開業までの過程の中で比較的軽視され、テナント開業の際、見落とされやすい項目に賃貸借契約の締結があります。おそらく住居の引っ越しの多い先生方にとっては、建物のオーナーと結ぶ契約と言うより不動産屋会社の方のみお会いしてサクサクっと終わらせる経験があるので、気軽に考えていらっしゃるようです。
実はこの賃貸借契約を安易に考え、後々に大変なストレスの原因となり挙句、移転した例というのも少なくありません。
判り易い項目で言いますと、これから経営者として毎月多額の賃料(固定費)を支払い続ける事を考えると、できるだけ低くなるように交渉する事は大切な事です。
不動産会社が仲介に入る場合は、おそらく「一般的な契約書ですから・・・全国不動産業用の契約書なんで・・・」といったようなもっともらしい話で切り出してくる業者さんが多いようですが、私の知る限り似た形式の物はあっても、まったく同じ契約書はチェーン展開している不動産屋を除いてはありませんでした。
勿論、良心的な不動産業者さんも多くいらっしゃいますが、仲介と言っても複数の物件を所有している、今後も繋がりの多いオーナーサイドに有利な、または保護するような契約書が一般的に多いようです。
そこで、大切な事は契約前に賃貸借契約書の雛形を契約を締結する前に見せてもらい、充分に吟味し、必要があれば交渉文を作成し少しでもストレスがなくなる契約書に近づける事です。契約を締結してからでは、まず変更はできないでしょうから、契約前の立場が強い段階でやらなくてはなりません。
契約書の雛形を見せてもらう為には、まずその物件の申し込み書を提出しなければならないでしょうが、この申し込み書はこちらの身分と何の業種をやるかをお知らせする意味合いで、提出したからといって債務が発生するような法的な制約はありませんので、その物件の立地や競合機関などの状況が、賃貸の条件が良ければ借りても良いという判断があれば物件を押さえる為にも早めに提出しても良いと思います。但し、申し込み書を出してから何週間も契約を先延ばしにしては、今後のオーナーとの信頼関係を築く上でもマイナスになりますので、それなりの覚悟は必要です。できれば、こういったやり取りは決定権のある先生ではなく、オーナーが不動産屋を立てるように、我々のようなコンサルタントか信頼の置ける第3者に任せた方がベターだと思います。不動産屋に対して曖昧な返事をしてしまい、それが決定事項として進むより、第3者を立てる事でギリギリの交渉をしてもらったり、一度持ち帰ってゆっくり考える事もできるからです。では、次回は具体的な交渉ポイントについて書きたいと思います。
コンサルタント碇
賃貸借契約のチェックポイント1
2006-11-26