ずいぶん以前に継承物件の注意点というようなコラムを書いた事がありますが、近年この医院継承を考えている医療機関、また継承を希望される先生方が増えてきているように感じます。
医院継承のリスクや注意点につきましては以前のコラムを参照して頂くとして、今回は具体的にどのように進めていくかについて書いてみたいと思います。
これまでやってこられた診療科目や来院患者数、テナントの場合は賃貸条件に通勤の便、継承金について等の問題がクリアできそうであれば、実際に見学に行ってドクターと面談する事になると思います。勿論、継承の理由が院長の急死や体調の問題などで同席できない場合もありますが、既存の医療機器や内装の状態などは実際に見てみないと使える物か使えない物かの判断は難しいと思います。
院長に面談できるようでしたら、お人柄や考え方に触れてみて相通じる物があるか確認しておきましょう。長くそこで開業されているようでしたら相対的に院長と相性が良い患者が多い訳ですから、開業してからの苦労に関わる大切な確認となります。また来院患者の特色やテナントであればオーナーとの関係、近隣の医療機関情報などの微妙なニュアンスの情報も継承後、多いに役に立つケースがあるようです。総じて開業してからの苦労話を引き出せると話も程よく盛り上がり、聞きたい情報が聞きやすいように思います。場合によってはこの面談時の印象で「あの先生に是非継いでもらいたい」という事で頼みもしないのに継承金の大幅な減額を打診されたケースもありますので侮れません。
その継承金という物も相場がありそうでありませんので、ご自身の価値基準での判断で良いと思います。ただあまり継承する方から減額の要求ばかりしてしまうと、継承時に一番大切な信頼関係が築けなくなってしまいますので程々にしておきたいところです。
継承する先生もその段階では他のところに勤務しているでしょうから、そこを辞める段取りを取って退路を断つように、譲る医院の方も他からの継承希望者の話をお断りする訳ですから、双方に大きなリスクが発生してしまいますので、双方の相性、条件があうようであれば契約書を交わしお互いのリスクを軽減させる必要があります。テナントでの継承であれば同時期に賃貸借契約も結ぶ必要があります。実際の契約期間(継承者の賃料発生)は継承時からになりますが、その1~2ヶ月前に契約する事はまったく問題ありません。先生同士の話がまとまっても、オーナーが別の方には貸さないと言ってしまえば話自体がなくなってしまいますので、早い段階でオーナーに事情を話し理解してもらっておく事が大切になります。この時の賃貸借契約条件が以前の物と同じ物になるよう院長にも協力してもらいたいところです。
次回は医院継承の契約書について詳しく書いてみたいと思います。
コンサルタント碇
医院継承について
2010-06-30