診療日時、休診日について

今年も多くの先生方との出会いがあり、ご縁のあった先生方の開業をお手伝いさせて頂きました。
中には8年も前に一度だけお目に掛かった先生から、ご自身の環境が開業に向けて準備が整った事と、当時の印象が良かったとの事で声を掛けて頂いたり、別のコンサルの会社で開業を目指していたのですが話がこじれ開業を断念しかけた先生の再チャレンジをお手伝いさせて頂いたりと色々な事がありました。
ご相談を受ける私達としましても、お一人お一人の先生方の人生のターニングポイントともなる「開業」という一大イベントを、より満足度の高いものになるよう、精一杯お手伝いさせて頂きたいと思っております。
さて今回は年末年始という事もありますので、診療時間や休診日について書きたいと思います。
診療時間や休診日を決定するのは最終的には開設届を提出する時になります。ちなみに東京都では保険診療を開始する開院月の前々月の20日~25日くらいの時期(都道府県によって若干異なりますので事前のチェックが必要です)なのですが、スタッフ募集の広告を出したり、名刺や印刷物を前もって作る頃までには決めておきたいところです。
勿論、諸事情によって後に変更届を提出する事で診療日時を変更する事は可能ですが、それまで使っていた印刷物や看板サイン、HPや各医療機関の検索紹介サイトなどネット上での混乱も予想されます。何より来院された患者さんがやっていると思って来たのに休診日になっていたという事では、ただでさえ具合が悪い状況で来られている方の場合そのショックは少なくありません。特に診療日時を減らす事に関してはマイナスの影響が大きいようです。あるクリニックでは先生が若いし開業の為の借入れ額も大きいので月~土までフルに診療日時にしていたのですが、クリニックが順調に立ち上がり、患者数も増え6分の1くらい売り上げが減っても大丈夫との事で平日の1日を休診日に変えたところ患者さんからのクレームがあったり、売り上げの影響も予想以上だった事がありました。
そのようなケースもありますので、当初の診療日時をできるだけ変える事のないよう将来を見据えた日時設定が求められます。その上で若いうちはもっと働きたい、または借金を返すまではという意気込みがあるようでしたら平日の1日と土曜日午後などにアルバイトをするという方法もあると思います。新規開業の場合はほとんどが個人事業になると思いますので自分のクリニックとは別の収入口を確保しつつ、立ち上がるまでの補填に役立てるという考えもあるのではないでしょうか。特に立ち上がるまでに比較的、時間が掛かると言われている内科系の開業には是非検討して頂きたい経営戦略のひとつだと思います。
アルバイトであればクリニックの経営が順調になった事を見届けたうえで辞めても良いでしょうし、中には病診連携のとれる病院にアルバイトに行き、紹介先病院との関係を深められる先生方もいらっしゃいます。
次に休診日についてですが、1週間の流れを見て水曜か木曜と、日曜を休診にされる先生方が多いようです。平日につきましては近隣の競合機関との兼ね合いなどを見て検討するのも良いでしょうし、先に開業されている先輩方のクリニックにあわせられるような先生もいらっしゃいます。またごく稀にですが医師会の活動が活発で休診日を指定してくる地域もありますので、入会を考えている場合は事前に確認しておく事をお勧め致します。他のクリニックが休みという事を狙って日曜を診療日と考える先生もいらっしゃいますが、正直なところあまりお勧めできません。まずクリニックに掛かる患者さんの病状が重症な方が少ないという事で来院患者数がさほど見込めないという事と、働いてくれるスタッフの確保が非常に困難であるという理由が挙げられます。また院外処方の場合、受けてくれる調剤薬局も確保しなければなりません。それらの問題をクリアできる環境であれば検討する価値があると思いますが、途中で止めてしまうと希少なぶん上記で述べた以上のクレームが予想されますので覚悟が必要です。
夏季休暇や年末年始休暇につきましてはその年の曜日の関連や医院の運営状況をみてその年ごとに変えてよいと思いますが、通院される患者さんも予定があるでしょうから、できるだけ早く決めHPやクリニックに掲示する等の配慮をしたいところです。
ある年、先生以外のスタッフ全員のお子さんの運動会が重なって休診日になった事がありました。やむを得ないとは言えこのようなケースにも対応できるよう、単発での対応ができる人材派遣の会社や電子カルテのインストラクターの方などの人脈や情報を確保できていれば乗り越えられるケースもありますので、開業後は考えられた方が良いかもしれません。
ではでは今回はこのあたりで。
2010年が皆様にとって実りの多い年となる事をお祈りしております。
コンサルタント碇

2009-12-31