ニューノーマル、ニュースタンダード、新生活様式…。いろいろと表現はありますが、ここ数年で色々な標準の変化がありました。大きくはコロナ感染症の影響でしょうか。最近は世界情勢による影響も懸念されます。また、放火などの事件によっても法令が変わる事も考えられます。そんな中、クリニックの設計についても様々な要望が増えております。やはり換気や飛散対策、発熱外来用の別動線などがあげられます、その時代や情勢によって変化していくものだと感じております。
さて、今回は過去を振り返ってのコラムとなります。昔のと言っては語弊があるかも知れませんが、昔はクリニックと言うより診療所のイメージでした。今のように科目ごとに細分化されておらず、総合的な診察を行う診療所でした。紙カルテを使用してシャーカステンでフィルムを確認して、診察室と処置室が併用されていて診察中に別の患者さんが点滴をうっていて…。受付は小窓で対応しながら調剤も行うと言ったイメージでしょうか。
今のようなクリニックのスタイルに変化した要因としましてはやはり世情としてのプライバシーの確保があります。患者さんの個人情報を守る上で区画や診察の流れが変わりました。耳鼻咽喉科の両面ユニットなどは今となってはなかなか難しいシステムでした。また、眼科では検査待ちから検査、診察を円滑に誘導する為に待合室と検査室が同室になっていたりもしました。世情の要望に対して変わりつつあった当時は診察の流れの変化に戸惑い、批判的な意見も多くありました。ひと部屋で診察を行うスタイルはクリニックの中で医師が全てを把握できていた利点もありました。個人情報保護の観点から個室管理にすればするほど把握できない空間ができ、スタッフの動線も長くなります。その分スタッフの人数も増えて…といった不具合が多くあり、今の様な診察のスタイルが定着するには多くの葛藤や問題点ばかり見えてしまい、なかなか変わることへの抵抗を持たれているクリニックが多かったと記憶しております。
次回はその変わることへの考え方についてご説明いたします。
クリニックの設計士屋さん