「設計士の基本」「設計士との関係」

Nステージさんより依頼を頂きまして今回より数回にわたりクリニックの設計について概要やポイントについて書かせて頂く事になりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 クリニックの設計の概要、ポイントと言っても私が多くの先生方のお手伝いをさせて頂き、医療機関の設計に携わり学んだ事、気を付けなければいけない事のまとめとなりますので、ある程度偏った考えとなっているかと思いますが、どうぞご了承下さい。
今回は「設計士の基本」「設計士との関係」について書いていこうと思います。
■「設計士の基本」
 設計士の基本ですが、いろいろな設計士がおりますので様々な提案方法があるかと思います。ここで基本となるのは、やはり医療関係を多く経験し実績のある設計士が基本かと思います。
 クリニックの設計においては、住宅等とは異なりそれぞれの配置、先生やスタッフの方の動き、患者様の流れを解っている必要があり、基本ベースとして以上の事をふまえた上での打合せ、提案ができる設計士でないといけません。住宅や店舗の設計実績が多くてもクリニックの動きに理解が浅いと、提案に対して先生がひとつひとつ確認、説明、修正をしていかなければなりません。このような場合、充実した打合せとは言えず、時間のロスやストレスになってしまいます。
 あくまでも基本ベースを理解した上での提案内容に先生ご自身の考えを色付けしていく事が打合せをスムーズに進める上での条件となります。
1回1回の提案を充実したものにし、開院までのスケジュールに合わせてストレスのない(少ない)打合せを重ねていければいいと思います。
■「設計士との関係」
 さて、次に設計士との関係についてです。
先にも述べましたが、クリニックの設計実績が多い設計士にも様々な方がいます。それぞれが会社の考え方や個性だとは思いますが、建て売りの造られた物件ではなく、造りあげていく事が基本になると思います。同じ科目、物件としましても多種多様なプランが考えられます。デザイン面でも同じ事が言えますが、1つの提案(プラン)を曲げずに押してくる設計士ですと、先生のクリニックではなく、その設計士のクリニックになってしまいます。
 やはりクリニックを立ち上げるという事は大きなプロジェクトであり、先生ご自身の考えを反映させて複数のプランや提案を確認するべきだと思います。複数のプランのメリット、デメリットの検討をする事により、それぞれのメリットの組合せたプランニングや、「このプランは無いな」「こっちのプランに方がイメージに近い」と言った再確認が出来、よりイメージに近いクリニックになります。もちろんプロとしての提案、考え方は大事なのですが、その考えに固執するのではなく幅広い提案をする事も大事な事だと思います。場合によっては複数の会社の設計士の提案(プラン)を見比べて検討する方法もありますが、先生としては一度説明した事を繰り返さなければならず、時間のロスとなってしまいます。できましたら1社(1人)の設計士で同じ動きができますと前回の打合せをふまえた充実した打合せを重ねていけるかと思います。
 ただし、先にも書かせて頂きましたが、クリニックを立ち上げるというのは大きなプロジェクトであり、先生ご自身も深く関わって頂きたいと思います。設計士の提案任せではなく、先生や奥様、場合によってはご家族やお知り合いの先生のご意見やイメージを多く出して頂いて、設計士と一緒に悩み、考えていく事も大事な点だと思います。
 プロの設計士としては建て売りではなく、関係する方々の意向、イメージを理解し反映させ、それを上回る提案が必要となります。一緒に悩み、考えて出来上がるクリニックだからこそ先生ご自身の思い入れが深くなり、設計士とも開院後も長く相談できるパートナーとしての関係を築き上げる事につながります。先生ご自身のオーダーメイドのクリニックの提案、そして10年、20年と信頼しあえる関係。そんなパートナーになりたいと思います。
 1回目という事で気合が入ってしまい、長文失礼致しました。あまり書きすぎると今後の私自身のハードルが上がる気がして不安になりますので、次回からはある程度肩の力を抜いていこうと思います。次回からは「設計のポイント」について書いていこうと思います。偏った考えですが、少しでも先生方のご開院に向けてのご参考になればと思います。
 今後も宜しくお願い致します。
クリニックの設計士屋さん

2014-03-31