建物の引渡し状況

今回は建築側と引渡し状況について協議中の案件についてです。現在進行系ですのであまり詳しくはご説明できない部分もありますがご了承下さい。

都内の主要な駅前で大通りとロータリーに面した建築中ビルの7階に内科のクリニックを検討しております。クリニックの内装工事自体は建築工事が完了した後に予定しており、開院自体ももう少し先になります。建物全体としては11階建で1フロアが50坪程度の広さで、各階1テナントとなります。もちろん各階に給排水設備や電気設備や消防設備などは設けられており、内装によって変更を加える通常の物件となっております。建物の立地状況もあり各階の空調室外機は屋上に設置するように建物側で計画をたてており、室外機の設置スペースにも指定があります。ここまでは標準の物件の引渡し状況なのですが、問題点がありました。下記に挙げます。

①クリニックから屋上までの空調配管ルートが外部となっており、配管行うには足場を組む必要がある。

②屋上までの室外機の搬入経路が無く、クレーンでの作業となる。

①についてはテナントの希望としては建物側で建築中に先行配管を行っておくか、建物内部のPSなどで屋上までのルートを確保して頂きたいところです。今回の建物としてはそのような計画は無く、各フロアの入居者がそれぞれ12階の屋上部分まで足場を組み、作業を行うとの事です。
②に関してもエレベーターはテナントのある11階までとなっており、屋上には外部階段経由となり大型室外機の搬入は不可の為、クレーンでの作業が必要になります。クレーンが必要な物件自体はよくある事なのですが、今回は建物の立地条件により、クレーン作業を行う為には警察署、JR、地下鉄等の関係各所との協議が必要となり、建築時でもかなり日数がかかったとの事でした。
現段階では各フロアの入居者も未定、開業や開院時期ももちろん未定ですのでテナントビルとして建築し、その後に入居者を募集するようですが、このような引渡し状況ですと各フロアのテナントが入居する為には各フロアにてそれぞれ足場を組み、解体し、それぞれクレーンを手配して空調室外機を搬入する必要があります。建物側としては建てて完成ですが、入居者にとってはだいぶハードルの高い物件となります。
このような状況について設計会社経由でオーナー様に申し入れを行っているのですが、建築中の為、変更ができないとの回答でした。
条件の悪い物件、通常より工事費用がかかる物件として入居を含めて検討しておりますが、入居に対して先生の希望が強く、少しでも費用を軽減できる方法を模索している状況です。

建物としてのオーナー様のお考えやテナントビルを計画する建築の設計会社の考えもありますが、入り代わりのあるテナントビルですから、できるだけテナントでの自由度が高い設備設計にして頂きたかったと思います。
現在協議中で次回のコラムで結果を報告できるかと思います。やはり建築中の物件選定については注意が必要ですね。

大きな体育大会は終わりましたが、まだまだ不安定な世の中の状況が続いているかと思います。重ねてにはなりますが、体調管理にはお気をつけてお過ごし下さい。

クリニックの設計士屋さん
【2021/08/31】

2021-08-31