耳鼻咽喉科(検査・処置)

今回は検査室や処置室のご説明になります。
■検査室・処置室
耳鼻咽喉科は大きくわけて診察や治療を行う診察室と聴力や体平衡検査を行ったり、X線撮影を行う検査スペース、採血や外科処置を行う処置スペースが必要となります。

・聴力検査には周囲の音を遮断する防音室が必要となります。患者様が室内に入り、スタッフが確認しながら検査機器(オージオ、チンパノ等)で検査を行う形になります。防音室は造作工事として部屋を設ける事もできますが、規格の防音室を設置する場合もあります。各メリットについては後述致しますが、スペースとしては概ね1.2?1.5m×1.2?1.5m程度、検査機器スペースで幅90?120cmのデスク(2段タイプ)が一般的です。検査自体は先生ではなく、スタッフが行う事が多くなりますので、診察室から少し離れていても良いかと思います。ただし、聴力の検査ですので、音の出るもの(ネブライザー等)からは離して静かなスペースに計画した方が良いでしょう。

・X線室では聴器や副鼻腔の状態を確認します。内科のX線検査と異なり、立位での撮影となりますので寝台が必要なく、スペースとしては概ね2.0m×2.0m程度となります。こちらは基本的にスタッフではなく、先生や放射線管理技師の方が撮影を行いますので、ある程度診察室からは近くに計画したいところです。準備はスタッフが行い、スイッチのみを診察室に設置して撮影を行いたいとの要望もよく頂きますが、保健所の指導内容としては基本的にはNGですので、ご了承ください。X線装置と併用してCTを導入されるクリニックもございます。クリニックの診療方針や地域性を考慮して検討しましょう。

・さて、X線室も聴力検査室と同様に造作工事で部屋を設ける事もできますが、規格の放射線を遮断する防護室を設置する事もできます。どちらもスペースにはあまり変わりはありません。造作工事で部屋を設ける場合は仕上材も自由に選定でき、部屋の広さや形状もある程度自由に計画ができます。規格のBOXの場合、サイズに種類はありますが、概ね形状は決まっており、仕上材の自由度も低くなります。ですが、将来的に場合の移動(配置変え、移転)にも対応しやすく、導入の初期費用も抑えられるかと思います。物件の形や将来的な構想を考慮して検討しましょう。
なお、造作工事でも規格のBOXでも近年は室内に消防の感知器の設置が必要との指導が多くなっておりますので、スペースや電源設備と併せて消防設備も設計、工事会社や規格のBOXメーカーに確認された方が良いでしょう。

・処置スペースはアレルギー検査や処置を行う手術やめまいの検査、リカバリーの為の処置ベッドが必要になります。スペースにもよりますが、ベッドは2台前後の、設置が多いかと思います。重心動揺計等はベッドの下に収納して検査時に取り出して使用したり、検査や、処置内容によって併用すれば良いでしょう。こちらもクリニックの診療方針や使用頻度の高いものを優先して計画しましょう。

次回は水まわりについてと、動線計画についてになります。よろしくお願い致します。

クリニックの設計士屋さん

2015-09-30