7月某日都内では雹まじりの雷雨があり、道路の冠水や交通機関の遅れが発生しました。近年のゲリラ豪雨は降水量が多い為、短時間でもあっという間に水浸しになってしまいます。外出している場合はなるべく雨宿りをして様子を見た方が良いでしょう。
…ですが、クリニック(建物)の場合は様子を見ている訳にはいきません。立地の条件にもよりますが、クリニック内まで水が入ると診察どころではなくなってしまいます。以前は土足から上履きに履き替える為にクリニック入口に段差があり浸水対策にもなっておりましたが、近年はバリアフリーの観点から外部から内部までフラットになっているクリニックがほとんどだと思います。大きく分けた条件別に対策を見てみましょう。
●ビル診 1階
入口が外部に面している場合、周りの状況によっては浸水する可能性があります。普段から地域の水はけの状況を把握して、冠水しやすい地域でしたら、土嚢や水止用の板を準備しておきましょう。また、浸水が懸念される地域での開院を検討する場合は事前に室内の床高さを上げておく等の対策も有効です。床上げが難しい場合は、電子カルテ用のパソコン等の電子機器は台に乗せて設置する等も有効です。
●ビル診 2階
入口が外部とは違うフロアですと、直接的な浸水被害は無いかと思います。ですが、外部に面したサッシやバルコニーからも浸水する場合があります。バルコニーは空調室外機等が置かれていて、普段はあまり出入りする事が無いかと思います。バルコニーには雨水を流す配管があり、落ち葉等が入らないようにカバーが付いているかと思います。そのカバーが詰まってしまうと雨水を処理できなくなり、室内に水が入り込んでしまう事もあります。本来は一年を通じてですが、この時期はとくに注意してバルコニーの掃除を心掛けましょう。また、吹き付ける雨の場合、バルコニーの無いサッシや換気扇のフードからも水が入る事があります。建物設備の場合はオーナー様、クリニックの設備であれば工事業者にメンテナンスを依頼しましょう。
●平屋・最上階
クリニックが1階建であったり、ビル診でも最上階の場合は屋根や屋上に面しています。床の浸水ではなく、雨漏りを注意しなければなりません。屋根の状態や雨どいの流れ方、屋上の水はけなどは常に注意して気になるところは工事会社やオーナー様に相談しましょう。
最近の豪雨を甘く考えてはいけません。もちろん何事も無い事が一番ですが、おきてしまった場合、クリニックだけではなく患者さんにもご迷惑をかけてしまう事になります。色々な対策は「やっておけば良かった」より「やっていて良かった」が基本になります。事前にできる事を検討しましょう。
もしも浸水や漏水がおきてしまった場合には修繕費用もかかります。建物側の責任なのか、クリニック側なのか、加入している保険で対応できるかも確認しておきましょう。
クリニックの設計士屋さん