医院開業におけるクリニック設計のポイント

医院設計会社の選定のポイント

医院の設計会社を選ぶポイントとしては、医科クリニックの設計の実績がどれくらいあるか、といえます。

どんなに大きい設計会社や有名な設計士であっても医科クリニックの設計について知識がなければ、後々先生やスタッフ、患者さんの三者に取って使い勝手の悪い医院になってしまいます。

具体的に申し上げると医院の設計は診察室関連だけではなく、電気容量や給排水設備、患者さんとスタッフの動線などに十分に配慮していないと普段の診療およびその付帯業務を行う上で大きな支障になる可能性があります。

そのあたりが、住宅や商業施設と医科クリニックとではまったく異なりますので、医療機関の実績があるところ、できれば医療専門の設計会社に依頼することで良いアドバイスを聞くことができると思います。

医院設計料について

医院の設計料ですが、医療機関専門の設計会社になるとおおよそ概算内装工事費の8%~15%くらいが相場のようで、他の建築設計より少々割高になります。

しかも医療専門ですと独自のノウハウ流出を防ぐ意味合いもあり、設計および施工が条件の会社が多く、設計のみを単独で受注している会社は少ない現状があります。

医院の施工業者の選定の仕方について

上述の医院設計会社を決め、図面が完成してから複数の施工業者で相見積もりを取る方法があります。

また医療専門の設計・施工の会社に複数依頼し絞っていく方法もあります。
どのような方向で業者を決めていくかを事前に検討しておく必要があると思います。

ちなみに後者の方法ですと相当な時間と手間が掛かりますので、あまり手を広げすぎると時間的に先生方の負担も増えることになります。

医院設計の具体的なポイント

ここでは、医院設計上における注意点やポイントを箇条書きにてご案内いたします。

先生方の参考になれば幸いです。
□エントランスは車イスが入れるために85cm以上を確保
※なお、予算や広さに余裕があれば風除室があると良い
□入口扉は自動ドアでタッチパネルがよい。ただし、自動ドアの事故によるケガもありますのでセンサーが横方向、縦方向と2重になっているかを要確認。
※自動ドアの引き込みは内側になってしまいますので、パネルで隠したり傘立てや棚などを置いて不注意の事故が起こらないように十分に配慮。
□バリアフリーは必須。ご高齢者は5ミリの段差でもつまづいてしまうことを忘れずに。
□待合室の前のスペースを充分に確保し、患者さんが通れるように椅子を配置
□使用する床材は、清掃性や清潔を考え、簡単に拭ける素材がベター。カーペット類は汚れが目立ちやすく落としにくいので、もしカーペット類を敷くのであれば、こまめに交換するように。
□壁紙も汚れても簡単に拭ける清掃性の高いものがベスト。
□受付は「クリニックの顔」であるので、入口から見える、できれば正面に設置することが望ましい
□受付スペースはできる限り広く確保すること。成業してくると受付スタッフを増員することになり、手狭になることも。
□受付の作業面の高さはだいたい70cmくらいがベター。患者さんと接する天板の高さは診療科目によって異なりますが95cm~105cmくらいに。

ただし、内科や整形外科などご高齢者が多い科目ではできるだけ低く設定する。

□受付は会計時にバックを載せる事のできる棚板等を設置。
□受付から会計までの流れを考えて、電子カルテ、プリンター、コピー機、電話等の配置を2人体勢時と3人体勢時まで想定してレイアウトできればベスト。
□受付と診察室との位置関係ですが、受付スタッフとしっかり連携を取る事で待合室の状況を把握したり、予期せぬトラブルが生じた時にすぐに駆けつける事ができるような距離がベター。
□患者さんの様子や急変などないかすぐに気が付けるように処置室やリハビリテーション室も出来るだけ診察室に近い位置に配置。
□処置ベッドは特に内科の場合、冬の風邪やインフルエンザが流行する頃に点滴をする患者さんが多くなる為、ある程度余裕をもった台数を確保。

ただし、処置ベッドもスペースを取るので、処置ベッドの代わりにリクライニングチェアを処置室に配置し、スペースを有効活用することも検討。
□手洗い流し台については流し台の位置は給排水の関係で、ある程度限定されますが、その周辺に消毒や手洗いなどが必要になる処置ベットや検査スペースを配置する事で院内感染などを最小限に留める事に繋がる。※一般的な流し台は低めに設定されていますので、耳鼻科など洗い物が多い科目ですとスタッフの方が腰を痛めるという話も良く聞きますので、内装工事の段階で下台を付ける事をお勧め。

医院設計のワンポイントアドバイス

クリニックの入口から、患者さん用の椅子までの距離を少し開けるように配置すると良いです。
特に初診の患者さんは椅子に座るまでの歩き方を観察したりなど、雰囲気を掴む間がもてるからです。
また保護者の方や付き添いの方がいらっしゃる場合もあり、その方々にもゆったりとした印象を持ってもらう事も大切だからです。

診療科目別設計のポイント

以下に科目ごとの医院設計のポイントを解説します。
ぜひクリックして参考にされてください。
内科クリニック設計のポイントはこちら
耳鼻咽喉科クリニック設計のポイントはこちら

眼科クリニック設計のポイントはこちら
整形外科クリニック設計のポイントはこちら

2020-12-08