クリニック設計のポイント6

今回は処置室やスタッフルームについて。
処置室はその専門科目により異なりますが、一般内科をベースに考えた場合ベットを何台置くかは悩みどころになっているようです。
冬の風邪やインフルエンザが流行する頃に点滴をする患者さんが重複する為、ある程度余裕をもった台数を確保したいところです。
ただ1台増やす事によりそれなりに広いスペースを使う為、診察室や待合室などの広さにも影響を与える事になります。
そこで最近は処置用のベットを確保した上で、点滴ベットの代わりにリクライニングチェアを処置室に配置しスペースの有効活用をしているクリニックが多くなっているようです。
手洗い流し台について、流し台の位置は給排水の絡みである程度限定されるでしょうから、その周辺に消毒や手洗いなどが必要になる処置ベットや検査スペースを配置する事で院内感染などを最小限に留める事に繋がると思います。
一般的な流し台は低めに設定されていますので、耳鼻科など洗い物が多い科目ですとスタッフの方が腰を痛めるという話も良く聞きますので、内装工事の段階で下台を付ける事をお勧めします。
また、オートクレーブを置くスペースや器具を乾かしたり保管するスペースも充分に確保したいところです。
最近は水道の蛇口が蛇腹のシャワーホースになっているタイプもあり、シンクの掃除洗いなどで活躍しているようです。
意外と忘れがちな物として、院内で使う薬品を保管する冷蔵庫、洗濯機は最初からレイアウトに入れて考えないと、後になってからは大変ですので導入を含めて事前の検討が必要です。
最近は乾燥機付きの一体型の洗濯機がスペースなどの面で好評なようです。
次にスタッフルームについて。
基本的にはスタッフの貴重品を入れるロッカーと更衣スペースがあれば事足りるのですが、お昼休みなどをゆっくり過ごしてもらう為に給湯設備やテーブルなどを置いているクリニックも多いようです。
確かに近くに食事をするところやコンビニもないような場所であれば、長く務めてもらう為にもスペースを確保したいところです。
その配置については、込み入った話をする可能性が高い院長室とは離れていた方が良いようで、できればお昼休みの来客にも対応してもらえるよう受付の裏あたりがベストだと思います。
最近はスタッフルームに畳をひいて直に座ったり寝転んだりできるように配慮したり、掘りごたつ式のテーブルにしているクリニックもあるようです。
最後に院長室について。
クリニックの設計レイアウトの段階で多くの先生方が院長室は必要ないと言われます。
確かに全体のスペースがギリギリだったり、患者さんのスペースを優先的に考える事は良い事だと思います。
ただ、これまでの勤務医時代と違い経営者になるという事を考えると、スタッフに聞かれたくない第三者との相談事や見られたくない資料なども出てくるはずです。
今は休みなしのフル活動で頑張れても、体調が悪い時もでてくるでしょうし、15年先20年先を考えると一人になってゆっくり休める場所があったほうが、より良い医療を提供する事にも繋がるのではないでしょうか。
院長の気力・体力がクリニック運営の一番の基になります。せっかくの自分のクリニックです。
スタッフルームよりちょっとだけ贅沢な院長室を作る事をお勧め致します。
コンサルタント碇

2008-04-30