今回はクリニック設計のポイントについて書きたいと思います。当然ご自身の医院ですので、全体のイメージやコンセプト等をしっかり決めておく事は大切な事なのですが、それだけで突き進んでしまうと後々大変な状況になりますので、まずは設計の会社を選ばなければなりません。
設計の会社を選ぶポイントとしては、どれくらい医療機関の設計の実績があるか。というところだと思います。どんなに大きい会社や有名な設計士であっても医療機関について知識がなければ先生が主導になって話を進める事になります。診察まわりのレイアウトは完璧にできたとしても、電気容量や給排水の設備、患者さんとスタッフの動線など使う上で最も大切な部分が配慮されない物になってしまう可能性があります。
そのあたりが、住宅や商業施設と医療機関とではまったく違いますので、医療機関の実績があるところ、できれば医療専門の会社に依頼する事で有意義なアドバイスを聞く事ができます。
細かく言うと先生の診療科目での実績数も確認しておきたいところです。例えば先生が内科なのに歯科と福祉施設を何件かやった事があるだけで、医療機関の実績は充分にあります!というような業者も少なくないからです。
同じように担当する設計士の実績や相性も大切になります。なかなか先生の言う意図を理解してもらえなかったり、まったくイメージの違うデザインを提案してくるようであれば開業準備の忙しい時に大変な時間のロスと余計なストレスになってしまいます。できれば先に開業した知り合いのクリニックを多く見学させてもらいデザインや評判の良い会社・設計士を紹介してもらえるとベストだと思います。
設計のコストですが、医療機関専門の会社になるとおおよそ概算内装工事費の8%~15%くらいが相場のようで、他の建築設計より少々割高になります。しかも医療専門ですと独自のノウハウ流出を防ぐ意味合いもあり設計・施工が条件の会社が多く、設計のみを単独で受注している会社は少ない現状があります。設計の会社を決め図面が完成してから複数の施工業者で相見積もりを取る方法、医療専門の設計・施工の会社に複数依頼し絞っていく方法等、どのような方向で業者を決めていくかを事前に検討しておく必要があると思います。ちなみに後者の方法ですと相当な時間と手間が掛かりますので、あまり手を広げすぎると時間的に自分の首を絞める事になりますので気をつけましょう。
私自身、以前医療専門の設計・施工の会社に在籍していた経験がありますので言いますが、相見積もりをされている間はあまり特殊性の高いノウハウや動きをしなかった記憶があります。設計士も同じで専門性の高い技術やデザイン、詳細のプランはお見せするだけでお渡しはしていなかったようでした。やはり相手も人間ですので、信用してもらえれば期待に応えようと頑張るでしょうし、逆もあると思います。できるだけ早く見極め人間関係を深めていった方が結果的に納得のいく設計に繋がっているようです。
これらの事は他の業者さんや対人関係にも通じる物があると思います。偉そうな事を言うつもりはありませんが、そのあたりを上手にできる先生と、そうでない先生とでは開業後の結果が変わってくるのではないでしょうか。
次回は少し具体的なクリニック設計について書きたいと思います。
コンサルタント碇
クリニック設計のポイント
2007-10-31