「新築の物件に入居する際の注意事項③」

前回では①本体建築の設計業者・施工業者との協議の概要を説明しましたが、今回はもう少し掘り下げて説明致します。

A オープンや工事のスケジュール
建物の完成(竣工)前に内装工事を着工し、建物と同時に内装も完成させる場合と、建物が完成した後に内装工事に入る場合があります。建物が完成した後の場合では、新築の建物だとしても既存の物件に入る場合と同様となります。ただ建物の計画の段階から引渡し状況の協議や変更の要望を出せる為メリットが多くあります。
建物の工事中に内装工事に入り同時完成の場合では、建物のオープンに合わせてクリニックもオープンできる為、複数のクリニックが入居する医療ビルやクリニックフロアではオープニングセレモニーも行い易く、周知もし易くなります。駅ビルなど大型の商業ビルではこのようなスケジュールが多いかと思います。

B 引渡し状況の協議や変更の要望のスケジュール
建物の完成後に内装工事を行うか完成前に行うかで時期は異なりますが、基本的には建物本体工事スケジュールに合わせなければいけません。「基本設計指針」などに記載されている引渡し状況を確認して変更等の要望があれば内装監理室と協議を行いましょう。もちろん協議を行うのはクリニックの先生やスタッフではなく、依頼する内装設計会社や施工会社になります。床や壁・天井の状況や各設備の状況などがクリニックに不利にならないように調整してもらいましょう。建物側からはいつまでに決めなければいけないと指示があります。本体工事のスケジュールもありますので当然の事ですが、殆どの場合、計画したものを変更したくないという考えも見え隠れします。内装設計会社や施工会社と内装監理室の間でしっかりと協議をさせて確認しましょう。
補足となりますが、建物側の内装監理室と協議を行う段階では内装設計会社を決定している事が望ましいです。2~3社の内装設計会社を検討していても、それぞれの会社との協議は内装監理室は行わない為、クリニックの窓口として1社を選定する必要があります。事情により内装設計会社が変更したとしても、協議の内容や変更内容については引継いで1本化しなければなりません。工事のスケジュールはだいぶ先でもまずは内装設計会社を選定する事がクリニック側で決める項目のひとつとなります。
クリニックの設計士屋さん

2019-10-31