前回に引き続き、Nステージの吉岡がお届けいたします。
新しく医院を開業するためには、医療法第8条で開設日より10日以内に届け出なければならないとなっておりますので、まず保健所(地域によっては保健福祉事務所や福祉保健センター)へ開設届を出す必要があります。その後、保険診療を行う医院につきましては、以前は地方社会保険事務局(事務所)に提出しておりましたが、現在は地方厚生(支)局へ保険医療機関の指定(保険医の登録)の申請を行う事になります。
保険診療の開始指定日につきましては、原則として各月1日付けとなっており申請締め切り日も地域によって違いますので、開業地が決まった時点でその地域の申請スケジュールをご確認された方がよろしいかと思います。
例えば東京都の場合、保健所へ開設届を提出してから保険診療の開始指定日まで約1ヶ月も必要となります。以前、薬品卸業者の方から聞いた話では、開業スケジュールに余裕がなかったために申請締め切りに間に合わず、開業が1ヶ月遅れてしまい無収入の生活を余儀なくされた先生がいるとお聞きしたことがあります。このコラムを読んでくださった先生方々に関しましては、開業前にこの様な不幸が訪れないことを願っております。
さて、新規開設の場合は直前まで病院などでご勤務をされている先生が多いかと思います。保健所へ開設届を提出する時点で、医院の開設者・管理者となっておりますので、他で勤務を継続する場合には、病院などの勤務時間と医院の診療時間が重ならないことや、保健所によっては勤務先の承諾書が必要になってきます。特に公立病院にご勤務されている場合には、公務員の兼業禁止規定に抵触する可能性がありますので、開設日には病院を退職していなければならない事になります。
よく勘違いしやすいのは、一般的に言う保険診療が開始できる”開業日”と、開設届の記入欄にある”開設日”とは違いますので、その点も十分ご注意下さい。
なお、勤務地と開業地が違う都道府県の場合、保険医登録票の異動手続きが必要になる場合がございます。その点も地方厚生(支)局へ事前に確認することをお勧めいたします。
いままで多くの新規開設の手続きをお手伝いをしてきまして、色々な経験をしました。決して、ある知事さんのように行政システムを批判するつもりではないのですが、ガイドラインが曖昧なのか都道府県、市区町村、担当者によって指導内容や見解が大きく違うことがあります。
私が経験をした例では内装の構造設備に関して、ある地域で了解を得られた事も同一県内の別地域では「うちの保健所のやり方でやらせて頂きます。」と言われて了解が得られなかった事もあ
ります。今まで経験をした事を出来るだけ多く書きたいと思いますがあまりにも多岐にわたりポイントがありますので、内装レイアウトがある程度決まった時点で保健所へ事前相談に行き、レイアウト図面を見てもらうのと同時に申請書類の書き方を教えてもらうのがよろしいかと思います。どの様な指導が出てくるか分かりませんので、可能でしたら経験のある方にお願いをして代理で行ってもらうのもスムーズに進めるポイントになるのではないでしょうか。
コンサルタント吉岡
役所への届出・申請について2
2009-04-30