「2024年問題について」

6月になり気温の高い日も増えてきました。まだ6月なのに夏日、真夏日…。本当に季節がわかりにくくなりましたね。一日、一週の間でも気温の差が大きくなりますので体調を崩さないように気をつけましょう。

さて、先月のコラムでも記載しましたが4月から物流や建築業界で働き方改革として時間外労働の上限規制が設けられました。労働時間に制限を設ける事により働きすぎ、過労を抑制して労働者が健康的に過ごせるようにとの狙いがあります。何が健康的かは人それぞれかとも思いますが、各会社では社員のやりくりが大変だと聞いています。また、医療業界も同様に時間外労働上限規制が設けられました。ここでは具体的な時間や条件の説明は割愛致しますが、これにより以前から問題視されていました過酷な勤務医の先生方の労働条件は改善されるかと思います。働きすぎない、働かさせすぎないクリーンな病院になっていくのでしょう。良い事だと思います。

しかしながらそれでは何故、メディアでは2024年「問題」と表記するのでしょうか。建築業界もそうですが医療業界も勤務内容や提供するサービス、求められる事柄との間に剥離を感じます。医療業界に関しては緊急対応が求められると思います。この働き方改革によってこれからは人手が足りない時間帯、科目が増えてくるかと思います。また、勤務によっての経験や研鑽も得にくくなるかと思います。がむしゃらに働いて経験を積むかはその人の考え次第ですので制限を設けるのはなかなか難しいかと思います。もちろん、それを前提として働かさせる労働環境は全く別なのですが…。

少し話が逸れましたが、この改革によって思うように働けなくなる勤務医の先生方が開業を目指すことが考えられます。収入を増やしたい、減らしたくない目的の方もいるでしょうし、勤務だと理想とした医療を提供できなくなり開業を視野に入れる方もいるでしょう。それぞれの環境改善の方法としてクリニックの開業が増える事が予想されます。もちろん開業すれば必ず成功する訳ではありません。

今の環境が厳しいからと安易な考えでの開業ですと継続するクリニックとしては難しいかと思います。クリニックの理念や方針、コンセプトなどをしっかりと軸に考える事が大切です。開業に向けてはコンサル、設計、施工などの各専門業者にも相談し、しっかりと計画をたてて進めていきましょう。また既設のクリニックとしましてもこれから競合となるクリニックが増えるかと思われます。今までの患者さんに加えて新患をどうむかえるか、地域に求められる医療について再度確認した方が良いでしょう。今回の改善が地域医療の発展に向かう事を願います。

クリニックの設計士屋さん

2024-05-31