耳鼻咽喉科クリニック設計のポイント

耳鼻咽喉科の場合、診療にかかる時間や患者様の動線が異なる部分もありますのでその部分を中心に耳鼻科クリニック設計のポイントを解説していきます。

耳鼻科クリニック設計のポイント

耳鼻咽喉科は一般の内科と比べてお子様の患者様が多く、1人ではなく保護者様を含めた1組で来院される事が多くなります。
そのため待合室はなるべく広く確保しましょう。
その上で待合室には子供が遊べるスペース(キッズコーナー)を設けたり、DVDを流す等、子供が飽きない工夫を考えたいところです。
ただし、大人の患者様もおりますので、同一待合室でもスペースを分けて大人の患者様もゆっくりと診察を待てるように工夫が必要です。

隔離待合室設計のポイント

小児科と同様に子供の患者様が多く見込まれますので、感染症対策として隔離待合室を設けた方が良いでしょう。
構造上可能であれば外部からも専用の入口を設ける事が望ましいですが、難しいようであれば一般の患者様とは別動線で隔離待合室に誘導できるようにしましょう。

耳鼻科中待合室設計のポイント

耳鼻咽喉科の場合、1人の患者様の診療時間が内科と比べて短く、次の患者様がすぐ診察室に入室できるように流れをコントロールする必要があります。
特に子供の患者様は診察に呼ばれても遊んでいたりして準備に時間がかかるものです。
待合室の中でも診察室に近い場所に中待合室(又はスペース)を設けて患者様の流れがスムーズになるようにしましょう。

その他

子供の患者様と保護者の方が中心となってしまいますが、必要に応じて授乳室やベビーカー置き場、オムツ替え等のアメニティースペースも充実させたいところです。

待合室のまとめ

・待合スペースにあると望ましい部屋や設備が多くなりがちです。

ただし物件には条件もありますので全てを満たす事は難しいかも知れません。
ですが、診療予約システムを導入して待合室での滞在時間を短くして密を防ぎながらも、待合スペースを縮小する事も可能です。
クリニックの診療方針や地域性を考慮して、大人の患者様、子供の患者様とその付き添いの方、皆さんが来院したくなる待合室を心がけましょう。

鼻科の検査室・処置室設計のポイント

耳鼻科の検査室設計のポイント

耳鼻咽喉科は大きくわけて診察や治療を行う診察室と聴力や体平衡検査を行ったり、X線撮影を行う検査スペース、採血や外科処置を行う処置スペースが必要となります。
聴力検査には周囲の音を遮断する防音室が必要となります。
患者様が室内に入り、スタッフが確認しながら検査機器(オージオ、チンパノ等)で検査を行う形になります。
防音室は造作工事として部屋を設ける事もできますが、規格の防音室を設置する場合もあります。
スペースとしては概ね1.2〜1.5m×1.2〜1.5m程度、検査機器スペースで幅90〜120cmのデスク(2段タイプ)が一般的です。
検査自体は先生ではなく、スタッフが行う事が多くなりますので、診察室から少し離れていても良いかと思います。
ただし、聴力の検査ですので、音の出るもの(ネブライザー等)からは離して静かなスペースに計画した方が良いでしょう。

X線室では聴器や副鼻腔の状態を確認します。
内科のX線検査と異なり、立位での撮影となりますので寝台が必要なく、スペースとしては概ね2.0m×2.0m程度となります。
こちらは基本的にスタッフではなく、先生や放射線管理技師の方が撮影を行いますので、ある程度診察室からは近くに設置したいところです。
準備はスタッフが行い、スイッチのみを診察室に設置して撮影を行いたいとの要望もよく頂きますが、保健所の指導内容としては基本的にはNGとなります。
X線装置と併用してCTを導入されるクリニックもございます。
クリニックの診療方針や地域性を考慮して検討しましょう。

さて、X線室も聴力検査室と同様に造作工事で部屋を設ける事もできますが、規格の放射線を遮断する防護室を設置する事もできます。
どちらもスペースにはあまり変わりはありません。
造作工事で部屋を設ける場合は仕上材も自由に選定でき、部屋の広さや形状もある程度自由に計画ができます。
規格のBOXの場合、サイズに種類はありますが、概ね形状は決まっており、仕上材の自由度も低くなります。
ですが、将来的に場合の移動(配置変え、移転)にも対応しやすく、導入の初期費用も抑えられるかと思います。
物件の形や将来的な構想を考慮して検討しましょう。
なお、造作工事でも規格のBOXでも近年は室内に消防の感知器の設置が必要との指導が多くなっておりますので、スペースや電源設備と併せて消防設備も設計、工事会社や規格のBOXメーカーに確認された方が良いでしょう。

耳鼻科の処置室設計のポイント

処置スペースはアレルギー検査や処置を行う手術やめまいの検査、リカバリーの為の処置ベッドが必要になります。
スペースにもよりますが、ベッドは2台前後の設置が多いかと思います。
重心動揺計等はベッドの下に収納して検査時に取り出して使用したり、検査や処置内容によって併用すれば良いでしょう。
こちらもクリニックの診療方針や使用頻度の高いものを優先して計画しましょう。

耳鼻科の水まわり設計のポイント

耳鼻咽喉科は一般の内科と異なり、患者様の数と比例して使用器具の消毒が多くなります。
オートクレーブや薬品洗浄が一般的な消毒方法となり、スタッフが洗浄を行います。
消毒のスペースはシンク、消毒機器のスペースはもちろんの事、その他にも器具を置くスペースを含めて広く設定した方が良いでしょう。
スタッフが2-3人並んで作業ができるスペースを目安としましょう。
シンクは清潔用、不潔用と2ヶ所あるといいでしょう。
洗浄時には温水を使う事が多くなりますので給湯設備を必要になります。
ガス式給湯と電気式給湯がありますが、どちらも温水の容量は多めに設定しましょう。
また、シンク用の水栓金具とは別にファイバー洗浄用の水栓金具も忘れないようにしましょう。
流し台の高さはスタッフが立って使い易い高さが基本となります。
実際のスタッフが決まっている場合は確認は容易ですが、計画の段階ではまだスタッフが未定の場合がほとんどです。
ひと昔まえは流し台の天板高さが床面より80cmが一般的でしたが、日本人の平均身長の変化とともに85cmや90cmの天板高さが一般的になってきております。
ご家庭のキッチンと同じく立って使い易い高さ、85~90cmを目安に計画した方が良いでしょう。

2020-12-10