②広さ・イス
先にも述べましたが、理想をきれいに並べていきますと待合室は広大なスペースになってしまいます。かえって患者様の動線が長くなってしまったり、受付の方も全体を把握できなくなる等のデメリットも出てきてしまいます。
・待合室の広さとしましては、やはりイスの数が目安になります。こちらも運営方法や診療単価にもよりますが、先生がお一人で診察を行われる場合、1時間で診られる患者様の人数×1.5程度のイスを目安として考えます。仮に1時間に10人の患者様を診られる場合は10人×1.5=15脚となります。この他にお連れの方のスペースや、患者様どうしをぎゅうぎゅうに座らせないゆとりのある空間を演出する為には、さらに×1.5~2を掛けて22~30脚程度は確保したいところです。待合室のイスが少ないといつも混んでる印象になってしまいますし、多すぎますとスペースの無駄使いになってしまいます。診療方針に合わせて設定しましょう。
・イスの形状についてですが、昔はベンチタイプのイスが多く使われていたと思います。
3人掛けで1.5~1.8m程度の大きさの規格サイズのベンチやソファーを並べて配置しておりました。現在でもご使用になられているクリニックも多くありますが、お一人用のセパレートタイプのイス(チェア)を設置しているクリニックも増えてきております。セパレートタイプのメリットとしましては、他の患者様との適度な距離を保ち、待合室のゾーン分けとしても有効に使用できる。デザイン性が高く、種類もあり、インテリアとしても有効なアイテムになる。将来的な配置変え、イスの増設も検討しやすい。待合室の患者様の人数の目安がつけ易い等が挙げられます。ただ、デメリットとしてはお連れの方と並んで座りにくい。1脚=1人となりますのでイスの数を多めに確保したい場合はスペースが必要となる。ベンチ、ソファータイプに比べると価格が高額となる。具合の優れない患者様が横になれない等があります。地域性や患者層によってイスの種類も併用して検討していきましょう。
・イスの配置
ベンチ、ソファータイプでも、セパレートタイプでも患者様どうしがあまり近づきすぎない、向かい合わせに座らないように配置しましょう。
③その他
・BGM、TV
円滑な診療を心がけていましても、どうしても患者様には待ち時間はできてしまいます。BGMやTVは待っている時間を和らげる効果があります。さらに診察室から近いスペース(中待合コーナー)で待っている場合は防音(遮音)の効果もあります。完全に診察の声を遮断する事は難しいですので、BGMやTVで意識をそらしたり、声は聞こえるけど、聞き取れないようにする方法として使用できます。
・掲示物
クリニックには案内掲示をしなければならないものと掲示したいものがります。待合室の壁面や受付カウンターに乱雑に掲示するのではなく、スペースを決めて掲示したいところです。掲示板を設けて情報をまとめた方が、患者様もわかり易いかと思います。最近ではTVを掲示板がわりにしてPCから情報を掲示しているクリニックもあります。
待合室や受付はクリニックの第一印象となる部屋です。患者様が心地よく滞在して頂けるように、広さやイス、設備だけではなく、スタッフの方も意識を持って清潔に保ち、クリニックの玄関としての空間作りを心がけましょう。
内科の注意点を書こうと思いましたが、待合室のみとなってしまいました・・・。
内科は他の科目と共通する部分が多く、配置や考えの基本となる科目だと思います。
次回は「内科について②(トイレ)」を予定しております。また宜しくお願い致します。
クリニックの設計士屋さん