「クリニックにできる事」

今月のコラムは予定を変更してクリニックにできる事について考えたいと思います。
個人的な考えですが、いろいろなクリニックのお手伝いをしてきまして、最近の流行りといいますか、風潮として、デザインやインテリアをシンプルにまとめたクリニックが多くなってきたと感じます。もちろん地域性や科目にもよるのですが、保険診療を行う一般のクリニックは自費診療を行う美容系、不妊治療等のクリニックと異なり、高級感のあるインテリアより安心感を感じるインテリアを求められる風潮があります。先生の好みや設計の方の提案もありますので一様には言えませんが、ひと昔前と比べるとやはりシンプルなデザイン、インテリアで構成をまとめたクリニックが多いと感じます。
白を基調としてやさしい木材やあたたかみのある石材をポイントで使用し、空間内のカラーの数を抑えるイメージです。カラーの数が少ないと空間内に落ち着きが生まれます。落ち着きが安らぎを与え、患者様の安心感につながります。ただし、ポイントとなる木材や石材の選定や使い方によっては取って付けたような切り貼り感が出てしまいますので注意したいところです。クロス(壁紙)の貼り分けではなく、ポイントには本当の木材(突板等)を使用して素材のあたたかみや存在感をアピールする事も必要だと思います。あれもこれもと組み合わせてまとまりが無くなるより、ポイントの素材とシンプルなカラー、デザインを組み合わせて上品にまとめたいところです。
当たり前かもしれませんが、患者様は体調がすぐれない不安な状態で来院されます。いろいろなクリニックが増え、それぞれが良さをアピールする中で、診療内容やスタッフの対応、設計図としての動線の良さは今や基本ベースになっています。これからのクリニックとしてできる事は、クリニックとしてやすらげる安心感のある空間を患者様に提供する事だと考えます。
デザインやインテリアについてはいろんな方のさまざまな良い考えがあります。これが正しいというわけではありませんが、イチ設計士の個人的な考えとしてご参考にして頂けましたら幸いです。
クリニックの設計士屋さん

2016-09-30