今回と次回はX線室関係、リハビリ室についてになります。他の科目のクリニックと比べて整形外科の特色となるゾーンではないでしょうか?
X線室
内科と異なり骨の異常や骨折の程度、関節リウマチなど骨や周囲の軟骨の状態を確認する為にX線撮影を行います。撮影の頻度が高くなる為、Drが撮影する場合に加え、X線技師が撮影する事もあります。Drが撮影する場合は診察室からの移動距離を短く設定する必要があります。第2診察室を操作室と兼用されているDrもいらっしゃいます。また、X線技師が撮影する場合はある程度診察室から離れていても支障が少なくなりますので、診察ゾーンと画像ゾーンを分ける事も可能ですが、その際に注意する点があります。
①技師の方のスペースの確保
Drがほぼ診察室にいる様に、技師の方はほぼ操作室にいる事になります。操作室を通路の様なスペースとしてしまっては居心地も良くありませんので、ある程度のスペースを確保しましょう。
②診察室からの距離
基本は技師の方が撮影するとしましても欠勤や時間外などケースによってはDrが撮影する場合も考えられます。頻度としては少ないと思いますが、やはり診察室からの移動がスムーズにできるように注意しましょう。
X線装置自体ですが1ヵ所の部位に対して各方向から撮影する為、本来天井走行タイプのX線装置の導入が望ましいかと思います。天井走行タイプの場合、設置にあたりメーカーにもよりますが280003200mmの天井高、天井内に補強が必要となります。物件によっては構造的に設置が難しい場合もありますので注意しましょう。天井走行タイプを導入しない、または設置ができない場合は床壁でレールを支持するタイプになります。操作性では天井走行タイプと比べると制限は出てしまいますが、一般の整形外科クリニックでも多く導入されています。物件の選定にも関わりますので、事前によく検討しましょう。
X線装置と同じくX線を発生させる機器として骨密度測定装置があります。骨密度測定装置を導入する場合は使用頻度によってはX線室とは別の検査室を設ける事もありますが、頻度やスペースの観点からX線室と同室にするクリニックが多いかと思います。同室とした場合、もちろん機器を同時に使用する事はできません。電源自体も同時使用防止の為にX線装置と骨密度測定装置とで同じ電源を切り替えて接続するようになります。それぞれのメーカーでどう対応するかを事前に確認しましょう。また、骨密度の操作用PCが必要となりますので、操作室にスペースを確保しましょう。
最後にX線装置用の電源ですが、基本的には簡易タイプの100V仕様ではなく、容量の大きい200Vタイプとなります。容量が大きい為、一般のコンセントや照明の電源、空調用の電源とは別にX線装置用の電源が必要となります。物件によっては電源の確保ができなかったり、確保する為に工事費用がかさむ場合があります。整形外科のX線装置を設置する場合必要な工事となりますが、物件を決める前に工事内容やかかる概算ね費用を把握しておいた方が良いでしょう。
次回はリハビリ室についてになります。
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