求人広告、スタッフ書類選考および面接のポイント

求人広告を出す前に決めておくこと

スタッフ募集を行う段階までにはクリニック名や診療科目、なによりも診療時間(勤務時間)を決める必要があります。
さらに常勤の正職員を雇うのか、パートのシフト中心で組んでいくのか、1コマにどういう職種を何人入れていくのかなど、採用する人数構成などをある程度決めておくことになります。
また求人広告には給与や時給なども記載しなければなりませんので、地域の相場や最低賃金を前もって調べておくことも大切です。
さらに多くの求人募集広告に埋もれてしまわないように「○○科 新規開院」「○月開業の新しいクリニックです」「新規開業につきオープニングスタッフ募集」など新規の開業を最大限にPRしたタイトルを大きく入れると応募者が集まりやすい傾向があります。
また面接予定日を求人広告に入れておくと、応募者はその日を空けてくださっていることが多いので、面接を1日で済ませられることが多いです。

スタッフ書類選考のコツ

多くの先生方は他の人の履歴書をじっくりチェックするという経験はないかと思います。
応募者が少ない場合は、全応募者と面接するという事でも良いと思いますが、応募者が多い場合は書類の段階で不採用の方が出てきます。
不採用になった方にはクリニックの近隣の方もいらっしゃるでしょうから、今後の潜在的な患者となりうる方や、そのご家族の来院にも影響が出てくる可能性があるということも踏まえて出来る限り丁重に行ったほうがベターです。
応募者の自尊心を傷つけないようなお断り文章は絶対に避けてください。
そこで例えば、「予想を上回るご応募を頂き・・・」「経営も初心者なので最小人数にてスタートする運びとなりました・・・」などの文言を入れた不採用通知に、応募者が大人数でなければ500〜1000円位の図書券やQUOカード券などを同封するとなお良いと思います。
またお断りの通知を出してから追加募集をかける訳にはいきませんので、最初の応募者数を見ながら追加募集の有無を決め、素早い決断を下さなければなりません。
よくある話ですので前もっていろいろなケースを想定しておいた方が良いでしょう。

履歴書のチェックの仕方

字や内容をチェック

次に履歴書の見方ですが、文章や文字にご本人の性格が出ている場合がありますので、要チェックポイントです。
これまで多くの応募者さんの書類選考や面接に同席させて頂いた経験から誤字や脱字が多い方はやはり仕事を通して見ても、うっかりやミスが多い傾向があります。
また志望動機やPRポイントの文章が矛盾していたり支離滅裂な方はやはり会ってみても難しい方が多いようです。
逆に綺麗な字で列が揃っているような方は整理整頓がうまかったり、文章に熱意のある方は会った印象よりも話し込んでみると本当にその通りだったりと書類選考は面接と同等の人選に繋がる場合もあります。

過去の職歴をチェック

内容につきましては、職歴の欄に色々な業種を短期間で転々と移っている方はやはり長く勤めてもらえる可能性は低いようです。
また勤務時間や健康保険、有給休暇について細かく要望や質問を出してくる方は新規開業時の少ない人数でクリニックを回していく時期には向かないといえます。
また医療事務については実に様々な民間の資格があり、資格取得者の評価としては熱意があり、行動した人というくらいの認識でとどめておいた方が良いようです。
即戦力になる方を求めるのであれば経歴欄にあるクリニックの情報を調べた方が良いと思います。
色々書きましたが、履歴書に貼付してある写真は雰囲気の参考にする程度で第一優先に選定していくのはやめておいた方が良いと思います。
なぜなら写真よりもご本人に会った印象のほうがはるかに良い、ということも往々にしてあるからです。

スタッフ面接のコツ

書類選考を通過された方々との面接では1日で10名~15名くらいが集中力や記憶力からいっても最大かと思います。
開業が近づき忙しいスケジュールの最中になりますので、その辺りの人数を踏まえ、書類選考で出来る限り絞っておいた方が良いでしょう。
なお、1名あたりの面接時間は概ね15分くらいで、4名程度面接したら休憩を入れるくらいのスケジュールで面接のアポイントをとっていきたいところです。
電話で面接に来ていただく日時についてアポイントを取る訳ですが、電話での印象も確認したいところですので、時間に余裕があれば先生ご自身でアポイントを取ることをお勧めします。
面接をする方は先生お一人よりも客観的な評価ができるよう誰か同席してもらった方が良いと思います。
できればその方に進行役をお願いし、先生は聞き役に徹してもらい、気になる点は最後に話をする時間を設定すると良いと思います。
そのほうが冷静に応募者の反応を観察できますし、メモも正確にとることができるからです。
ただ面接をする側が4名以上になってしまうと、圧迫面接ではないですが、応募者が緊張してしまい、なかなか打ち解けた雰囲気になりにくくなりますのでできれば面接者は2名、多くても3名くらいが良いと思います。
またお願いできる方がいれば受付をしていただき、その方にも応募者が何時に来たか、印象や待っている態度について(靴を並べていたか等)こっそり評価してもらうと良いと思います。

意外と面接前の態度の方が本音がでやすいので重要な選考材料となります。
面接前の待ってもらっている間に勤務可能時間(曜日)表や志望動機などのアンケートを書いてもらうようにしましょう。
履歴書には書いてないこちらが知りたい部分を一目瞭然で比較できたり、履歴書を本人が書いたかのチェックする事もできるからです。
私が面接をお手伝いする場合、だいたい以下の事を聞く流れで進めています

・志望動機について
・経歴や職歴について(差し支えのない範囲でと断ったうえで携わった業務内容、退職理由、時給・給与)
・医療機関の経験がある場合(診療科目、業務内容、1日の来院患者数、患者層、電子カルテ、不満要素など)
・当院の診療科目についてのイメージ、クリニックに入ってからの感想
・(標榜科目に多い年齢層の)患者さんにどのように対応したいと思っているか
・履歴書の資格や趣味について
・同居している家族構成、子供の年齢、小さい子がいる場合見てくれる人の有無、保育園の送り迎えの時間など
・ご主人様の転勤の有無
・アンケートの出勤日について、残業について
・試用期間についての説明
・雑務もある事についての説明
・受付や看護助手等兼務もありうる事についての説明
・電子カルテにする場合、PC操作の能力、チャレンジ精神
・友人や職場の仲間内での立場、長く付き合う秘訣、違う年齢層の人との協調性など
・健康管理、休日の過ごし方(ストレス解消法等の把握)
・求職や転職の状況
・研修期間や内覧会時の予定
・ドクターより気になる点の確認
・応募者から質問がないか聞く

ポイントとしては返事の内容は勿論ですが、話のテンポを重要視するようにしています。

考える時間が長かったり、質問と主旨の異なった返事が返ってくるようだと、一緒に仕事をしていく上でとてもストレスを感じてしまう結果になってしまうからです。

2020-12-13