今回は診察室と検査室(暗室)についてになります。
他の科目と異なり、眼科の特徴として暗室での診察や検査が必要となります。余談ですが、以前お手伝いさせて頂いた眼科クリニックでは完全遮光を希望され、「暗さが足りない」との名言を頂きました。近年では電子カルテのディスプレイ等の光もあり、完全遮光で無くても診察や検査が行えるようになりましたが、事前に先生が希望される「暗さ」を設計者や施工業者にお伝えしておいた方が良いでしょう。
■診察室
・一般的にはドクターデスクとスリットランプ、可動式のスライディングテーブルを使用します。眼底カメラ等のその他の機械は診察室内でどこまでの検査を行うかを検討して配置や広さを設定しましょう。開院当初ではなく、将来導入を含めてゆとりのある広さを確保したいところです。
・「暗さ」を含め、照明計画としては調光式の照明を設け、明るさ(暗さ)を調節できるようにしましょう。「どうせ暗くするから…」と照明を少なく希望される先生もいらっしゃいますが、術前後の説明やメーカーや業者との打合せを行う際は明るくしますので一般の明るさも確保できるように計画した方が良いでしょう。なお、照明のスイッチはスライディングテーブルと同調させて可動時に自動的に照明がOFFとなるようにする事が多いかと思います。方法としては階段の上下でON・OFFできるような3路スイッチを設け、片方をスライディングテーブルに接続します。もう片方のスイッチはドクターデスク上に設けて診察中に手元で照明のON・OFFをできるようにした方が良いでしょう。
■検査室(暗室)
・診察室と同様に暗くして検査を行う部屋になります。OCTや視野計(ゴールドマン・ハンフリー)、レーザー等こちらも将来追加の機械の導入の可能性を考慮して広めに計画したいところです。検査室(暗室)の中でも遮光カーテン等で区画して検査機器ごとのスペースを設けて同時に複数の検査を行えるようにした方が良いでしょう。
・照明もそれぞれのスペースで単独にON・OFFや調光ができるようにしましょう。空調に関してはそれぞれのスペースに1台ずつのエアコンの設置は難しいですから検査室全体で1台として、なるべくムラのない配置を検査しましょう。
先にも記述しましたが、眼科クリニックで将来検査内容の充実、拡張を検討する場合には検査機器を増設する事が多くなります。診察室や検査室(明室・暗室)に拡張性をもたせて計画した方が良いでしょう。
次回は手術関係とその他になります。宜しくお願い申し上げます。
クリニックの設計士屋さん
「眼科(診察室・検査室)」
2016-02-29
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