今回は「新築の~」をお休みしてエアコンについてのコラムになります。
コラムが掲載されるのは9月になりますがまだまだ残暑が厳しい時期だと思います。今年の8月は例年以上に猛暑となり過ごし難い日々が続きました。日中は35℃を超え、日が落ちても28℃の熱帯夜の日々となりました。コロナ対策の為に窓を開けて換気も行う為に日中のエアコンはフル稼働となっていたかと思います。そんな中、今年はエアコンの効きが弱いなどの問合せが多くありました。調べてみるとほとんどの原因としては室外機の性質にありました。室内の環境を行う中で室外機が休むことなく運転をし、外気温が高い環境で室外機が熱を持ってしまい正常に作動しなくなってしまっていたのです。当たり前ですが室外機のほとんどは屋外にあり、運転時の熱を外気に放熱し機械自体に熱を籠らせないようにしています。問合せがあったクリニックの室外機まわりの温度を測ってみると45~50℃となっており室外機自体がダウンしておりました。外気温が高い環境での対策としてはある程度開放された空間や日陰に室外機を移動させる方法が挙げられますが、テナントの場合は設置場所が限られていたり、建物側から指定がある場合がほとんどですので現実的には難しい状況です。応急処置としてはネットで掲載されているように、定期的に水を掛けて室外機を冷やす事が有効となります。あるクリニックでは工場や工事現場にあるようなスポットクーラーを室外機置場に設置しました。室内を冷やすエアコンの室外機を冷やすエアコンを設置したと言う事です。
また、今年の夏は気温の他に湿度も高い為にエアコン本体まわりの水のトラブルも多くありました。通常ですと窓を閉めてエアコンを運転させておりますので室内の空気が調湿されて湿度は下がっていくのですが、先にも述べたようにコロナ対策で窓を開けて換気を行う為に常に湿気を含んだ外気を取り入れてしまい、室内の湿度が下がらない状況となっております。それによりエアコンのドレン排水機能を超えてしまったり、天井裏と室内の温度差によってエアコン本体に結露が発生してしまったりしております。やはり応急処置としてはエアコンとは別に除湿機を設置する方法となりますが、すぐにタンクが満水になり除湿機が停まってしまうようです。
今年はコロナの影響でクリニックの環境が例年とは異なっているのですが、年々夏の外気温が上昇し、ゲリラ豪雨が発生したりしている近年ではひと昔の日本の環境を基準にはできなくなっております。クリニックだけではないのですが、空調の容量設定、室外機の設置場所の環境、換気能力、断熱工法など建築の設備提案の際に今まででは過剰だと考えられていた基準にしなければいけない環境になっているかと思います。コストもかかりますのでどこまでやれば安心かと言うのは一概には言えないのが難しいのですが。
春の時期は暖かく暁を覚えず、夏の朝はアサガオとラジオ体操、日中はカラっと暑く、日暮れにはサラっと夕立と雷、虫の声が聞こえて秋になり馬も肥え、霜が下りて冬が始まる。そんな四季が懐かしいと思う今日このごろでございます。
クリニックの設計士屋さん
「8月のエアコン」
2020-08-31