賃貸借契約のチェックポイント2

前回に引き続き賃貸借契約のチェックポイントについてですが、テナント物件の情報を取得する際、不動産業者が作成する募集広告を見て検討するケースが多いと思いますが、その広告の右下に契約の種類(専任や媒介など)が記入されていると思います。専任とは簡単に言うとオーナーから直接依頼を受けた不動産業者が借主を探している物件であり、その不動産業者がオーナーと面識があったりカギを預かっていたりするケースで、契約が成約した場合は、オーナーと借主の両方から仲介手数料を取得します。また媒介とは専任とは別の不動産業者が広く広告や希望者に紹介し(客付けとも言います。)、成約した場合は専任の不動産屋はオーナーから、媒介の不動産屋は借主側からのみ仲介手数料を取得します。借りる方としてはどちらも仲介手数料の金額は変わりませんので、あまり意味が無いように感じますが、実は厳しいギリギリの交渉をするとなればオーナーの性格や状況を把握している専任の不動産屋を味方に付け説得してもらうほうが、こちらの要望が通りやすい場合が多いようです。これはあくまでも不動産の交渉に限っての事であり、媒介の物件情報を扱っている業者の方が情報量が豊富なケースも多いので、どちらが良い悪いではなく交渉をする際の参考にしておくと良いのではないかと思います。
次に、そのテナントがどういった状況かを把握しておく事も大切です。こちらが新規開業であれば、当然建物も築浅で綺麗な物件の方が良い訳なのですが、裏を返すとその物件を建てる際、オーナーの方も多くの場合が借金をして建築し、場合によっては土地から購入しているかもしれません。したがいまして築浅、特に新築の物件などは金額的な交渉は、よほどふっかけた前提賃料でない限り難しくなります。狙い目としては、借り入れの返済が終了する築7年~10年以降の物件であれば比較的、金額面での交渉にも乗ってくれるケースが多いように思います。これも建物の立地や他の借り手希望者の存在、オーナーの経済状況などによっても変わってくるところなので、参考程度にして頂ければ幸いです。他に賃料の交渉の方法として、最初の数年間だけ限定で賃料を抑える交渉をする事も効果的な方法の一つだと思います。どうしても新規開業となると認知されるまでに時間が掛かり、特に内科など競合が多く、ターゲットとなる患者さんの年齢層からも立ち上がりが安定するまでに年数が掛かります。その代わり診療単価などを考えると立ち上がってからは一番安定する科目でもあります。そこで最初の数年間だけオーナーに協力してもらい、固定費を抑える事ができれば経営的にはかなり助かります。当然、医療に理解のあるオーナーでなければ難しいと思いますので、そのあたりも交渉時には把握しておきたいところです。
コンサルタント碇

2006-12-31