今回は支出についてです。事業計画を作成する基本ですが、収入は少なめに支出は多めに見積もっても事業が成り立つかどうかを見極める事がポイントになります。先に支出を出来る限り具体的に計上し、一日にどれくらいの患者数がくれば成り立つかという損益分岐点を割り出す事ができると思います。その場所、条件で損益分岐点を越える患者数を診れる自信があれば進めても良い計画だと思いますが、その自信がなければ考え直した方が良いでしょう。
具体的な支出についてですが、院内処方を前提とすると月々の支出で一番大きい固定費は人件費になります。もちろん、診療科目や規模によっては受付1人とか、ご家族だけで切り盛りするとなると賃料の方が高くなる場合もありますが、一般的には人件費が一番高額で、しかも開業後、後々まで先生方の問題の種になる部分だと思います。個人的には新規開業の場合スタッフの募集で人が集まりやすい事もありますので、パートタイマーでやり繰りできればベストだと思います。正職員の場合、責任感というメリットはありますが賞与や保険といったバカにならない金額が当然のように発生しますので、3ヶ月間窓口収入だけで、やっと入った保険収入は最初の月の分という懐具合を考えると・・・正職員を希望する方の面接をする際は、なにぶん手探りで事業を始めるところなので約束はできないが、将来的に正職員への登用制度導入も考えていると伝えるまでがギリギリではないでしょうか。もちろん事業が軌道に乗ってくれば実際に登用する事もできると思います。
多少話が脱線しましたが、まずはクリニックを運営していく上で最低限必要な人数を割り出し、開業地周辺のタウン情報や他の医療機関の募集広告からパートタイマーの時給を設定すると良いと思います。その際、2年目以降からは年3%くらいの昇給も織り込んで計上した方がよいでしょう。スタッフの募集などについては、また後日詳しく書きたいと思います。
次に大きい支出となると賃料だと思います。事業計画の作成時期にもよりますが、不動産賃料の交渉前であれば正規の募集賃料を計上しておいた方が良いと思います。これくらいには値下げしてもらえるはずだという見込みは意外とあてになりません。また消費税や駐車場代もここで計上しておきましょう。将来的に値上げされるような契約になっていないかよく契約書をチェックし、もしそうなっているようでしたら、その部分も想定しておきたいところです。また物件によっては契約期間毎に更新料が発生する場合もありますので確認しておきましょう。
お薬を院外処方にするとしても、院内で使用する薬品もあると思います。診療科目や先生の診療スタイルによっても異なりますが、薬品材料費として収益の0.5%から3%くらいの枠で薬品材料費が必要になります。薬の卸業者の方と事前に打ち合わせが必要になると思います。
次に検査関係を外注する場合は外注委託費も掛かってきます。ここだけの話ですが、検査会社によってビックリするくらいの割引率の差がありますので、複数の検査会社の相見積りを取るか、すでに開業されている先生に紹介してもらうと良いのではないかと思います。これまで病院で委託をしていた信頼のおける検査会社が、クリニックにとって集配などのサービスも含めて一番良いとは限らないと思います。
なんとなく際どい話になってきましたので今回はここまでに。次回はリースやその他の費用について書きたいと思います。
コンサルタント碇
事業計画書の作成5
2007-08-31