内科について①(待合室)

ここまでは設計のポイント等を説明させて頂きました。今回からは具体的な科目ごとの注意点を書いていこうと思います。
 総合病院ではなく、診療所ですとそれぞれの身体の部分の疾患を治療する科目ごとの診療所に分かれる事が一般的です。耳や鼻の疾患であれば耳鼻咽喉科、眼であれば眼科というように、患者様も症状に合わせて通う診療所を選択します。様々な診療科目がありますが、まずは身体を総合的に診る「内科」についてご説明したいと思います。

<内科>
 内科の中でも専門的な診療科目に分かれます。主要な診療科としましては
・内科    :身体を総合的に診る診療科
・呼吸器科  :気管、気管支、肺等を治療する診療科
・消化器科  :食道、胃、小腸、大腸等、消化管を治療する診療科
・胃腸科   :胃、腸、肝臓等を治療する診療科
(消化器科として診療している場合もあります。)
・循環器科  :心臓病や高血圧等の血圧、心臓、血管に関する治療を行う診療科
・アレルギー科:喘息、じんましん等のアレルギー疾患の治療を行う診療科
・神経内科  :神経に関する疾患の治療を行う診療科
などがあり、それぞれ専門的な治療を行う為の設備(部屋や医療機器)を備える必要があります。ここでは一般的な内科を基本として、その補足として専門的な設備についてもご説明したいと思います。

■待合室
 患者様が一番はじめに入られる部屋になります。体調の崩された患者様が滞在する部屋になりますので、やはり広くゆったりと確保したいところです。一般的な内科ですと患者様の年齢層は幅広く、ご高齢の方や子供連れの方もご来院されると思います。全ての方が心地よく過ごして頂く為に下記の部分は注意したいと思います。
①ゾーン分け
 待合室の中でも年齢層や用途によってある程度のゾーニングが必要になります。
 ・子供のスペース(チャイルドコーナー、プレイコーナー)を設け、お連れの子供が大人の方のそばで遊んだりしないようにする事も大切です。診察まで時間が掛かてしまっても子供も退屈せずに待合室にいられるようにおもちゃや絵本、DVD等があると良いでしょう。靴を脱いで遊べる特別なスペースですと子供も喜ぶかと思います。子供のスペースは保護者の方や受付から管理ができ、入口や動線から外れた位置が良いでしょう。
 ・用途でのゾーン分けとしまして、大きくは診察前、診察中、診察後の患者様のスペースとなります。診察前や診察中は受付後に次の診察(処置、検査)に動きやすい位置が良いですし、診察後は受付(会計)に近い位置が良いと思います。診察室に入り、採血をする為に処置室に入るまでに、また入口付近の待合室まで戻ってしまうと、患者様の動線も長くなり、診療もスムーズに流れなくなってしまいます。また、診察までに時間が掛かってしまっても、待合室から次のスペース(中待合コーナー等)にご案内する事によって、患者様も長く待っているイメージが薄くなるメリットもあります。
 ・内視鏡検査を行う胃腸科や消化器科の場合は運営方法にもよりますが、検査待合を設け、検査前の処置を行うスペースが必要になります。一般外来の方と別のスペースで前処置を行い、トイレにも行ける配置が望まれます。トイレも検査用に一般外来の方とは別にあると良いでしょう。受付の方よりも診察、処置側のスタッフが管理把握できる位置が良いと思います。
 ・診療所の地域性にもよりますが、小児の患者様が多い場合は感染症待合室等で他の患者様とは別の空間を設ける事が望ましいです。なおかつ一般の入口とは別に感染症の患者様用に入口を設けて待合、診察、処置、会計まで行える事が望ましいのですが、理想ばかりですとどんどん待合室が広くなってしまいますので、空間の兼用を検討しながら、待合室のゾーン分けを計画する事も必要になります。

  長くなりましたので今回はここまで。次回は続きとして②広さ・イス等について書きたいと思います。
クリニックの設計士屋さん

2014-09-30