今年も早いものでもう6月。一年の前半最後の月になります。8月の夏期休暇に工事を予定されているクリニックの方はそろそろ具体的に内容を確認していかないといけない時期になりました。さて、今回は配線関係の話です。
昨今のクリニックでは電子カルテが一般的になり医療機器や検査機器との連動の為、パソコン用のLANケーブルが各部屋に必要となっています。また、電子カルテ用とは別にインターネット用のパソコン用にもLANケーブルが必要となります。コンセントも同様なのですが、設計・工事の際に設計者や施工業者、メーカーに確認をしてしっかりと設置されていると思います。ですがここで疎かになりがちな点があります。LANケーブルの集合場所(起点)の管理です。以前は受付カウンターの足元に電子カルテのサーバーを配置して、そこを起点として各部屋にLANケーブルを延ばす事が多くありました。ただパソコン本体の他にルーターやハブなどの配線機器も必要となる為、スペースをとってしまい受付の作業に支障が出る事がありました。最近では電源(コンセント)の分電盤と同じように、LANケーブルや電話、TVなどの集合場所として弱電盤をバックヤードに設ける事が多くなりました。弱電盤の中で電話線の引込み、ルーターへの接続、電話やFAX、複合機設置場所までの配線、ハブの設置、各電子カルテ用パソコン、医療機器、インターネット用のパソコンまでのLANケーブルの配線を行い、弱電関係の集合場所となります。スチール製の扉付きの箱型のものが多いですが、吊戸棚でも代用はできます。メンテナンスや管理が行いやすいものを選定しましょう。
…と、弱電盤の形状や場所、LANケーブルの本数などをしっかりと確認したと安心してしまうと落とし穴があります。弱電盤の内部の機器や配線の整理です。前述したように弱電盤内部は集合場所となる為に沢山の配線が出ています。その上ルーターなどの配線機器も設置される為、電話会社や電子カルテメーカーがそれぞれ自由に機器を配置してしまうと配線も絡まってしまい、メンテナンスの際に手が付けにくくなってしまいます。弱電盤の下に配置するのではなく、弱電盤内部の壁面に固定するなどの対応をしてもらいましょう。またどのハブが何のハブか、そのハブからどの部屋に延びているかを分かるように明示して把握しましょう。できれば弱電関係の窓口になる業者がいれば管理も含めて委託した方が良いかと思います。委託が難しいようでしたら弱電盤内部に機器を設置するメーカーに内部が乱雑にならないように配置をして欲しいと説明をしておきましょう。弱電盤の計画や設置までは設計者や施工業者、以降は使用者の管理となりますので、事前に誰が整理して管理をするかを確認しておきましょう。
クリニックの設計士屋さん