや調光ができるようにしましょう。空調に関してはそれぞれのスペースに1台ずつのエアコンの設置は難しいですから検査室全体で1台として、なるべくムラのない配置を検査しましょう。
先にも記述しましたが、眼科クリニックで将来検査内容の充実、拡張を検討する場合には検査機器を増設する事が多くなります。診察室や検査室(明室・暗室)に拡張性をもたせて計画した方が良いでしょう。
次回は手術関係とその他になります。宜しくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん
【2016/02/29】


「眼科(手術室)」

今回は眼科の手術室まわりについてになります。
眼科だけではありませんが、手術室の場合にどのような仕様にするかによってだいぶ内容が変わってきます。また、施術の内容によってもどこまでの仕様にするかも変わってきます。まずは施術の内容からみていきましょう。

■手術の種類
一般的な眼科の手術は基本的に視野機能の回復や維持が目的となります。手術以外に回復の見込みが無い場合や緊急性が高い場合に手術を行うことになります。一般的なクリニックの場合、緊急性の高い症状(外的要因や網膜剥離等)の患者様は少なく、基本的には視野機能の回復や維持を目的とした手術となります。
ただの設計のお手伝いをしている者ですので、浅い知識となりますが、一般的な眼科クリニックで行う手術としては、白内障、緑内障、網膜症や斜視、黄斑のレーザー治療が挙げられます。施術によっては入院も必要となりますので、どこまでの施術を行うかを決めておきましょう。

■手術室の仕様
当たり前ですが、手術室には清潔さが求められます。簡単な外科的処置であれば、通常の清潔度の処置室で行うクリニックも多く見られますが、近年の院内感染への注目度を考えますとあまりお勧めはできません。患者様としましても安心と安全は第一前提にしておりますし、もし感染症が発生してしまいますと、クリニックへのダメージも計り知れないものになります。リスクを回避する上でも手術室は清潔に保たなければなりません。

・清潔度(クリーン度)
手術室の清潔度(クリーン度)ですが、基本的には空気中の塵やゴミの数量によってランク分けされます。1立方フィートの空気中に0.5μmの微粒子がどのくらいあるかで表現します。
100個以下 クラス100
1000個以下 クラス1000
10000個以下 クラス10000
100000個以下 クラス100000
とするNASA基準が多く使われています。
一般的な眼科クリニックではクラス10000を目安としている所が多くなります。

・仕様(設備)
では、クラス10000のクリーン度を保つ為にはどのような仕様が必要になるかを説明します。こちらも大きくわけますと空調設備、室内の仕上材、その他の付帯設備が挙げられます。

@空調設備
他の部屋(空間)と比較して空気を清潔に保たなければいけませんので空調設備も特別なものになります。多くは空気清浄機能付きのクリーンエアコンを設置して室内の空気をHAPAフィルターで濾過し、塵やゴミを除去します。クリーンエアコンの仕様によっては天井給排気、壁や床や天井を経由する方法もあり、部屋の作り方が変わってきます。ひと昔前はある1社のクリーンエアコンが普及していましたが、クリニックレベルの機種が特注となってしまったりして、他社のものも選定されています。メーカーではなく、機種の仕様やランクで選定した方が良いでしょう。
また、手術室内は陽圧に保ち、他の部屋の空気が入らないようにしましょう。

A室内の仕上
手術室の室内は塵やゴミが溜まりにくい素材が求められます。床は抗菌性のビニル系の素材が一般的ですが、抗菌材を配合した樹脂系の塗床材もあります。壁や天井も防塵クロスや化粧ケイカル板が多く使用されます。基本的には塵などが付着しにくい素材で抗菌性の高いものになります。また、できるかぎり塵が溜まらないように棚などは壁に埋め込んで段差を無くすようにしましょう。

Bその他の付帯設備
空調設備や仕上材以外にも注意が必要な設備があります。入口は自動ドアにして消毒後の手を触れないで入室できるフットセンサーや埃が溜まりにくい照明器具、手術室前の準備室や消毒室の仕様、術前術後の説明や回復スペースなども関連して考慮しなければなりません。

■手術室について
ここまで色々と浅くご説明してきましたが、手術室を計画する場合は経験のある設計会社や施工会社に相談される事がポイントになるかと思います。基本ベースとして手術室に対する知識があり、提案ができる会社が良いかと思います。もちろん先生の考え方によって仕様も大きく変わってきますので、まずはどのような施術を行い、どのような手術室にするかの方向性を検討して頂いた上での計画になるかと思います。それによってはクリニック全体の広さや環境、費用も異なりますので、一般外来だけではなく、手術も行うクリニックを検討される際はまずはしっかりと方向性を検討しましょう。患者数を増やしたいから…ではなく、しっかりと方向性を決めて安全と安心な医療を提供できるようにしましょう。

まだまだ注意する点はありますが、手術室・眼科についてはこのあたりとさせていただきます。ただの設計士の浅い知識をベースとした偏った考えとなっているとは思いますが、ひとつの考え方としてご検討頂けますと幸いです。

さて、次回については未定です。またNステージさんと相談して決めたいと思います。今月もありがとうございました。
クリニックの設計士屋さん
【2016/03/31】


「コラムとは?」

今回のコラムは「科目について」をひと休みさせて頂きます。
本来は短い論評などを「コラム」と言うのですが、書きたい事がありあまりすぎまして、つい力が入ってしまい、長いコラム(?)となってしまっておりました。今後は改善して「コラム」をお届けします。(お約束はできかねますが。)
今回は最近クリニックの開院をお手伝いする上で感じた事を書かさせて頂きます。
■クリニックのコンセプト
クリニックの科目や方向性、地域を考慮しプランを決め、デザインや仕上を決定していくのですが、先生や奥様に時間の余裕が無く、「おまかせで」と言われる事があります。もちろんイメージ等を伺った上でご提案をするのですが、あくまでも設計士の作品では無く、先生のクリニックですから一緒にどのようなクリニックにしたいかを検討し、吟味してひとつひとつ決めていくような共同作業が必要だと感じます。今後何年も地域に医療を提供する場所になるのですから、完成前でも先生にもできるだけ思い入れをもって携わって頂きたいと思います。
先生ご自身のコンセプトを反映させたクリニックを一緒に創り上げていきましょう。
■工事費用について
以前開院のお手伝いをした先生のお知り合いの先生の話です。開院に向け内装工事に入っているのですが、工事会社から当初提示した金額に加え追加費用がかかるとの話があったようです。プランや工事内容には変更が無く、単純に作業員の人件費が上がるとの事です。理由としては震災復興やオリンピックに向けて作業員が不足しており人件費がかさむとの事のようです。
たしかに長い目で見ますと前述の状況となっており、以前と比較しても人件費が多くかかり、今後も上がっていく時勢となっております。ただ、今回のようにクリニックの内装工事はおよそ1〜02ヶ月間であり、建築工事のように1年以上の長い期間ではありません。工事中の変更によって金額の増減はあるものですが、物価の変動や人件費の急騰が直接影響するとは考えにくい部分です。
このような話はあまり聞かないケースですが、前もっての見積金額に何が含まれているか、含まれていないか、金額の追加の可能性があるかを確認された方が良いでしょう。
さて、今回は予定通り「コラム」になっておりましたでしょうか?次回も「コラム」であるように力を入れてお届けする予定です。よろしくお願いします。
クリニックの設計士屋さん
【2016/04/30】


「物件の選定について」

今回は物件の選定についてご説明させて頂きます。と、申しますのも今年に入ってから先生が選ばれた物件を調べていたら開院に支障がある事が発覚した案が2件ほどあったからです。それぞれのケースでご説明させて頂きます。

@物件検討中の案件

新たにクリニックを開設する為に土地と建物の購入を検討しており、不動産業者からいい物件を紹介されました。購入にあたり、クリニックのレイアウトや概算の金額を算出する為、物件を調べて欲しいとの依頼があり、物件を確認したところある問題が発覚しました。

現在の建物が明らかに土地に対する建ぺい率を超えているのです。建ぺい率というのは簡単に言いますと土地に対しての建物の1階部分の面積の比率で自治体により割合が設定されています。例えば100坪の土地で建ぺい率が80%の場合、1階部分は80坪までとなります。複数階の延べ床面積に対しては別に容積率が設定されています。今回の物件を役所の建築確認や土地建物の登記簿謄本で確認したところ、基準の範囲の面積となっておりました。恐らくは建築後に届け出をせずに増築を行い、基準の面積を超えてしまっているものと思われます。

クリニックの開設にあたっては工事内容によっては建築の申請は必要ないのですが、今回の場合、2階建の物件で、階段の位置変更や内部にエレベーターの新設も検討されており、大規模な改造工事を含めたクリニックの計画でした。既存の建物の構造体の変更や新たにエレベーターなど建築設備を設ける場合は建築の申請が必要となり、現状で基準面積を超えている物件ですと既存の部分に対しても是正の指摘が入ります。建築の申請が必要ない場合でも将来的に改装する際に是正が入る可能性もありますので、今後色々な対応が難しくなる危険性が高くなります。

もともと条件を把握していて、既存の建物を解体して新たに基準面積の範囲で新築する場合は良いのですが、把握せずに購入してしまい、その後に条件が発覚した場合は対応が難しくなります。本来は不動産業者に条件の説明をしてもらいたいところですが、条件はご自身で確認して下さいという業者がほとんどです。工事会社にしても調べたらこのような条件なので別途金額が発生しますという業者もあります。今回の物件に関しては結果購入を見送ったのですが、購入でも賃貸でもクリニックの開設にあたって計画に際して現在支障が無いか、将来的にも支障が無いかを事前に確認された方が良いでしょう…と申しますか確認しなければいけません。

次回も引き続きもうひとつのケースをご説明させて頂きます。
クリニックの設計士屋さん
【2016/05/31】


「物件の選定についてA」

今回は前回に引き続いて選定した物件が開院に支障があったお話になります。

A土地、建物を購入した案件

ある開業を検討していました先生から既存の物件(土地、建物)を購入したので具体的なレイアウトと見積を作成して欲しいと連絡がありました。建物は地上3階でエレベーターを設置して1、2階をクリニック、3階を院長室や休憩室等のバックヤードにしたいとの要望でした。エレベーターを設置する場合は確認申請が必要となる為、建物の調査を行ったのですが、ある問題が発覚しました。

現在の建物は地上3階建てなのですが、建築当時の確認申請書では地上3階、地下1階で届出が出ており、現状と相違がある状態だったのです。

通常は新築の建物の場合は建築前に形状や規模、構造の設計図を作成して検査機関に申請をします(確認申請)。問題がなければ建築許可がおり、建築確認通知書が交付され、建築工事に入ります。工事中は施工記録をとり、中間検査を受けて申請図面通りに施工がなされているかの確認を受けます。建物が完成した際には完了検査を受けて完了検査済証が交付されます。

今回の建物について建築確認や登記簿を確認したところ、確認申請通知書は交付されていましたが、その後の変更に関しては届出を行っておらず、完了検査を受けていない建物という事がわかりました。

現在の建物に対して大規模な修繕や模様替え、用途の変更、エレベーター等の建築設備を増設する場合には確認申請が必要となり、現在の建物に対しての法令や構造の検証となります。完了検査を受けて完了検査済証が交付されている建物の場合はその書類をもとに検証をするのですが、今回の場合は完了検査を受けておらず、その上申請内容と異なった建物となっており、現在の建物の状態を証明する書類が無い事になります。

建物の保証書とも言える完了検査済証が無い建物の場合、現在の建物がどのように建築されたかの調査が必要となります。確認申請時の図面と比べて地下が無く、部分的な軽微な変更ではありませんので、建物全体を調査して新たに建物の設計図を作成する事になります。構造体や基礎、鉄筋の太さや本数などの調査も必要となります。目視できる階段や天井の高さは測量ができるのですが、鉄筋や基礎の状態の調査には部分的な解体やX線検査等が必要となります。その後作成した図面をもとにやっとクリニックとして使用する為の工事に対しての役所との協議となります。

文面も長くなってしまいましたが、調査も長期間に渡りますし、部分的な解体をした場合には建物への影響も懸念されます。調査には費用もかかります。もちろん土地や建物の購入にも大きな費用が発生しています。ここまで費用を掛けてからやっとクリニックのレイアウトの打合せが進められるという物件でした。

結果、無許可、無申請で工事を行う業者がいるとの事でお話を受けなかったのですが、その後が気になって現地を見てみましたが、半年以上も何も手つかずの状態でした。

いい物件に巡り会えるかは縁を大事といいますが、その物件が本当に縁のあるものなのかを色々な方に色々な方面から検証していただいた方が良いでしょう。思い立ったが吉日とも申しますが、まずは物件の購入に動かれる前に色々な方に相談をしてみるといった行動に動かれた方が良いでしょう。

前回から2回に渡り開院に支障があった案件についてのご説明でした。あまり良い方向のお話ではありませんでしたが、物件選定のお役にたつようでしたら幸いです。
クリニックの設計士屋さん
【2016/06/30】


「改装工事のコト」

早いものでもう8月ですね。学生の夏休みと同じようにお盆あたりに夏季休暇を設けるクリニックがほとんどではないでしょうか。先生はもちろんスタッフにとってもリフレッシュするいい機会だと思います。今回は既設のクリニックの改装工事についてです。
通常クリニックにはまとまった休みがなく、改装工事の計画をたてるには5月の連休や夏のお盆休み、年末年始を目処に検討します。工事の内容によっては土日や祝日とクリニックの休みが繋がる203連休を利用して計画をたてる事もありますが、やはりある程度の改装工事を行うにはまとまった休みを利用したいところです。
改装工事の場合、大きく分けて2つの意味合いがあります。
@リフォーム
既設のクリニックのメンテナンス
クロス(壁紙)や床材の貼替えや照明や空調のメンテナンス、クリーニングなどになります。
Aリノベーション
既設のクリニックを変更して新たに付加価値を付け加える事です。
診療内容の拡張や変更に伴う機能の追加や変更になります。
何を目的として改装を計画するか、何を希望するかを設計士や工事会社と確認して意思の疎通を図りましょう。
次に改装工事の注意点ですが、まとまった休みとはいえ1週間前後の工事期間になります。前日までは通常診察、翌日からも診察になりますのでトラブルが無いようにしなければなりません。工事中に先生やスタッフがぴったりとついていなければいけないわけではありませんが、工事会社に任せっきりというわけにもいきません。工事中はある程度連絡を取れるようにして状況を把握しましょう。電子カルテや医療機器のメーカーさんにも工事のスケジュールを伝えてトラブルに対応してもらえるようにしましょう。できれば診察開始の1日前には工事を完了して工事の確認や機器の動作確認、スタッフを含めての改装後のシュミレーションの日程を組んだ方が良いでしょう。
今月にクリニックの改装を予定している方もいらっしゃるでしょうか?小さくても大きくても工事は工事です。事前に確認してトラブルの無いようにして、先生やスタッフはもちろん、クリニックもリフレッシュできるようにしましょう。
クリニックの設計士屋さん
【2016/07/31】


「これまでを振り返って。」

今年も9月になり、季節も夏から秋に移り変わり冬に向けての準備が始まる時期なのです。Nステージさんからお話を頂いて、このコラムのお手伝いを始めてからもうだいぶ経つのですね。拙い文章を長々と書き散らかしており、恥ずかい限りではございますが今月は今までのコラムを振り返ってみたいと思います。

さて、今までのコラムを大きく分けてますと、

@クリニックの設計のポイント
A科目ごとの特色、注意点
B物件の注意点
C改装工事の注意点

この4項目で構成しております。
それぞれの書いた時期によって今読みかえしますと足りていない点や記述していない新しい情報などもありますので、またいつの回かで補足したいと思います。
科目ごとの説明に関しましては内科、耳鼻咽喉科、眼科までとなっており、次回以降に他の科目の説明もしたいと思います。物件や改装工事の注意点などもその都度コラムでお伝えできる内容がありましたら追記したいと思います。偏った内容ではございますが、もうしばらくお付き合い頂けますと幸いです。

さて、風呂敷を広げたところで。
詳細は未定ですが、次回はまた科目ごとの説明をしたいと思います。宜しくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん
【2016/08/31】


「クリニックにできる事」

今月のコラムは予定を変更してクリニックにできる事について考えたいと思います。
個人的な考えですが、いろいろなクリニックのお手伝いをしてきまして、最近の流行りといいますか、風潮として、デザインやインテリアをシンプルにまとめたクリニックが多くなってきたと感じます。もちろん地域性や科目にもよるのですが、保険診療を行う一般のクリニックは自費診療を行う美容系、不妊治療等のクリニックと異なり、高級感のあるインテリアより安心感を感じるインテリアを求められる風潮があります。先生の好みや設計の方の提案もありますので一様には言えませんが、ひと昔前と比べるとやはりシンプルなデザイン、インテリアで構成をまとめたクリニックが多いと感じます。
白を基調としてやさしい木材やあたたかみのある石材をポイントで使用し、空間内のカラーの数を抑えるイメージです。カラーの数が少ないと空間内に落ち着きが生まれます。落ち着きが安らぎを与え、患者様の安心感につながります。ただし、ポイントとなる木材や石材の選定や使い方によっては取って付けたような切り貼り感が出てしまいますので注意したいところです。クロス(壁紙)の貼り分けではなく、ポイントには本当の木材(突板等)を使用して素材のあたたかみや存在感をアピールする事も必要だと思います。あれもこれもと組み合わせてまとまりが無くなるより、ポイントの素材とシンプルなカラー、デザインを組み合わせて上品にまとめたいところです。
当たり前かもしれませんが、患者様は体調がすぐれない不安な状態で来院されます。いろいろなクリニックが増え、それぞれが良さをアピールする中で、診療内容やスタッフの対応、設計図としての動線の良さは今や基本ベースになっています。これからのクリニックとしてできる事は、クリニックとしてやすらげる安心感のある空間を患者様に提供する事だと考えます。
デザインやインテリアについてはいろんな方のさまざまな良い考えがあります。これが正しいというわけではありませんが、イチ設計士の個人的な考えとしてご参考にして頂けましたら幸いです。
クリニックの設計士屋さん
【2016/09/30】


「整形外科について@」

早いもので今年も残すところ2ヶ月となりました。めっきり寒くなり肩こりや関節痛に悩まされる季節です。
さて今回からは整形外科についてのご説明となります。お付き合い頂けますと幸いです。

整形外科とは基本的に運動器官の疾患や外傷を診る科目となります。運動機能の改善も対応しますのでリハビリテーション室(以下リハビリ室)を設けることが科目としての大きな特色となります。一般的に必要な部屋としましては、待合室、受付、トイレ、診察室、処置室、X線室、リハビリ室が挙げられます。スタッフ休憩室や院長室、倉庫等も必要になりますが、割愛させていただきますのでご了承下さい。

整形外科というとお年寄りの方が多いイメージがありますが、本来運動器官の疾患は対象年齢が幅広く新生児や小児、学童、成人、高齢者まで全ての年齢層の方が対象となります。もちろん男女の偏りもありませんので、まさに老若男女が対象となります。これは老化による運動機能の低下も対象として多いのですが、外傷(ねんざや骨折等)による疾患、先天的な要因による疾患も含まれる為です。どの年齢層をメインの対象とするか、または全ての方を対象とするかによって、クリニックを立ち上げる場所(地域性)、広さ、リハビリ機器の種類も変わってきますので、充分に検討しましょう。

次回はもう少し掘り下げてのご説明をしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん
【2016/10/31】


「整形外科についてA」


引き継ぎ整形外科についてのご説明になります。
前回整形外科の対象年齢は幅広いと記述しました。基本は全ての年齢層の方が患者様となります。とは言え、やはり高齢の患者様が多く来られる事も整形外科という科目の特色となります。どの科目のクリニックも同じですが、やはり高齢者に配慮した設備を設けましょう。
■待合室
基本的には一般の内科と同じですが、整形外科の場合、診察待ちのスペースとは別にリハビリ待ちのスペースも考慮しなければなりません。リハビリ室内に待合スペースを設けて診察の待合室と分ける事もできますが、同一とする場合、待合室から受付、診察室、処置室、X線室、トイレ、リハビリ室と基本は全ての部屋に入室しますので、診察待ちとリハビリ待ちのスペースを明確にゾーン分けした方が良いでしょう。次に入る部屋への動線を短くする事が診察、リハビリへのスムーズな流れを生むと同時に患者様の足腰の負担も軽減できます。また、足腰への負担については待合室の椅子、ソファーを一般のものより固めのものにしたり、座面の高さが高めのものを選定した方が良いでしょう。
整形外科ではたまに待合室が地域の高齢者の方々のコミュニティの場となっている事もあります。診察後にあまり長く滞在されてしまうと流れが滞ってしまいますが、待合室にコミュニティスペース(団欒スペース、畳のスペース等)を設けてクリニックの特色を出しても良いでしょう。
さて、今年ももう12月。皆様にとってどのような一年でしたでしょうか?また来年もコラムを通して皆様のご繁栄をお祈りしたいと思います。引き継ぎ宜しくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん
【2016/11/30】


「整形外科についてB」

今回も整形外科についてのご説明になります。

受付
こちらも前回の待合室と同様に一般の内科と同じですが、高齢者や車イスの患者様に配慮しましょう。カウンター天板の高さを低くした車イス対応スペースがあった方が良いでしょう。スペースが難しければ、スタッフが待合の車イスの患者様の所まで伺うといった運営上のルールを決めましょう。また、受付正面には手荷物置きや杖ホルダーがあった方が良いでしょう。

トイレ
やはり基本的には一般の内科と同じで、高齢者や車イスの患者様対応を心がけましょう。便器の両サイドには固定の手摺や可動(跳ね上げ式)手摺を設けましょう。また、手洗カウンターは下部の収納を無くすか奥行きを狭めて、車イスの方でも使い易い様にしましょう。

診察室・処置室
車イスの患者様と介護の方も入室できるように広めに設定しましょう。診察のデスクも電子カルテ、画像、インターネット用のPCを配置しますので、広めに設定しましょう。また、骨格模型等を置く棚もあった方が良いでしょう。

処置室ではどこまでの処置を行うかにもよりますが、簡単な外科処置、ギプスの装着を行う場合には水周りが必須となります。足の洗い場も検討しましょう。ギプスは以前の石膏タイプより樹脂タイプが多くなっておりますが、樹脂を柔らかくするのに水を使用するものと温水を使用するものがありますので給湯設備も考慮しましょう。また、処置室にはギプスや脱脂綿、包帯、添え木テープ等の収納スペースも設けましょう。収納スペースはどこに何があるかがすぐに把握できるように扉の無いオープン棚にしてカーテン等で目隠しをした方が良いでしょう。神経ブロック注射を行う場合はベッドの上下左右に入りますのでスペースを設けましょう。

次回も引き続き整形外科についてになります。
宜しくお願い申し上げます。

クリニックの設計士屋さん
【2017/1/31】


「整形外科についてC」

今回と次回はX線室関係、リハビリ室についてになります。他の科目のクリニックと比べて整形外科の特色となるゾーンではないでしょうか?
■X線室
内科と異なり骨の異常や骨折の程度、関節リウマチなど骨や周囲の軟骨の状態を確認する為にX線撮影を行います。撮影の頻度が高くなる為、Drが撮影する場合に加え、X線技師が撮影する事もあります。Drが撮影する場合は診察室からの移動距離を短く設定する必要があります。第2診察室を操作室と兼用されているDrもいらっしゃいます。また、X線技師が撮影する場合はある程度診察室から離れていても支障が少なくなりますので、診察ゾーンと画像ゾーンを分ける事も可能ですが、その際に注意する点があります。
@技師の方のスペースの確保
Drがほぼ診察室にいる様に、技師の方はほぼ操作室にいる事になります。操作室を通路の様なスペースとしてしまっては居心地も良くありませんので、ある程度のスペースを確保しましょう。
A診察室からの距離
基本は技師の方が撮影するとしましても欠勤や時間外などケースによってはDrが撮影する場合も考えられます。頻度としては少ないと思いますが、やはり診察室からの移動がスムーズにできるように注意しましょう。
X線装置自体ですが1ヵ所の部位に対して各方向から撮影する為、本来天井走行タイプのX線装置の導入が望ましいかと思います。天井走行タイプの場合、設置にあたりメーカーにもよりますが280003200mmの天井高、天井内に補強が必要となります。物件によっては構造的に設置が難しい場合もありますので注意しましょう。天井走行タイプを導入しない、または設置ができない場合は床壁でレールを支持するタイプになります。操作性では天井走行タイプと比べると制限は出てしまいますが、一般の整形外科クリニックでも多く導入されています。物件の選定にも関わりますので、事前によく検討しましょう。
X線装置と同じくX線を発生させる機器として骨密度測定装置があります。骨密度測定装置を導入する場合は使用頻度によってはX線室とは別の検査室を設ける事もありますが、頻度やスペースの観点からX線室と同室にするクリニックが多いかと思います。同室とした場合、もちろん機器を同時に使用する事はできません。電源自体も同時使用防止の為にX線装置と骨密度測定装置とで同じ電源を切り替えて接続するようになります。それぞれのメーカーでどう対応するかを事前に確認しましょう。また、骨密度の操作用PCが必要となりますので、操作室にスペースを確保しましょう。
最後にX線装置用の電源ですが、基本的には簡易タイプの100V仕様ではなく、容量の大きい200Vタイプとなります。容量が大きい為、一般のコンセントや照明の電源、空調用の電源とは別にX線装置用の電源が必要となります。物件によっては電源の確保ができなかったり、確保する為に工事費用がかさむ場合があります。整形外科のX線装置を設置する場合必要な工事となりますが、物件を決める前に工事内容やかかる概算ね費用を把握しておいた方が良いでしょう。
次回はリハビリ室についてになります。

クリニックの設計士屋さん
【2017/2/28】


「整形外科についてD」

今回はいよいよリハビリ室についてになります。リハビリ室は大きく「物理療法」と「運動療法」に分かれます。

「物理療法」
主に器械を使用した処置を行う療法です。首や腰の牽引、マッサージ、温熱や冷却、電気刺激を患部に行う療法です。運動療法の効果も上がりますので運動療法前に行う事が多くなります。さまざまな器械を使用しての療法ですので、牽引やマイクロ波、干渉波の台数等どのような設備を揃えるかによってスペースも大きく変わってきます。また、導入する器械に対しての注意点としまして、
・マイクロ波
器械が発するマイクロ波が影響して消防用設備の煙感知器が誤作動を起こす可能性が高くなります。マイクロ波を発生させる器械を導入する予定がある際は事前に設計会社や施工会社に相談した方が良いでしょう。
・ウォーターベッド
水装填後の器械自体が重い為、床に補強が必要になる場合があります。また、水を装填した状態では移動が困難な為、搬入経路の確保、水道設備の有無の確認が必要となります。電源についてはベッドごとに動力電源(3φ200V)となり、個別のブレーカーが必要となります。将来的な台数も含めて設置場所や電源計画を確認しましょう。
・その他としてはやはり器械の電気容量やコンセント計画、水道設備の必要性をメンテナンス時を含めてメーカーに確認した方が良いでしょう。

「運動療法」
器具等を使用した歩行運動や上下肢、関節等の部分運動、トレーニングマシンを使用した全身運動になります。こちらも運動の種類によって器具の種類が異なり、スペースも大きく変わってきます。トレーニングマシンを導入する場合は他のテナントへの振動を考慮して対策をとった方が良いでしょう。物理療法と合わせてどのような方針のリハビリ室にするかを事前に検討しましょう。
また、特掲診察料「運動器リハビリテーション料(T)」「同(U)」の適合を受ける場合、
@45u以上の面積をもつ機能訓練室を設置
A医師は3年以上の運動器リハビリの診療経験、または運動器リハビリ研修が必要
B専従の常勤理学療法士または常勤作業療法士が一定数以上勤務
※(T)・・・専従の常勤理学療法士または常勤作業療法士が合わせて4名以上
(U)・・・専従の常勤理学療法士または常勤作業療法士のいずれかが2名以上、あるいは合わせて2名以上勤務
C測定器具、血圧計、平行棒、姿勢矯正用鏡、各種歩行補助具、各種車イスなどを装備
「同(V)」の場合は
@45u以上の面積をもつ機能訓練室を設置
A専従の常勤理学療法士または常勤作業療法士のいずれかが1名以上勤務
B歩行補助具、訓練マット、治療台、砂嚢などの重錘、各種測定用器具などを装備
となります。開院時だけでなく将来の構想をたてなけらばいけませんが、共通してリハビリ室45u以上がひとつの基準となります。その他の部分は器具やスタッフの人数になりますので変更は行いやすいですが、開院後にリハビリ室を広げる等の変更は、その他のスペースを狭める必要があり、工事には時間も費用もかかってしまいますので容易では無いかと思います。当初から45u以上のリハビリ室を確保するクリニックが一般的だと思います。なお、物件面積によりリハビリ室を45u以上確保する事が困難な場合はリハビリ室と処置スペースを兼用して基準を満たすクリニックもあります。ただし、兼用する分、リハビリ器械のスペースがとれなくなりますので、やはり余裕のある物件面積が望ましく感じます。整形外科の場合、どのようなリハビリ室にするかで他のクリニックとの差別化をはかれます。リハビリ器械の種類、台数、X線装置の種類や骨密度の導入等、事前に検討してクリニック全体の必要面積を検討しましょう。

整形外科についてはとりあえず今回で最後になります。次回は未定ですが、「コラム」らしさを出していきたいと思います。
クリニックの設計士屋さん
【2017/3/31】


「医師と設計者の関係」

今回は医療業界で使われている用語を設計関係に置き換えて考えてみようと思います。


「インフォームド・コンセント」
直訳すると「正しい情報を得た上での合意」、「十分な説明を受けた上での同意」となるでしょうか。社会的には、医療行為の中で医療従事者(医師)と患者との間で、治療方法や薬の効果を十分に説明して方針を決めていく事の意味合いが強いと思います。専門的な知識を持った人とそうではない人と何かを決めていく上ではとても大切な事だと思います。
クリニックの設計の提案についても、医師と設計者が十分な説明や検討を重ねてお互いに理解をした上での合意(提案の決定)が望ましいことだと思います。設計者側の一方的な判断や設計者任せでは先生のクリニックではなくなってしまいますし、逆にクリニック側の要望重視でもチグハグになってしまう事もあります。医療の専門家と医療設計の専門家なのですから、お互いにコミュニケーションをとって方針を決めていきましょう。

「セカンド・オピニオン」
こちらは分かりやすく、直訳すると「第2の意見」となるでしょうか。社会的には患者側がひとりの医師の診察、症状の判断や治療方法(ファースト・オピニオン)とは別の医師にも診察を受けるといった意味合いが強いかと思います。どちらかと言うとネガティブに捉えがちで、このクリニックの診察だと良くならない、不安だから他のクリニックも受診してみる…といったイメージもあります。医師側としては自分の診察(意見)より、他のクリニックの意見を重視するのかと感じてしまうかと思いますが、前述のインフォームド・コンセントの観点から考えてみますと、十分な説明を受けて理解して治療を受けたい患者側の意見となります。どちらが正しい、正しくないという判断ではなく、2つの意見を十分に検討して判断したいという事だと思います。
設計の提案に置き換えますと、プランについてもひとつのパターンよりも複数のパターンのプランを検討するべきです。設計ではこの考え方だとこのプラン、この考えではこのプラン…とそれぞれメリットのある複数のプランを提案できます。ひとりの設計者で難しければ、他の設計者に提案してもらう事もできます。やはり設計者としては他の設計者にも意見を聞いていると言われればあまりいい印象は受けませんが、検討する事はクリニックを創り上げる上では大切な事だと思います。患者の治療方法は医師の判断ではありますが、当事者である患者の理解があってからこその治療方法となるように、プランについても設計者の作品ではなく、当事者である医師の理解があるからこそのプラン決定となります。信用が無い訳ではなく比較検討して再確認したいと、ネガティブではなく前向きに考えましょう。

さて、今回の2つの用語で共通する事はやはり当事者どうしのコミュニケーションだと思います。医師と患者、医師と設計者。どのような立場や関係であっても、ひとつの事をふたりで決めるにはコミュニケーションが大切です。いいなりやおまかせではいけません。それぞれ意見を出して検討してコミュニケーションをはかっていきましょう。

…あくまで第三者的な観点からのコラムです。念のため。次回についてはまだ未定です。またコラムらしいコラムとなると思います。よろしくお願いします。

クリニックの設計士屋さん
【2017/4/30】


「改装工事のコト(追記)」

現在クリニックで診察をされていて、夏の長期休みの期間に改装工事を検討されている方はいらっしゃいますでしょうか?今月は改装工事の注意点についてです。以前も改装工事のコンセプトや注意点について述べさせて頂きましたが、今回はどちらかというと設計というよりはクリニックにスタッフ・施工業者としての観点からとなります。
■ スタッフ
前日まで診察を行い、休診期間中に改装工事を完了させて、完了後にはまた診察を始めなければいけません。改装の内容にもよりますが、以前の配置や使い勝手と異なる場合、スタッフ全員で変更部分をしっかりと把握して診察開始時に戸惑う事の無いようにしましょう。できれば工事完了日から診察開始日の間に予備日を設けて、配置や動きの確認やシュミレーション、医療機器の動作確認を行う事が望ましいと思います。もし、トラブルが発生しても診察開始前に対応できるように設計者、施工業者、医療機器メーカーとも連携をとれるようにしておきましょう。
■ 施工業者
新規の内装工事と比べて、既存のクリニックの改装工事は注意する点が多々あります。
@設計図からの変更
改装工事の場合、解体してみないとわからない部分が少なからずあります。短期間の改装工事ですので、予定の設計図からの変更が必要な場合は早急に設計者やクリニックに確認して対策を検討しましょう。変更内容についての承認、発生する場合は費用の確認も行いましょう。
可能であれば、改装工事前に事前調査を行う方が良いでしょう。
A養生について
今まで診察されていたクリニックですから、医療機器はもちろん、パソコンやコピーなどの機器、収納棚や備品などもたくさんクリニックの中にはあります。改装工事は造作物の変更や仕上材の変更だけが工事ではなく、完了後にスタッフがストレス無く使用できる状態にするまでが施工となります。変更部分はきれいにできていても、備品の場所がわからない、パソコンがホコリまみれとなってしまっては診察に支障が出てしまいます。備品の移動には細心の注意をはらい、養生(カバー)についても過度なくらい行いましょう。施工後にクリーニングを入れるから…という考えではなく、クリニックを自分の家のように意識して作業を行いましょう。
短期間の改装工事は施工業者はもちろんですが、スタッフや設計者も常に状況を把握しておく事が大切です。工事前、工事中、工事後もしっかりと連携をとり、皆さんが行って良かったと感じられる改装工事にしましょう。
クリニックの設計士屋さん
【2017/5/31】


「サインについて」

今回はサイン(看板)についてになります。
サインとはある意味クリニックの顏であり、地域の皆さんに告知する重要なアイテムになります。効果的に配置や内容を検討する必要があります。サインには大きく分けて2通りの種類があります。1つめは外部に対してのサイン、2つめはクリニック内部に対してのサインです。意味合いも異なりますので、それぞれについてご説明致します。

@外部に対してのサイン
クリニックの存在や診療内容を外部の方に告知するサインです。一般的には建物壁面やガラス面、置き型のサインが多いでしょうか?クリニックに来られる方の目標(めじるし)となり、地域の方の認知度を高める意味があります。クリニック名や診療科目、診療時間などを掲示します。ただし、あまり案内したい内容を詰め込み過ぎますと、かえってわかりづらくなってしまいます。近くで見るサインなのか、遠くから見るサインなのか、案内したい内容も含めて精査してデザインを検討しましょう。

A内部に対してのサイン
クリニックの中の案内の為のサインです。診察室、処置室、トイレなどの部屋がわかるようにするサインや、インテリアとしてのサインになります。診察室や処置室に誘導する際にどのようにご案内するかですが、入口のドアや壁面に1や2の数字と部屋名を掲示して、「1番の診察室にお入り下さい0」や「2番の処置室の前でお待ち下さい0」等でご案内するクリニックが多くなってきたと思います。以前は部屋名を大きく掲示するクリニックが多かったのですが、ぱっと見のわかり易さや内装のインテリアに合わせて数字を使うクリニックが増えている点があげられます。診察室が2部屋ある場合や診察室と処置室を兼用している場合でも数字ですとご案内が行い易いというメリットもあります。トイレに関しても部屋名ではなくマークのみを掲示したり、インテリアを重視しながらご案内するピクトサインとして考えると良いでしょう。ただしインテリア重視で診察室や診察室を英語で掲示したりしますと、かえってご案内しづらくなってしまいますので、機能面をベースに考えながらインテリアとしてのサインを検討しましょう。

サインは皆さまに案内する重要なアイテムです。患者さん、将来患者さんになる方、一般の方など様々な方に見てもらうものになります。クリニックのイメージを伝えつつ必要な情報も伝える窓口となります。色々な内容を詰め込んで下品になってもいけませんし、シンプルで上品過ぎてもいけません。施工業者にしっかりと掲示したい内容やイメージを伝えてデザインを検討しましょう。
クリニックの設計士屋さん
【2017/6/30】


「ゲリラ豪雨」

7月某日都内では雹まじりの雷雨があり、道路の冠水や交通機関の遅れが発生しました。近年のゲリラ豪雨は降水量が多い為、短時間でもあっという間に水浸しになってしまいます。外出している場合はなるべく雨宿りをして様子を見た方が良いでしょう。
…ですが、クリニック(建物)の場合は様子を見ている訳にはいきません。立地の条件にもよりますが、クリニック内まで水が入ると診察どころではなくなってしまいます。以前は土足から上履きに履き替える為にクリニック入口に段差があり浸水対策にもなっておりましたが、近年はバリアフリーの観点から外部から内部までフラットになっているクリニックがほとんどだと思います。大きく分けた条件別に対策を見てみましょう。

●ビル診 1階
入口が外部に面している場合、周りの状況によっては浸水する可能性があります。普段から地域の水はけの状況を把握して、冠水しやすい地域でしたら、土嚢や水止用の板を準備しておきましょう。また、浸水が懸念される地域での開院を検討する場合は事前に室内の床高さを上げておく等の対策も有効です。床上げが難しい場合は、電子カルテ用のパソコン等の電子機器は台に乗せて設置する等も有効です。

●ビル診 2階
入口が外部とは違うフロアですと、直接的な浸水被害は無いかと思います。ですが、外部に面したサッシやバルコニーからも浸水する場合があります。バルコニーは空調室外機等が置かれていて、普段はあまり出入りする事が無いかと思います。バルコニーには雨水を流す配管があり、落ち葉等が入らないようにカバーが付いているかと思います。そのカバーが詰まってしまうと雨水を処理できなくなり、室内に水が入り込んでしまう事もあります。本来は一年を通じてですが、この時期はとくに注意してバルコニーの掃除を心掛けましょう。また、吹き付ける雨の場合、バルコニーの無いサッシや換気扇のフードからも水が入る事があります。建物設備の場合はオーナー様、クリニックの設備であれば工事業者にメンテナンスを依頼しましょう。

●平屋・最上階
クリニックが1階建であったり、ビル診でも最上階の場合は屋根や屋上に面しています。床の浸水ではなく、雨漏りを注意しなければなりません。屋根の状態や雨どいの流れ方、屋上の水はけなどは常に注意して気になるところは工事会社やオーナー様に相談しましょう。

最近の豪雨を甘く考えてはいけません。もちろん何事も無い事が一番ですが、おきてしまった場合、クリニックだけではなく患者さんにもご迷惑をかけてしまう事になります。色々な対策は「やっておけば良かった」より「やっていて良かった」が基本になります。事前にできる事を検討しましょう。
もしも浸水や漏水がおきてしまった場合には修繕費用もかかります。建物側の責任なのか、クリニック側なのか、加入している保険で対応できるかも確認しておきましょう。

クリニックの設計士屋さん
【2017/7/31】


「デザインと安全性について」

今年も早いものでもう9月になりました。原稿を書いている時点ではまだまだ残暑の厳しい日々ですが、暦の上では夏から秋、季節の移り変わりは早いものだと思う今日このごろです。今回のコラムは短めの内容です。コラムらしく。
最近好まれるデザインとして、あまり色合いを増やさずにシンプルな空間の構成が多くなっております。例えば白やアイボリーを基調にしてメインとなる一色をカウンターに配色するような空間の構成となります。ひとつの空間の中を限られた色で構成しますので、複雑にならず、シンプルで洗練された印象になり、その中のソファー等の置き家具、観葉植物等の色合いを空間にメリハリをつけるアイテムとして構成できます。カウンターの形状も基本の箱型のカウンターに手荷物置を設置する形状等、あまり作り込みすぎない、シンプルなものが増えています。手荷物置きの棚もエッジを効かせてシャープな印象を与える形状を希望される事が多くあります。
さて、本題となります。形状をシンプルなものの組合せにした場合、立面や断面的に「角」が出る事があります。「角」ですと、手や頭をぶつけてしまうと怪我をする危険性があります。もちろん「角」でなくても危険性はありますが、鋭角な程危険性は高くなります。どの施設でも同じですが、お年寄りや子供、体調の優れない方が来られるクリニックならなおさら危険性は少なくするべきだと思います。コーナークッション等もホームセンターで販売されていますが、あとから貼り付けするのであればデザインも台無しとなってしまいます。あくまでも空間の構成の満足度の中には安全性も含めましょう。

クリニックの設計士屋さん
【2017/8/31】


「故障かな?のその前に」

今回のコラムはクリニックでよくある設備トラブルについてです。

 ■自動ドアに関するトラブル

〈ケース@ 動かない〉
タッチ式の自動ドアの場合、タッチしても反応が弱い、反応しないトラブルがあります。原因としてよくあることは「電池切れ」です。タッチする部分はテレビのリモコンと同じように内部に電池が入って、自動ドアのエンジンの受信部に信号を送っています。電池が消耗して信号が弱くなり、エンジンが反応しにくくなっている状態です。取扱説明書に記述はあるのですが、既存の自動ドアの場合は説明書が無い事が多い為、施工業者やメーカーを手配してきてもらったのに電池の交換だけだったと言う話をよく聞きます。また、反応が弱い為、タッチする部分をガチャガチャと強くタッチして故障させてしまう事もあります。反応が弱い時は一度電池を交換して確認してみましょう。それでも動かない場合は施工業者やメーカーに問い合わせをしましょう。

〈ケースA 閉まらないで開いてしまう〉
自動ドアが一度開いて閉まる途中で再度開いてしまう事があります。このケースはほぼ機械自体の不具合が考えられますので、施工業者やメーカーに対応してもらう事になりますが、たまに事故防止の為にセンサーが反応して開いてしまっている事があります。センサー部にカーテンやロールスクリーンがかかっていたり、観葉食物が揺れて反応してしまっていたりする事があります。センサー感知範囲内で動くものが無いかを確認してみましょう。また、メーカーでセンサーの感知範囲を調整する事もできますので、一度問い合わせしてみましょう。

〈ケースB 閉まらない〉
自動ドアが完全に閉まらなくなるトラブルもあります。ケースAと似ていますが、閉まる途中で何かにぶつかったような音がして開いてしまう時や電源を切った後に手動でも閉まらなくなってしまう時があります。下のレール部分に異物が入ってしまっている事が考えられますのでこちらも施工業者やメーカーに対応してもらいましょう。ただ、まれに開いた状態でサムターン(内側に付いている手で摘んでまわすカギです。)がまわってしまい、扉が閉まらなくなっている場合があります。自動ドアはドア下にカギが付いている事が多いのですが、開いた状態でサムターンがまわってしまうと、閉まらなくなってしまいます。問い合わせの前に一度確認してみましょう。

基本的にはクリニックの設備トラブルは施工業者やメーカーに対応してもらえると思いますが、業者を呼ぶ程ではなかった…という事もあります。また、業者に問い合わせする際には「どのような状態がいつから」を伝えて、考えられる原因も問い合わせしましょう。救急車を呼ぶ容態なのか、到着するまでにできる応急処置があるのか、呼ばなくてもいい容態なのか?生命に関わる事なので例えに語弊がありますが、まずは確認や問い合わせをしましょう。

クリニックの設計士屋さん
【2017/9/30】

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