「新築の物件に入居する際の注意事項⑤」

③本体指定業者(B工事業者)との協議
 前回の項目で基本設計図をいつまでにどこまでに提出しなければいけないかを確認しました。実際には内装指針や工事区分に基づいてクリニックの内装業者(C工事業者)と本体指定業者(B工事業者)の間で調整が必要となります。一般的には建物全体で把握や管理が必要な工事範囲がB工事となる事が多いかと思います。館内放送を含む非常放送設備や自動火災報知設備、スプリクラー設備などの消防設備工事がB工事区分となるでしょうか。もちろん建物によって条件は異なりますので事前に確認しましょう。
 消防設備工事がB工事の場合、その他の工事を行うC工事業者との調整として、器具の配置や電源の準備、管轄の消防署への事前確認、届出の方法などの確認が必要となります。消防設備機器には設置基準がある為、C工事側で照明や空調機を自由に配置してしまうと、B工事機器に干渉してしまう可能性があります。また、逆に消防設備機器の基準を優先にしてしまうと内装の意匠的にそぐわない場所に機器が設置されてしまう事もあります。事前に基本設計図の段階で確認をして調整しましょう。

 さて、もう2月になりますが、2020年が始まりました。今年はオリンピック・パラリンピックもあり開催期間中の交通や流通が滞る可能性があります。夏季休診中に改装工事を検討するクリニックから依頼もありますが、上記の見通しが立たないとなかなか工事の予定が組みにくい現状です。改装を検討しているクリニックの皆様にはどうしても今年のこの時期に行わないといけない工事以外は、状況をみて延期も視野に入れてお考えいただけると幸いです。
クリニックの設計士屋さん

2020-01-31