事業計画書の作成6

今回も支出について書きたいと思います。高額な医療機器を導入する際、リース会社を経由して導入した場合は毎月リース料が発生します。内装や運転資金などを確保する為に銀行などで借りられる枠を使ってしまった場合等の資金調達先という一面もありますが、支払うリース料が全額損金(費用)として経費で認められる分、節税のメリットがあります。リース料は各リース会社が提示する料率に基づいて算出されますが、ここで注意しなければならないのは料率は金利とは違うという事です。料率とは先生が医療機器業者と交渉して決めた金額に毎月の使用料としてリース会社に支払う金額の算出率の事で、例えば1,000万円の医療機器をリースしリース料率が1.8%であれば毎月のリース料は180,000円となります。このリース料率には医療機器に対する保険や固定資産税などが含まれているものの、金利に換算すると国民生活金融公庫や銀行などの金利より割高になってしまう事を認識しておきたいところです。
また、リース料率もさることながら保険の内容や、リース期間終了後の取り扱いについてはリース会社によって多少異なりますので、よく説明を聞き納得の上で契約する事が大切だと思います。ちなみにリース期間が終了し、まだまだ充分に使える物に関しては再リースを組む事になると思いますが、先ほどの例で説明しますと、毎月支払っていたリース料18万円の年額(216万円)の10分の1の金額(21万6千円)で年契約する事が一般的です。
これらを含めて、自己資金で足りない部分を金融機関からの借り入れにするか、リースにするかを検討しましょう。もちろん金融機関からの借り入れた場合も毎月返済が発生しますので、金利(固定か変動かを含めて)や返済期間、据え置き期間の有無や、保証人や担保の必要性などを含めて検討し総合的に判断しなければなりません。金融機関からの借り入れについてはまた後日、詳しく書きたいと思っています。
前回から、人件費、賃料、薬品代金、検査料、リース料等について書いてきましたが、これらの他に水道光熱費や通信費、看板や広告に掛かる費用、先生やスタッフの交通費、コンサルタントや会計を委託した場合の顧問料、医師会に加入した場合の会費、清掃業者を委託した場合の費用、各種保険料・・・等々、様々な支出が予想されます。クリニックの規模や先生の取り組みによって異なってはきますが、事業計画の性格上できるだけ多め多めに算出しておいた方が良いと思います。実際にはできるだけ支出は抑えたいところですのでその為の経営努力は必要になってきます。
これまでの内容を踏まえ、できるだけ具体的に数値化し収入と支出を表にすると判りやすくなると思います。あまり赤字が続くようなところであれば、借り入れは勿論無理ですし、その場所での開業を見直した方が良いでしょう。
また、充分な利益が算出できたとしても、そこから個人であれば所得税、法人であれば法人税が引かれる事を忘れてはいけません。
ただ、経営を厳しくみると言って人件費を削減したり、診療に必要な医療機器の導入を見送ったり、闇雲に広告宣伝費を抑えすぎたりする事は負の連鎖を引き起こす可能性がありますので、やりすぎは禁物です。
色々な値引き交渉もやりすぎると、業者や担当者も離れていってしまいますので、様々な有益な情報も入りにくくなってしまいます。完璧な事業計画を作成するより、その辺りの人間関係を上手にできる心掛けの方がよほど大切かもしれませんね。
コンサルタント碇

2007-09-30