内科クリニック開業のポイント

内科の物件探しのポイント

内科クリニックの物件探しでは、他の診療科目に比べて競合クリニックが多いという特徴が挙げられます。

循環器や消化器、呼吸器の各々の専門領域で外科専門の先生方が開業する場合も内科を標榜して開業されるケースが多いことも要因の一つです。
そこで必然的に内科クリニックが市中に多くなります。
大規模都市の大きな駅の周辺になれば半径500m圏内に10件以上の内科クリニックが開業しているなんてことはよくあります。

内科の競合クリニックが多い地域で開業するときには、先生ご自身の専門性を十分にPRすることで差別化を図ったり、また郊外で競合の少ない地域での開業の場合は、かかりつけクリニックとして間口を広げた地域医療を行ったほうがニーズに合っているように思います。

実際に先生方も内科クリニックは経営的に地域で周知されるまでに時間を要する、という話をよく聞かれるのだと思います。
そこで人口の多い都市部での場所探しに固執しがちですが、都市圏は人口が密集しているが故に上述の通り競合クリニックも多く、かえって診療圏の範囲が狭くなってしまい、結果的に周知されるまでに時間がかかってしまうのが現状です。
そこで内科クリニック開業の場合、競合も少ない郊外の方が需要と供給のバランスが良いケースを数多く見てきました。
そのため特に内科クリニックでは郊外での開業がお勧めではないかと感じております。
もちろん物件探しでは、各先生の診療方針や前勤務地の関係などにより一概に言えない部分もありますので、ひとつの考え方として参考にして頂ければと思います。

ご自身やご家族、お子さんの通学などの理由で都市圏での開業を考える場合には、クリニックの休診日に他病医院で、夜間当直のバイトをしたりして立ち上がるまでの収入を補填するという方法を選ばれる先生もおられます。
立ち上がるまでに時間を要することが特徴の内科クリニックですが、診療単価が高いため、周知されてからの経営が一番安定するのも内科といえます。
先生ご自身の考えをよくお纏めになり、先々を見据えて開業地域を選ばれることをお勧めします。

内科の医療機器選びのポイント

一口に内科クリニックといっても消化器、循環器、呼吸器、糖尿病等によりメインに導入する医療機器が違いがあります。
そこでここでは消化器内科、循環器内科、糖尿病内科の医療機器選定のポイントを解説します。

消化器内科の医療機器選定のポイント

消化器内科のメインの医療機器は内視鏡検査装置です。
内視鏡の主なメーカーは、オリンパス、富士フィルム等です。
どのメーカーもデモ機をご用意しておりますので、購入前に実機をご覧いただきたいと思います。
特にどのメーカーとも経鼻内視鏡がよく売れております。
鼻からファイバーを入れるので嘔吐反応がなく、検査中に会話も可能です。
但し、経鼻内視鏡は、大変細いため治療や処置が限られてしまうというデメリットもあります。
ポリープなどの日帰り手術を自院で行う場合は、検査用に経鼻内視鏡、処置用に経口内視鏡を用意する必要があります。

また大腸ファイバーは、CMでもご紹介されている特殊光を搭載したファイバーが人気あります。
内視鏡画像は、レントゲン画像と同じDICOM画像サーバーへ保管が可能です。
医療機器の中でも、内視鏡検査装置は大変高価です。
消化器内科をメインの内科クリニックの場合は、差別化のために最新の内視鏡を導入し、その他の医療機器については、コスト重視で選定する先生が多いようです。

内視鏡室では、その他に内視鏡洗浄機、電動診察台、生体モニターなどの医療機器が必要です。

内視鏡洗浄機は、給水・排水の設備が必要になります。内視鏡の電源やLANなどは、検査台の回りを看護師が動きますので、可能でしたら天井に設置した方が良いと思います。

循環器内科の医療機器選定のポイント

次に循環器内科の医療機器選定のポイントをご紹介します。
循環器では、心電計とエコー、脈波検査装置などがメインとなります。
心電計は、負荷心電図検査をする場合はスペースが必要になります。
24時間ホルター心電計は解析を自院でするか外注に依頼するかで、ホルター解析付心電計を選ぶかを検討します。
なお、ホルター心電計は、入浴OKなタイプが人気があります。
超音波装置は、多くのメーカーが販売しております。
メーカーにより画像の作り方が違う為、使い慣れたメーカーの超音波装置をまずは、第一に選択されたほうが良いと思います。
超音波画像を画像サーバーへ保管する場合は、LAN設備が必要なため、エコー検査をする場所を検討します。
脈波検査装置は、1999年にWHOが血圧だけでなく血管の状態も検査する必要があると指摘して以来、日本では脈波検査装置が1万台以上も普及しています。

糖尿病内科の医療機器選定のポイント

糖尿病内科の医療機器選定のポイントをご紹介します。
糖尿病外来の医療機器は、主に検査機器になります。
具体的にはグルコース、HA1c、生化学、尿検査装置等です。
検査装置は、ランニングコスト(試薬)を考慮して採算性を検討する必要があります。
上記の検査機器は、糖尿病外来で大変役立つ機器ですが、患者人数によっては、試薬代がコスト高になる可能性があります。
患者さんが増えてから導入する計画も検討してみると良いと思います。

内科クリニックの電子カルテ選定のポイント

内科は他科と比べ、上述のように医療機器も複数導入します。
院内環境にもよりますが、内科の先生方が電子カルテを選定されるポイントは多数あります。
・放射線画像、その他検査画像(エコー、内視鏡、心電図等)の取り込み管理方法
・臨床検査センターとの連動性
・院内検査機器との連動性
・書類(紹介状、診断書等)の作成方法や管理方法
・オーダーリングとしての機能、運用方法
・総合作用、併用禁忌のチェック方法
・レセプト病名のチェック方法

その他よく質問のある機能として
・カルテ上で患者負担額を把握できるのか
・自費診療のカルテの管理方法
・メモ、サマリー機能
・外来予約機能
・問診機能

一部メーカーを除き、多くのメーカーが内科ベースでシステムを開発しております。
そのため、上記の機能を概ね有していると思われますが、中には対応できていないメーカーもあります。
先生の診療スタイルや、過去の経験(オーダーリング等)から必須の機能があるようでしたら、対応の有無と、そこの使い勝手を選定材料にされてはいかがでしょうか。
クリニックの設計によっては看護師などのスタッフの動線にも大きく影響します。
さまざまなケースを想像しながらメーカー提案をお聞き頂き、イメージ出来たメーカーを絞り込むのも、一つの選定方法になると思います。

2020-12-24