眼科クリニックの開業のポイント

眼科クリニックの物件選定のポイント

眼科クリニックといいましても、一般の眼科診療を中心か、コンタクトレンズ処方をターゲットにするのか、白内障などの日帰りオペを行うのかなどにより、物件選定のポイントが大きく異なってきます。

一般眼科診療中心のクリニックの開業物件選定について

一般眼科診療を中心とし、地域に根ざした診療をやっていきたいのであれば周りの競合の眼科クリニックについての考え方や人口、ロケーションなどは内科等の他科の物件探しとほぼ同じといえます。
そこで狙い目のひとつとしては内科や整形外科が盛業している医療モールで、まだ眼科が入っていない物件が先生の通勤圏内であるかを探してみると良いでしょう。
内科や整形外科とは対象となる患者の年齢層が同じである上に、糖尿病の患者さんについて連携のとれる眼科にとってもベターといえます。
診診連携が取れるようなクリニックが盛業している医療モールであれば、ある程度の立ち上がりと継続的な紹介も期待できます。
そのような物件の中に眼科の開業に適した条件の物件はかなり多いように感じています。
医療モールは患者さんの認知が進んでいるというメリット以外にも駐車場が完備されていたり、上層階であっても車椅子でも入れるようなエレベーターなどの設備が整っていたりという物件が多いようです。
ある程度、同じモール内の先生方との協調が必要であるという点もありますが、メリットの方も大きいといえます。

コンタクトレンズ処方中心のクリニックの開業物件選定について

コンタクト処方の患者さんを多く診たいということであれば、メインターゲットの若者が多く集まるような商業地域で、ある程度競合が多いことも見越しながら、より良いロケーションでの物件探しということになると思います。
眼鏡コンタクト店との関係や立場など煩わしいことも多いようで、先にそちらの方をすっきりさせてから具体的に動きだした方が良いようです。

日帰り手術を行う眼科クリニックの開業物件選定について

白内障などの日帰り手術を多く行いたいということになりますと、どうしても患者さんの取り合いという事態になりますので、同じく日帰り手術を行なっている他の眼科クリニックとの位置関係に配慮しながらの物件探しということになります。
ただし実際には東京や神奈川などの都心部ではオペ眼科診療所は飽和状態に近く、そのためある程度郊外も視野に入れたほうが良いでしょう。
その気持ちがあればオペ室や回復室のなどの必要性から一般眼科の倍くらいの広さが必要であっても賃料や駐車場代も低廉に済むというメリットを享受できます。
ただし、広ければその分内装費は高くなりますし、眼科オペ用の医療機器も高額ですので、新規開業の場合は特にコストについて気を付けなければならないと思います。
ここに書いたのはあくまでも一般的な例であり、先生方独自の診療スタイルを見極めることが何よりも大切だと思います。

眼科クリニックの医療機器選定のポイント

眼科のメイン医療機器は、診察室でのスリットランプや眼底カメラ、暗室検査室でレーザー、OCT、視野計等となります。
また明室検査室では、ノンコン、レフケラ、レンズメーター等の医療機器を購入します。
そして、これらの検査データをどのようにファイリングするかを検討します。
検査機器によりファイリングシステムへデータを送る際、接続費用が高額になる場合や接続不可能な場合もあるので、特に注意が必要です。

眼科クリニックの電子カルテ選定のポイント

眼科の場合ですと、診察の前に検査から入るというのが一般的であり、他科と比べて患者さんの動線が大きく異なります。
電子カルテを採用される先生方のポイントは大きく分けて以下の2点となります。

①カルテの閲覧性

紙のカルテをお使いのクリニックと比較すると分かるのですが、紙カルテ自体をカスタマイズされているケースも多く見受けられます。

カルテの一覧性を高めたいという先生方が多いので、どのような画面表示が可能か、また表示の切り替えが可能かといった点がチェックポイントです。

なお、検査データを閲覧する際の見易さに関しては、実際に操作いただいた方が宜しいかと思います。

②各検査機器との連動性

連動性に関しては特に「シームレスさ」の比較をいただくことをお勧めします。
患者さんの数が増えれば、シームレスさはスタッフの業務の効率化に大きく貢献します。
人件費削減に繋がることになります。
その他には、シェーマの描きやすさ、紹介状等の書類作成の簡便さなども要チェックポイントです。

最後に眼科専門の電子カルテメーカーが数社あります。
一般科目の先生方が検討される電子カルテと違い、まだまだ高額な機器となります。
なぜ眼科専門の電子カルテだけ高額なのかと思われるかもしれませんが、他科目に需要がなく、特化・差別化しているからです。
価格交渉に関しては、専門性を謳っていないメーカーからもお見積を取ることで、よい交渉が可能になると思います。

2020-12-27