平成22年4月1日より、一部の例外を除いてレセプトの電子請求が義務化になります。
これから開業を予定されている先生も、どの様な設備を用意しておかなければいけないのかご心配かと思います。
審査支払機関のサイトをはじめ、多くのインターネットサイトで説明が掲載されておりますが専門的な知識がないと理解が難しい単語などもありますので、今回はこれから導入を考えている方へお役に立てれればと思い、一般的に必要な物を簡単にまとめてみたいと思います。
まず、審査支払機関へレセプトデータを送信するには、データを作成するレセコンまたは電子カルテが必要になります。
次にデータを送信するための専用パソコンを用意されることをお勧めします。普段から使われているパソコンと兼用でも構わないのですが、コンピュータウィルスなどによる情報漏洩のリスクが伴う可能性が出てきますので、個人情報保護の観点からは他の利用と分けたパソコンをご用意をして頂いたほうが安心かと思います。その他、ウィルス対策ソフトの導入もお勧めします。
パソコンの種類につきましては、多くのサイトで仕様が書いておりますので割愛させて頂きますが、電器量販店で安価で売られているもので問題ございません。
次にデータを送信するためのネットワーク回線の用意が必要になります。種類は下記の通りです。
①「ISDNダイヤルアップ接続方式」・・・
FAX同様、審査支払機関に電話を掛けてデータを送信する形
②「IP-VPN接続方式」・・・
審査支払機関との間に専用回線を設けるイメージ
③「インターネット(IPsec+IKE)接続方式」・・・
インターネット網を利用して、審査支払機関との間にトンネルを作ってデータを送信するイメージ
電話とFAXで別の番号を持たれる医療機関で導入の多いISDNですが、①のメリットとしては、医療機関に既にISDNが導入されていれば初期投資が抑えられ、電話代が1分10.5円掛かりますが1,000件のデータ送信で1分前後で済みますので、3種類の回線の中で一番安価で送信できるかと思います。その他、外部からのアクセスができない構造になっておりますのでコンピュータウィルス等の脅威に対して安全性が高くなっております。しかし、オンライン請求のために新たに回線を敷くと初期工事費・月額基本使用料などが別途掛かってしまい、②と③の方式と月額費用が変わらなくなってしまうことと、通信速度が遅いためレセプト点検を行った際、時間と電話代が変動して掛かってきますので、月額費用が一定の方が安心と思われる方には不向きかもしれません。
②と③もメリットとしては月額費用が固定となっており、同じ回線を利用してインターネット接続ができることです。②につきましては現状NTTしか扱っていないのですが③は複数業者の組み合わせで契約をする必要がありますので、②と③でどちらの月額費用が安価になるかは選ばれる会社によって変わってきます。使用される環境によっては、利用できないネットワーク回線方式が出てきてしまったり、配線工事等の手間が発生する可能性もございます。
なお、地域によっては各医院からデータを集めて医師会がまとめて代行送信してくれるところもあり、レセコンまたは電子カルテの準備だけで済む場合もありますので、医師会への入会をご検討されている先生は、事前に確認をして頂くことをお勧めします。
コンサルタント吉岡
レセプト・オンライン請求
2010-02-28
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