今年も8月になり暑い日が続いております。昼間行うスポーツや大会、ペットの散歩なども時間帯を変えないと成立しなくなってきております。昼間のゴルフなどもはや苦行となります。夜でも気温が30℃近い日もあり夜祭りや花火大会の際も熱中症には気をつけないといけません。今回のコラムは年々平均気温が高くなっている状態で気をつけなければいけない点を少々。
①空調設計について
外気が高くなっておりますので、空調の効きも悪くなります。空調機本体の容量も大きめで選定しましょう。また、室外機の置場を選べるようでしたら熱がこもりにくい開放空間や直射日光があたらない場所が望ましいです。今後の建築業界でも変わっていくべきですが、テナントビルで屋上に室外機スペースとなりますと日照りが強く、能力の低下や故障の原因になってしまいます。入居時に交渉ができるようでしたら要望を出したいところです。
②換気設計について
住宅などの一般的な方法として室内の空気を排出して、その分の外気をそのまま取り込む換気方法があります。この場合外気をそのまま取り込みますので外気温の影響が大きく、夏は暑い空気、冬は冷たい空気が室内に取り込まれます。外気の取り込みれる給気口の位置によっては不快に感じてしまいます。できるだけ人が滞在しない箇所にしましょう。
また別の換気方法としてロスナイ(全熱交換機)もあり、簡単に説明しますと排気する室内の空気と外気の温度の差を少なくする換気方法となります。テナントビルによっては配管を接続する外壁の穴が少なく設置ができない場合もありますし、一般的な配管よりは配管部材や機器本体が多くなるため設置費用はかかりますが、昨今の状況ですとロスナイの導入も検討したところです。
③ガラスの熱割れ
ガラスは直射日光があたり、室内との気温差が生じると自然にヒビがはいる可能性があります。建築基準法上で定められている範囲の窓面にワイヤーが入ったガラスを使用している箇所も多くあります。ワイヤー入りのガラスはワイヤー自体が暑くなってしまうため普通のガラスに比べてさらに熱割れを起こす可能性が高くなります。窓面を広告面として使用するためにガラス面にシートサインを貼付するとさらに熱割れの可能性が高まります。熱割れを防ぐために窓面のシート貼りの規制を建物側が設けている物件や施工業者も熱割れを危惧して貼付を行わないこともあります。ただ昨今の外気温と室内温度の差が大きく、シートを貼付していなくても自然に熱割れが発生してしまう事例が何件か確認されております。ガラスの修繕も高層の場合は高額になるため、自然に割れたなどクリニックに瑕疵が無い場合の修繕費負担者や保険範囲などを確認しておいた方が良いでしょう。
④機器の熱こもり
診察中などは空調をつけてクリニックが適温になっておりますのでパソコンなどの電気機器も排熱できるのですが、診察終了後はエアコンをとめてしまいます。稼働している機器は多くはないのですが、ルーターなどの通信関係機器は稼働のままになるかと思います。夜間でも外気が高いのでエアコンをとめた室内も気温が高くなり、排熱がスムーズに行われない場合があります。翌朝に機器がフリーズしていたなどの事例もあります。エアコンをつけたままという訳にはなかなかいきませんので、通信機器まわりの通気をよくしたり、その部分だけでもサーキュレーターをつけておくなどの対策をとった方が良いでしょう。
おそらくまだまた10月くらいまでは暑い日が続くのでしょうね…。体調管理をしっかりして乗り越えていきましょう。
クリニックの設計士屋さん