10月になりやっと暑さの落ち着きを感じられるようになりました。日によっては朝晩と昼間の気温差がありますので体調を崩されないようお気をつけ下さい。
さて、今回は振動被害についてです。以前のコラムでもクリニックと同じ建物にスポーツジムが入居しておりダンスレッスンやトレーニングプログラムによって建物自体に振動が伝わり診察に影響が発生していた案件について説明致しました。震度1〜2の微振動ですがレッスンによっては1時間程度継続してしまい気付かないうちに船酔いのような感覚となってしまいます。本来であれば振動や衝撃が発生する事が想定される施設では内装設計施工時に対策をとり建物に振動が伝播しにくいようにする必要があります。この際は対策が不十分だったと考えられる為クリニック内で振動測定を行い測定結果を提示してスポーツジムに更なる対策を講じて頂きました。今回の案件は常に振動が発生するとは想定されない施設からの振動になります。
クリニックと同じ建物に病児病後児保育施設・精神科デイケアが入居していのですが、常にではなく突発的な振動が伝播する状況です。いわゆる生活騒音のように子どもが飛び跳ねた、物を落としたなどの突発的な振動がクリニックにも伝わってきます。クリニックの先生も理解が深く、診察自体に影響がなかった為とくにクレームを入れるなどは考えていなかったのですが、 突発的な振動が発生した際にCT撮影の画像にノイズが入る事がわかりました。実際東京都では日中はおおよそ60db以下(医療施設の付近では−5db)との振動の基準はあります。今回の振動は突発的には基準を超えていると思われますが、継続する状態でもなく通常の診察ではほぼ気になりません。C T撮影の際に振動が発生した時にのみ影響がある状態でした。結果として施設の方に相談し、床に防音マットなどを敷いて頂く、C T撮影がある際は前もって連絡をして気を付けて頂くようにして改善が見られました。今回はクリニックが施設より後に入居しており強く指摘できない、施設とクリニックで相談ができるような関係性があった事で改善の方向に進めました。このような関係性がなかった場合は話し合いが平行線となる事も考えられます。
共働き世帯が一般的になるにつれ、一般の保育所や病児病後児保育やデイケア施設が増えております。また大型のスポーツジムだけではなく、コンビニサイズの小スペースジムも増えました。とくに小スペースのジムはトレーナーの人数が少ないところが多く、利用者の管理ができていないことも考えられます。とは言えジム施設を目の敵にしている訳ではなく、逆に少し前の新型コロナ感染症の際には換気扇の吹き出し口から外部にウィルスを撒き散らすとの考えからクリニックの入居を断られた事もありました。反社会的な施設で無い限り多種多様の職種についてできる範囲はお互いに協力する事が大切だとは思いますが、ジムや保育所の振動だけではなく、カラオケの騒音、飲食店の臭気など開業テナントを検討する際は事前に懸念事項がないかを確認された方がよいでしょう。
クリニックの設計士屋さん