今回は引き続き新築の物件に入居する際の注意事項についてです。
①本体建築の設計業者・施工業者との協議
新築の物件の場合、当然ですが建物本体の設計会社と施工会社がいます。また、入居テナントが複数の場合はテナント窓口として内装管理室を立ち上げ、本体設計施工会社とテナント業者のやりとりを仲介する事があります。一般的にはこちらのケースの方が多いかと思います。複数のテナント業者がそれぞれに本体設計施工会社とやりとりを行うと協議や指示に時間がかかってしまったり、統一性がはかれない為です。建物の窓口として全体を把握、管理する立場となります。
具体的な計画を立てるにあたり内装管理室から各テナントに対して「基本設計指針」というテナント設計に対する決まり事が配布されるかと思います。こちらに建物の概要やスケジュール、コンセプトやテナント内装設計に対する条件やファサードデザインに対する条件などが記載されており、各テナントはその条件の元で計画を立てる事になります。また、引渡しの条件や内装施工時の工事区分なども記載されているかと思います。まずはこの「基本設計指針」を確認しクリニックを計画するにあたって適していない点が無いか、不利となる点が無いかを確認しましょう。まずはクリニックの設計にあたり使用可能な電気容量が確保されているか、または確保することができるか。給排水配管がどこに設定されているか、増設することは可能なのか。空調室外機の設置場所はどこか、配管ルートはあるか。必要消防設備は何があるかなど設備系の確認と床や壁や天井、入口の状態などの建築系の確認をしましょう。不明な部分の確認や変更の要望は内装管理室に質疑としてあげ、協議を進めることになります。こう言っては語弊があるかと思いますが、このような質疑に対する内装管理室の対応がさまざまです。条件だからと一切変更は認められない建物もあれば、テナントの要望と建物の条件の中で調整する建物もあります。もちろん建物のスケジュールなどの都合で変更ができない場合もあり、内装管理室ではどうしようもないケースもありますが、変更が可能であればしっかりと建物とテナントお互いに不利にならないように検討して頂きたいものです。
クリニックの設計士屋さん