遅ればせながら、本年も宜しくお願い申し上げます。昨年末のコラムで来年も平々凡々と…などと締め括ったのですが、今年は元日から地震や航空機事故などがありとても平々凡々な年明けとは思えませんでした。本当にいつどこでどのような状況になるかは誰にもわからず、不本意ながら災害や事故は誰にでも平等に起こり得る事です。どのような対応ができるかはわかりませんが、その時にはできるだけ冷静に行動できるように心がけたいと思います。
さて、今年一回目のコラムになります。実は昨年末から電設資材不足が深刻化しており、年明けからの工事について厳しい状況でした。11月後半から幹線(電気の大元の配線)の供給がストップしておりました。詳しい原因は不明なのですが、西の方の万博の影響だとかさまざまな憶測がまことしやかに入ってきております。電材業者に発注しても納期が未定の状態でいつ入荷するかがわからない状況でした。幹線は大元の配線となりますので、外部のメーターからクリニックの分電盤のメインのブレーカーを接続する配線となります。既設の分電盤がある場合は幹線は必要無いのですが、平面レイアウトにより分電盤の移設が必要な場合には幹線の延長が必要となります。また、電気容量を増設する場合にも幹線の引換が必要となります。科目にもよりますが200Vタイプのレントゲンを設置する場合にも幹線工事が発生致します。100Vタイプのレントゲンでの代用が難しい整形外科クリニックなどはほぼ幹線工事が発生致します。ビルマルチ型の空調機ですと室内から室外機までの幹線接続が必要となる場合もあります。コンセントにしても空調機にしても室内の配線は行えるのですが、その大元まで電源を供給する幹線が不足してしまっている状況でした。全国的な幹線不足状況に公共施設関連業者や大手建設業者が在庫確保に動いたり、メーカーを押さえてしまったり、西の方面の万博を優先にしたりして、一般電設業者には幹線が入ってこない状態になっているとも言われておりました。その状況の年明け早々に震災もあり、復旧に向けてさらに電材の確保が難しくなるのでは?と言われておりました。
さて現在の状況ですが、ここまでの説明が過去形になっていた事でお気づきの方もいるかもしれませが、1月後半、2月上旬から少しづつですが納期回答もあり、入荷の目処もたってきたようです。直ぐのすぐの入荷は難しいですが、入荷できないという事では無いようです。とは言えまたどのような状況になるかはわかりませんので、計画の段階でなるべく分電盤を移設しない、移設距離を短くする、100Vのレントゲンも想定する、内装工事完成時には間に合わないが、開院までを工事期間と考えるなど、状況を見ながらクリニック・設計会社・施工会社で連携をとりながら対応していく方が良いでしょう。震災などとは違い、事前に予測できること、対策とをとれることについてはしっかりと確認を行い準備をしましょう。
クリニックの設計士屋さん