11月になり本格的に秋らしくなりました。日中は過ごしやすい気温でも朝晩には冷え込みますので体調を崩されないようお気をつけ下さい。
さて今回のコラムは医療モール計画での少し思うところについてです。…と言いますのも現在進行系で医療モールの1区画にて新規クリニックの内装のお手伝いをしているのですが、全体の医療モール計画にて内装作業が進むにつれ発生した懸念事項がありましたので、今後の注意事項として説明したいと思います。(多少誇張表現がありますので現実味のあるフィクションとしてお考え下さい。)
案件設定
・既存の大きな建物の1フロアを医療モールとして計画
・他フロアは営業中
・医療モールは薬局がプロデュース
フロア全体は薬局関連会社が一括で賃貸
各クリニックは薬局関連会社からの賃貸借契約
・薬局関連会社が内装監理業務を行い、建物管理会社と協議を行う
・薬局の他にクリニックとして5区画
区画分けと共用部分の工事は薬局関連会社が負担
薬局と5区画のクリニックは同時オープン予定
・B工事(消防設備・空調換気設備)あり
・基本の進め方は下記の流れになります
内装設計図を内装監理に提出、承認を受ける
B工事依頼用の図面提出→B工事見積作成
内装施工図を内装監理に提出、承認を受ける
B工事見積確認、発注
内装工事、B工事着工 → 完成
消防検査、建物管理会社検査
保健所検査
開院準備
クリニック開院
さて、次からが発生した懸念事項と注意事項になります。
(繰返しになりますが、多少の誇張が含まれております。あしからず)
①内装設計・施工図の承認後に多々変更依頼
内装設計・施工図を提出し、承認を受けたあとに共用の基本デザインのコンセプトが変更になり、区画の入口やフロントサッシについて制限が発生。入口位置の変更や制限があると区画内の平面自体が変わってしまうため、設計をいちから修正する必要がある。強い協議の上で当初の入口位置で許可となる。変更となった原因はもともと共用部については薬局関連会社のデザインだが、各クリニックから不評だった為、一部のコンセプトを残してデザインが変更になった為。
*医療モールをプロデュースする際には基本コンセプトや共通ルールを事前に決定していないと、各クリニックの内装設計の足並みが揃わなくなってしまう。物件検討時にモールの基本コンセプトやデザインなどがしっかり決定しているかの確認が大切。
②B工事金額が想定外
B工事が発生する際によくある事柄ではありますが、この案件では消防設備以外に空調換気設備も指定業者の為、事業計画上の予算との開きが大きくなってしまった。B工事業者には見積依頼前に概算の金額を確認していたが回答は頂けず、参考にと5年ほど前の同じ建物の店舗の改装工事の際のおおよその金額を伝えらていた。店舗とクリニックで工事内容も異なる為あくまでも参考として予算を組んだが、実際の金額は2倍近くなっており大幅に予算を超えてしまう。当時との施工単価に差がある事はわかるがだいぶ厳しい金額となる。B工事内容の確認や修正である程度金額は下がったが予定の1.5倍程度となる。ちなみにB工事の金額が提示されたのは賃貸借契約後。
*B工事がある場合は施工条件や施工内容を加味した上で多めに予算を組む必要がある。可能であれば物件検討時には大きく上下しない概算金額を提示してもらう事が望ましい。提示が難しい場合は賃貸借契約のタイミングをB工事金額確認後にするなどの対策も必要。
…まだあるのですが、今回はここまでにしたいと思います。
次回も宜しくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん