内科の診察スペース(処置室)

前回に引き続き診察スペースの内容になります。今回は処置スペースの説明をさせて頂きます。
■処置室
 処置室は診察に付随するスペースになります。診察の流れの中で採血や点滴等を行う為、診察室からの動線が重要になります。診察後に採血や点滴、診察前に血圧を計測を行う場合、診察室と処置室が離れていますと、患者様が長い距離を移動する為、診察の流れが滞ってしまいます。なにより、患者様のご負担になってしまいます。できる限り診察室に隣接させてご案内、移動がスムーズに行えるように配置を計画しましょう。診察室に隣接させる事により、先生、スタッフの動線も短くなりますし、先生が診察室にいながら処置室の様子を把握しやすくなります。スタッフも診察、処置と兼用ができますので少人数での対応が可能になります。
広さについてですが、概ねはベッドを何台配置するかによって変わってきます。一般の内科でしたら2~3台設置されているクリニックが多いかと思います。ただ、内視鏡検査の回復室としても使用したり、専門の科目によっても前後しますので、検討が必要になります。面積に余裕がありましたら、繁忙期を見越してスペースを広めに確保しておく事をお勧め致しますが、次回予定の検査室や診察室のベッドを含めて用途を兼用できるベッドをクリニック内に何台必要なのかをよく検討しましょう。なお、点滴用のベッドは横になる事が辛い患者様用にリクライニングチェアをベッドと併用して導入されているクリニックも多くなってきております。地域性も考慮して検討下さい。ただ、スペースとしてはベッドより多少コンパクトにはなりますが、基本はベッドのサイズ(1800mm×600mm)で配置を計画した方が良いでしょう。
採血のスペースも同様に何名の患者様に対応するかを考慮して、必要な広さを設定しましょう。循環器内科や糖尿病内科でなければ1~2名のスペースで十分かと思います。複数の患者様の対応をする場合はパーティション(仕切板)等でプライバシーを保つ事も検討しましょう。採血に伴い、消毒スペース(流し)も必要になります。できましたらシンクは清潔用、消毒用と2ヶ所設けたい所です。シンク廻りには作業を行うスペースやオートクレーブや血液の測定を行う機器を設置するスペースも必要になります。作業スペースには電子カルテの端末を設置する事も考えられますので、コンセントやLANケーブルは当初から計画しておいた方が良いでしょう。もちろん冷蔵庫や薬棚、処置器具棚も必要になります。その他流しの上部分には吊戸棚等を設けて収納を確保した方が良いでしょう。
 前回診察室はクリニックの核となるスペースと記述しましたが、処置室は診察に付随する多目的なスペースになります。時期や状況によってフレキシブルに使用できるスペースとして余裕をもった配置にしたい所です。
次回は検査室についてご説明させて頂ければと思います。宜しくお願い申し上げます。

クリニックの設計士屋さん

2015-03-31