今回は受付について。事務員スタッフの仕事の能率に大きく影響を与える場所として一番のキーポイントになるのが、クリニックの顔とも言われる受付カウンターになると思います。
まず場所ですが、不安を抱えて来院された患者さんを迎え入れるという意味でも入口から見える、できれば正面に設置できる事が望ましいと思います。その際、直線的にゆったりと患者さんが受付まで来れるルートを確保する事は帰る時のルートも含めて大切になります。
次に作業面の広さですが、ついつい陥りやすいミスとして当初人件費の事を考えて1人か2人の受付事務員で回していこうと考えて、その広さを狭くとっていると後々順調に患者数が伸びてきた時に手狭になってしまうというケースがあります。診療科目にもよりますが、流行ってきた時にスムーズに作業できるようスペースを確保しておく事をお勧めします。かと言って作業面の奥行きを取りすぎると受付や会計時に患者さんとの距離があいてしまいますので要注意です。以前奥行きを一番とっていたコンピュータのディスプレイはブラウン管から液晶になっていますのでそのあたりは楽になってきました。ただレジスターを大きい物を選んでしまい作業面からはみ出すというイージーミスもありますので調べてから購入しましょう。作業面の一つのポイントとして電子カルテやレセプトコンピューターと連動しているプリンター等を足元に配置する事が考えられますので、作業面の奥に配線をつなげる為の穴があるか確認しましょう。その際作業面の配置変えをしたり受付を2人体勢から3人体勢に変更したりした時に対応できるよういくつか穴を確保しておいた方が懸命です。また薄くても構いませんので引き出しを付けておくようにしましょう。作業面が物であふれていると患者さんに対してのイメージも悪いですし、細々した物を整理できます。
作業面の高さはだいたい70cmくらいで患者さんと接する天板の高さは診療科目によって異なりますが95cm~105cmくらいになると思います。内科や整形外科など腰の曲がった高齢者が多い科目ではできるだけ低く設定した方が良いと思います。
患者さん側からの側面には会計時にバックをのせる事のできる棚板を設置したりスペースの有効活用で本棚を埋め込みで作ったりしているクリニックもあるようです。
色々なクリニックカラーを出す事もできるカウンターの側面ですが、まずは受付から会計までの流れを考えて、コンピュータ・プリンタ・コピー機・電話等の配置を2人体勢時と3人体勢時まで想定してレイアウトできればベストです。
以前、医療関係の実績のない施工業者が、幅60㎝くらいの電話くらいしか置けないインフォメーションデスクを置いて受付カウンターとしているクリニックを見た事があります。見た目的にはカッコよかったのですがまったく仕事にならないでしょうから、そうならないよう気を付けましょう。
また一昔前までは受付の背後にはカルテ棚が並んでいましたが、昨今の電子カルテの普及により、新規開業のクリニックではその姿を見かけなくなってきました。その空いた壁面をつかってクリニックイメージを印象付けるような工夫が流行っているようです。壁面を壁紙ではなく家具材や石材のような別の材質を使ったり、間接照明をあててクリニックのロゴを埋め込んだり、大型液晶画面で環境映像を流したりとその工夫は様々です。クリニックに良い印象を与えられるよう色々と考えておられる先生方も楽しそうです。ですが受付スタッフが愛想が悪かったり、間違いばかりするような人だと台無しですので、そうならないよう気をつけましょう。
コンサルタント碇
クリニック設計のポイント4
2008-02-29