賃貸借契約のチェックポイント3

またまた賃貸借契約のチェックポイントです。交渉してもなかなか賃料の値下げに応じてくれない場合、考え方を変えて契約期間を延ばす交渉をしてみは如何でしょうか。通常の店舗テナントの場合、契約期間は2年か3年で設定されているケースが多いようです。そこで知らなかったでは済まされない契約の更新と賃料の1ヶ月分の更新料が掛かってきます。医療機関の場合、内装や機械に掛けた投資額や、その業種柄10年、20年と継続して借り続ける事が予想されます。例えば、賃料が毎月50万円のテナントで、契約期間を10年にしてもらった場合、2年毎の更新に比べると10年間で200万円の差がでます。これを毎月の賃料に換算すると税込みで1万7千500円値引きをしてもらう事と同じになります。私がよくやる方法としましては「将来的に医療法人にする事を視野に入れており、管轄している社会保険事務所より10年以上、安定した医療を提供できる施設でなければならない。という指導があり、個人的にも長く安心してお借りしたいという希望がありますので契約期間を10年間として頂きたい。」(実際は契約の更新の際、優先的に契約を継続する事ができるというオーナーとの覚書があればクリアできるのですが、あえて伝える必要はないと思います。)という内容の文面を交渉文に入れるようにしています。ごく稀に更新料のない物件もありますので、その場合は無駄な努力になってしまいますのでノータッチで良いと思います。また契約期間中の解約については契約期間が長くても短くても予告期間が変わる事はないでしょうから、あまり気にしなくとも良いと思います。ちなみにこの予告期間も突発的に閉院しなければならなくなった時の事を考えると短くしてもらうに越した事はありません。最近は新築の医療ビル等で上記で述べたような普通契約ではなく、契約期間が15年以上などの定期借家契約を設定している物件もありますので注意が必要です。また別の機会に書こうと思いますが、借りる方より貸す方を保護する為の契約なので、できれば避けたいところです。
もう一つ契約交渉をする際の注意点としましては、共益費や管理費等の金額については値引き交渉をしない!という事があります。何が何でも安くなれば良いと言う訳ではなく、実際に借りる事になった際、供用スペースの清掃が不十分だったり照明が切れたりした場合、共益費をしっかり払っている事実があればオーナーや管理会社に対しても強く発言ができますし、エレベーターの保守点検や雨漏り等のビルのメンテナンスなどの費用はこの部分から当てられると考えてよいでしょうから、長く借りる可能性が高い医療機関としては、できるだけ清潔で不備のない建物が望ましいからです。
最後に契約を締結させるコツとしまして、できるだけ交渉事は少ない回数、できれば1回で済ませる事が大切です。例えば、賃料の値下げ交渉がうまくいったので、次は保証金、その次は契約期間といった感じで小出しにしていけば、当然相手方であるオーナーも不信感を持ちますし、契約が成約したとしても、なんらかのシコリが後々まで残ってしまう事があるからです。申し込み書を出して、契約書の雛形を見せてもらい、交渉文を作成・提出し、その返答で借りるかどうかを決定する。という流れで契約するのがベストだと思います。それにオーナーと初めて会う際に菓子折りを忘れずに持って行けば完璧ですね。
コンサルタント碇

2007-01-30