クリニック設計のポイント2

今回からは少し具体的な事を書いていきたいと思います。
まずは入口ですが、すでに出来ていればうまく利用する方法を考えるとして、これから作るのであれば開口部は車イスが通れる事は当然ですので最低でも85cmは欲しいところです。ただ広ければ良いというものでもありません。それは風除室などを設けなければ、外気が直接入ってきますので入口が広ければ広いほどせっかく空調で冷やしたり暖めた室温を逃がしてしまうからです。予算や広さに余裕があれば風除室があると良いと思います。また方角や環境などから直接風邪が入ってくるような入口であれば多少無理をしてでも風除室かツイタテなどで外気が入りにくくしたいところです。
入口扉は自動ドアでタッチパネルが一番問題が少ないようです。ただし昨今の自動ドア事故もありますのでセンサーが横方向、縦方向と2重になっているかは確認しておきたいところです。また自動ドアの場合、引き込みが内側になってしまいますので、パネルで隠したり傘立てや棚などを置いてつまらない事故がおこらないよう心掛けましょう。小児科や耳鼻科などお子さんが多い科目では特に注意が必要です。また、これだけバリアフリーの意識が浸透していますので当然、段差などができないようしたいところです。健常者にはなんてことのない段差でも具合の悪いお年寄りには注意力も低下している為、思いもよらない事故に繋がってしまう事もあります。実際5mmの段差があればつまづいてしまうとの話もよく聞きます。
次に待合室についてですが、全体の広さのバランス、来院患者数の予想を基に広さやイスの数を考えましょう。クリニックのイス配置は飛行機やコンサート会場とは違い、前のスペースに充分に患者さんが通れるよう配置しなければなりません。特に受付カウンターの前は受付や会計の患者さんが重なる事もありますので、さらにスペースが必要です。あまり効率を考えすぎると狭苦しいイメージを持たれかねませんので、患者さん同士、受付との目線などにも配慮し、観葉植物や音楽などを取り入れゆったりした気持ちで患者さんに待ってもらえるよう考えたいところです。最近は冷水機やインターネットスペース、血圧計などをサービスで設置している待合室も好評なようです。
高級志向でデザイン優先で待合室の床材をタイルカーペットを使っているクリニックもありますが、診療科目、患者さんによってはホコリやダニのアレルギーが気になる方もいますし、出血や具合が悪くなって吐く患者さんもいらっしゃるでしょうから、できれば拭ける素材の物が良いと思います。カーペット類の場合は綺麗なうちはイメージも良いのですが、汚れが目立ち拭き取りにくいという欠点もありますので、比較的短期間で交換するように心掛けましょう。クリニックにとって清潔さを保ち続けるという事は何よりも大切な事だと思います。
壁については壁紙クロスが主流になると思いますが、こちらも物によって表面が強化加工されている物ですとキズがつきにくく、汚れても拭ける素材の物がありますので、耐久期間も長くなるので良いと思います。最近はプリントの技術が向上しておりますので木目調や石目調の壁紙をポイント的に使い、デザインとして使っている待合室も印象が良いようです。
天井については照明がポイントになると思います。勿論明るさ重視で蛍光灯も良いと思いますが、ゆったりとした空間創りにダウンライトや間接照明を効果的に使い優しい光を演出として使われるクリニックも増えてきています。照明器具も沢山種類がありますので、じっくり選びたいところです。
クリニックにとって待合室は患者さんが初めて入り、出て行く場所になりますので良い印象を持ってもらう為のもっとも重要なスペースになるのですが、あまり懲りすぎてゴチャゴチャとした落ち着きのない空間になってはいけませんし、高級になりすぎて患者さんから『保険は利くのでしょうか?』という質問が出てしまうようだとやりすぎですので、全体のバランスを考え清潔でゆったりしたスペース創りを心掛けましょう。
コンサルタント碇

2007-11-30